1/26/2022

新年のご挨拶

 新年のご挨拶がすっかり遅れてしまい、申し訳ありません。

2021年はパンデミックの影響で自由に行動することが困難な年でした。今年こそは家族や親しい人といつでも会える年になりますよう祈らずにはいられません。

そんな中で、今日は悲しいお知らせをしなければいけません。私の英国での親のような存在だったメアリーが亡くなりました。皆さんのなかでもメアリーをご存じの方々が多くいらっしゃいます。全ての方々に直接お伝えすることができませんので、下記の手紙を共有させていただきます。


皆様

 

今日は悲しいお知らせがあります。

メアリーが亡くなりました。

 

2週間前にホームに入られたのですが、23日夜から意識を取り戻さずに24日午後4時に(日本時間25日午前1時)帰らぬ人となってしまいました。

昨日はお孫さんのBelindaさんと彼女の思い出話をしました。いつも笑顔で、誰にも親切なメアリーでした。教会や村のチャリティ活動にはいつも惜しみなくエネルギーを最大限につぎ込んでいました。シェフの資格も取得したというお料理の腕はご存じの方もいらっしゃると思いますが、温かさが籠った家庭料理でした。

 

お父様が牧師さんでしたから、教会のボランティアは特に熱心でした。結婚式やお葬式があるときは、教会内にいつもお花のアレンジに行っていました。そういう彼女の好きな白い百合が、キリストの母の聖母メアリーのシンボルだったことも偶然ではないかもしれません。誰にとっても母親的な存在の人でしたから。

 

私がメアリーと初めて出会ったのは1997年の秋です。ヘレフォードにある小さな村アリングズウィックでホリデーを過ごした後、ロンドンに帰る前に村の教会を訪れたときのことです。教会で友人とお掃除をされていたのがメアリーでした。「掃除機の音がうるさくてごめんなさいね。」というのが彼女の最初の言葉でした。そして歴史好きのメアリーが「特別なものをお見せしましょう。」と祭壇にかかる布を持ち上げたところ、祭壇の横に描かれていたのが19世紀に描かれた沢山の天使の絵だったのです。古い建物、特に有名ではない田舎の教会を訪れるのが好きな私とメアリーはこうして出会い、20年以上親しくお付き合いをさせていただいていました。パンデミックで会いに行くこともできない状況が続きましたが、電話ではお互いの近況報告をしていました。

 

それからは、メアリーと、ご主人のフランクは私のイギリスでの両親的な存在になりました。「イギリスの田舎に興味のある日本の方がいらっしゃったらいつでもお連れしてね。」とおっしゃっていて、これまでに友人、親せき、お客様を数えきれないくらいご案内しました。特に私の両親は同年代のメアリーとは言葉は通じなくても、気持ちが通い合っていて楽しい時間を何度も一緒に過ごしました。

 

フランクが亡くなった後は、娘さんがいらっしゃるミッドランドのカルワースという村に引っ越し、おひとりで住んでいらっしゃいました。いつも来客があった時のために自家製のビスケットを用意していて、紅茶と共に出してくださいました。中でも生姜とチリのビスケットは私の好物となり、今でも彼女のレシピ通りに作っています。

 

まだまだ思い出は尽きません。メアリーとの思い出が、これからも皆様の心の中で小さな灯となって灯り続けていくことと思います。

 

もし皆様のお知り合いの方で、メアリーをご存じのお友達がいらっしゃいましたらこのメールの内容をお伝えいただければ幸いです。

 

メアリーに感謝を込めて。

 

木島タイヴァース由美子




ご冥福をお祈りします。