6/25/2020

アメリカとイギリスがストーンヘンジでつながって。

ソルズベリー高原に建つストーンヘンジは、4500年前の人たちが驚くほど質の高い工学技術を駆使して造った先史時代の環状巨石群です。この建造物はユネスコの世界遺産に登録されていて、イギリスに来たら是非とも訪れたい場所の一つに挙げられています。






このストーンヘンジでの伝統は、夏至の日に1万人の人が集まって日の出を見ることです。通常巨石の周りに張り廻されたロープもこの日は外されて、人々は4500年前の人と同じように太陽が昇るのを見るわけです。とくにニューエイジと呼ばれるグループの人たちや(日本では「精神社会」と訳されています)、ローマ人到来以前にブリテン島に広がっていたケルト文化中のドルイド教の信者たちにとっては毎年夏至と冬至の日にストーンヘンジを訪れることは、私たち日本人がお正月に神社に初詣に行くのと同じ感覚なのかもしれません。ところが今年はコロナウィールスの影響でストーンヘンジも完全閉鎖です。

そこで、ストーンヘンジを管理しているイングリッシュ・ヘリテージ(歴史的建造物を保護する目的で政府が設立。現在文化大臣への助言は最も重要な活動の一つ。)では、ストーンヘンジに行かなくても様子が解るようにでとスカイスケイプを作りました。

夏至の日、アメリカにいる親せきとズームコールをしていました。で、ストーンヘンジのことが話題になり、早速スカイスケイプをオープンたところ珍しく静かなストーンヘンジが映し出されました。私が仕事で行くときは、観光客が多いのですがこの日は人ひとり見えません。ビデオなのですが動きがなく、たまに鳥が巨石にとまったり、飛び立ったりすることでビデオだとわかるくらいです。

でもなんと平和で、美しいのでしょう! ズームコールに参加した4人はしばらく何も話さずに自然の中に佇むストーンヘンジに見入っていました。

後で気が付いたこと。イギリスとアメリカで同時に、その瞬間のストーンヘンジを見ながらまるでそこに自分が立っているようにリアルな感覚になったことの不思議さ。

その数日後、ストンヘンジ近辺で新たに4500年前に環状に造られた建造物の柱体の穴が見つかったということが報道されました。柱体が作る幅2キロの円は、これまで発見されたものの中では一番大きく、専門家は神聖な場所との境界を意味するのでは?と言っています。

ストーンヘンジ付近の遺跡発掘に関しては、これまでにも、そしてこれからも常に新しい発見があることでしょう。

6/18/2020

コロナウィールスによる旅行のキャンセル

今年海外旅行を計画していた方々は単に予定変更だけで済むかというと、そういうわけにはいきません。すでに予約したホテル、訪問場所、レストランなどのキャンセルというめんどうな手続きがあります。

ロンドンも、観光名物のバッキンガム宮殿の衛兵交代はとっくにキャンセルされていますしロンドン塔などの観光名所も閉館になっていて、はっきりいつオープンになるのかもわかりません。






予約時にお金を支払っていない場合は簡単にキャンセルができるようですが、すでに全額、またはその一部でも予約金として支払っている分に関してはさらにめんどうな手続きが必要です。日本からですとそれも大変なので、お客様、または旅行社からキャンセルの交渉の依頼があります。

この場合、契約書にはテロ行為や天候でサービスが提供できないときのことは書かれていても今回のようにロックダウンのことは表示されていないので、ケースバイケースで交渉をします。

特にお付き合いのあるホテルやバス会社、専用車の場合はほとんど問題はありませんし、初めて連絡するホテルも「事情が事情ですから」と、キャンセル、払い戻しをしてくれます。本当にお客様のことを心配してくれるホテルもあって、「再開したら、うんと素晴らしい滞在をしていただきましょうねー。」などと、励ましあうことも・・・・

ところが、そうはいかないホテルや訪問個所も2件ありました。私の常識から言って、契約したサービスが提供できないのであれば返金は当然だと思うのですが。

一番ひどいかったのがある貴族の館です。この館はかなりの人気で、予約しなければ切符が売り切れることがあるために、旅行社は全員の分をまとめて購入しました。しかも一名分が15000円以上という法外な値段です。その返金を依頼したところ、館が閉鎖されていて訪問が不可能であるにもかかわらず、あっさり断られてしまいました。延期はできるそうですが、日本からだとそう簡単に「ああ、オープンしましたね。では行きます。」というわけにはいきません。それだけではありません。「返金を要請する場合は、クレジット会社に依頼してください。その場合は、予約した会社とは将来取引をしません。」などと信じられない返事が返ってきました。もう少し優しい書き方というものが\あるでしょうに!!!と、私はしばらく怒っていました。

コロナの影響でそれぞれのホテルや観光名所などのビジネス法、主義を垣間見た気がします。これからは、自分たちのビジネスだけではなく、サービスを提供するお客のことも真に考えてくれるところとお付き合いをしたいです。

イギリスでは今のところ7月4日から宿泊施設はオープンということですが、観光客が安心してホリデーに出かけられる日が一日も早く来ることを祈っています。




6/12/2020

薔薇の季節

予定通りにいけば、5月から6月にかけて日本、イギリス、アメリカの家族が全員広島で合流する予定でした。コロナウィールスが世界旅行を始めなかったらの話・・・・・そして今頃私は今年最初のガーデンツアーが終わり、2本目のツアーの真っただ中・・・・でも現状は予定とは反対に私は家の周りを毎日グルグル歩いています。去年の今ごろは色々なガーデンでお客様と花に囲まれて、素敵な時間を過ごしたことが夢のようです。でも今年も薔薇は間違いなく咲いてくれています。散歩の時に写した薔薇です。
















そこで薔薇好きの皆さんとシェアーをしたいビデオがあります。ナショナルトラスト所有のモティスフォント・アビーのビデオです。10分間の短いビデオですが、薔薇のことが良くわかります。時々「枯れたバラが多すぎる」とお客様からコメントをいただくことがあります。このビデオを見れば「なるほど」と理解してくださると思います。バラは花だけではありません。花が終わって出来るローズヒップもまた美しいものです。野生動物のためにも花が終わったからと言って、すぐに摘んでしまうことはしないようです。

まず下のアドレスでナショナルトラストのウェブサイトに入ってください。

https://www.nationaltrust.org.uk/gardens-and-parks?campid=email_central_Newsletter_11062020_Sub3MEMNONFAM#

次に 

Video

Take a tour of a rose garden




の写真をクリックしますとビデオが始まります。

モティスフォント・アビーはロンドンからかなり離れていて、最近ではなかなかツアーでは行かなくなってしまいました。バラに関しては毎年最盛期が微妙に違うので、せっかく遠くまで行っても最高の状態で薔薇を見ることが出来なかったり、雨が降ったりして楽しめないことが理由のようです。時間に余裕を持って1,2日近くに滞在する日程を組むことができれば最高なのですが。でもここには450種類、2000本の薔薇が見られますし、日本でも人気の薔薇「グラハム・トマス」の名前になったナショナル・トラストのアドバイザのことにも少し触れています。

今年は海外からイギリスに来る人は、到着から2週間の検疫期間がありますから海外からの観光客はゼロに近い状態です。でも来年のこの時期はその反動で「待ってました!」とばかりに海外から大勢の人が集まるかもしれません。

6/10/2020

ロックダウンの前と後

アメリカの警察による黒人殺人事件の影響はイギリスのも広まっています。ロンドン、オックスフォード、ブリストルではプロテストのための大きな集会に発展しています。18世紀に奴隷貿易で富を得た人の銅像が川に投げ込まれたり。

私も仕事でナショナルトラスト所有の大邸宅を訪れたりしますが、その中には奴隷貿易で儲けたお金で建てられた家も少なくありません。信じられないことですが当時は奴隷制度がいかに非常な行いであるか、関わった本人はもとより一般の人たちも気が付いていなかったのです。そんなことが今、私たちが住んでいる地球上でも起こっています。今まで当然として受け入れてきたことも、ここでもう一度考え直す必要が\出てきました。

今世界中で大きな変化が起こりつつあります。今まで考えもしないで受け入れてきたことがコロナウィールスの影響で生活、習慣の見直しが始まっています。

話は変わりますが、こんな記事を見ました。ロックダウンで閉鎖されているパブに関しての記事です。早くて7月4日にはオープンするだろうと言われているパブですが、レストランやカフェなどが閉鎖されるのとパブが閉鎖されるのはちょっと違います。音楽もなく、人の声しか聞こえず、100年、時には4~500年経っている古い建物で友達と楽しく、時にはひとりで静かにお酒を飲む、カウンターに座って知らない人とおしゃべりをすることも・・・・・イギリスにとってはパブは昔から社交の場所でした。ところが今は、家で家族と一緒に過ごす時間が少なくなってきています。

そこでパブが閉鎖されて、好きな生ビールも飲めない人たち用に考え出されたのがテイクアウトのビール。ペットボトル、スパゲティ用の容器などを持って行けばビールを入れてくれるパブが出てきたと新聞には書かれていました。




これは1950年代から70年代にかけて行われていたことだそうです。つまり昔の習慣が戻ってきたというわけ。そして、もしかしたらロックダウン後もテイクアウト制は続くことも考えられます。地ビール、超小さなビール工房で作られたビールを家でゆっくり飲む習慣が再び始まるかも?その結果、家族と過ごす時間も多くなります。




そして他の食料品についても同じです。私は以前は品物を見ながら選んで買うことが好きだったので、配達は考えてもいませんでした。ところがそうしているうちに食料棚には使わない食品が溜まり、賞味期限が切れたり、無駄が多いことが気になってきました。配達をお願いすれば、本当に必要な物だけを買うようになります。スーパーマーケットが一般的になる前は、車で食料品を売る車は珍しくなく、その日に必要なものを買っていたようです。




ロックダウン後に変わるかもしれないことは他にもあります。自宅で仕事をする人が増えることです。別にオフィスに行かなくてもパソコンがあれば家で出来る仕事は沢山あると思います。ミーティングもズームビデオで出来る時代です。その結果、満員電車に乗る必要もなくなり、通勤に費やしていた時間を家族と一緒に過ごす、または趣味の時間に当てることができます。そして車の数も少なくなるでしょうから公害も減る?電車、地下鉄、バスの数も減れば音も少なくなって、都会にも鳥の鳴き声が聞こえるようになり・・・・・と期待は無限です。でも、そう簡単にはいかないことも事実。家で仕事をすれば帰宅時間もなくなり、いつまでも仕事を続けるようになるかも?

コロナ前とコロナ後の人々の生活の変化、世界の動きに注目したいです。


6/01/2020

今日から新しい暮らし。

ロックダウンも急速に解除に向かう気配です。専門家を含む多くの人が早すぎると否定的ですが、政府は断固として実行する予定です。

ところがイギリス国内でも、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドがそれぞれ発表したルールが違うので複雑です。同じ家族以外でも集うことが可能になった今、境界を越えた途端にルールが変わるのは困ります。でもそこが4つの国から成り立っている連合王国ユナイテッド・キングダムの性ですから仕方ありません。

ロックダウン緩和と言っても、社交距離を守ることが絶対条件です。その距離も国によって違うようですが、イングランドの場合は2メートル。今日から11歳までの小学校がオープンしていますが、学校では机の位置を変えたり、子供たちがお互いに接触しないように色々対策を考えているようです。でも小さな子供たちが常に2メートルの間隔を保つことは正直無理だと思います。

また今日から持病を持ったひとも散歩に出かけられるようになりました。それで主人と一緒に5週間ぶりに散歩に出かけるつもりです。完全にロックダウンの時は私にとってもご近所以外の人と話をするのが唯一の機会でした。散歩の際は知らない人と30分も立ち話しをすることも珍しくなくなりました。また話をしなくても通る人に楽しい気持ちになってほしいと自宅の塀にお人形を置いたり、窓ガラスに自分で描いた絵を飾ったり。「一緒に我慢して、この危機を乗り越えましょう。」という気持ちがあちこちで感じられました。


誰が置いてくれたのか、野原や林に置かれた石には可愛らしい絵が。










他の人のことを気遣うこういう気持ちがロックダウンが完全に解除された後も続いたら、素敵な世の中になりますね。