2/19/2018

ダルメインでマーマレードの審査

「世界マーマレードアワード&フェスティヴァル」のアワード審査のために開催地であるカンブリア州のダルメインの館に行ってきました。
 (日本では一般的にダルメインと呼んでいるので私もこれからはデイルメインではなくダルメインと書くようにします)

ダルメインの館は最古の部分が12世紀という歴史ある建物で、「マーマレードアワード&フェスティヴァル」はそこに住むジェイン・ヘイゼル・マコッシュ夫人が初めてから今年で13年目を迎えます。昨年NHKのテレビで彼女の1年を紹介した番組が放映されたのでご存知の方もいらっしゃるでしょう。今年は3000以上の応募があったとかで二日間泊りこんで完ぺきに缶詰め状態で審査に集中しました。




16名の審査員は、800個のアーティザン(職人)の部門を担当しました。ふたりづつペアーを組んで、それぞれのマーマレードを深く審査します。そして味、香り、見た目、皮の入り具合などのカテゴリーごとに点数がつけられ、最後にはコメントと共に「改善するにはどうしたらよいか」の提案も加えられます。













 20点満点のうち合計得点が18点以上になれば、金賞ということで特別なテーブルに移されます。

金賞を獲得したマーマレードたち。



昼食の45分を除いては審査に没頭。おやつに出たスコーンはダルメイン特性です。マーマレードの甘さに体中が浸かっているので、出来立てセイヴリーのスコーンのおいしかったこと!食べている間も審査は続行です!





アマチュアの部門は隣の部屋で何日も前からですでに審査が始まっていました。その数は2200個!!!






イギリス各地から集まった審査員たちは食のジャーナリストや有名シェフ、パティシエ、有名食品店のバイヤー、大手スーパーの食のコンサルタント、ジャム専門家などですが、それぞれ個性的。今年は大丈夫でしたが、意見が合わずに険悪な状況になることもあるとか。二日間寝起き、3食(そしてお茶の時間)を共にすれば、そこには不思議なコミュニティが生まれます。審査が終わった途端に急ぎ足でそれぞれの家路につきましたが、今年はジェインさんのお人柄を反映するかのように審査員は意気投合して真剣な審査の時間の他は冗談を言い合ったりして笑いが絶えることはありませんでした。

ダルメインはそのガーデンでも 知られていてジェインさんが庭を案内してくださいました。





ご主人のお母様が書かれたダルメインの庭に関する本。



丁度スノードロップが咲いていました。






私はここ15年程毎年この時期にマーマレードを作っていますが、マーマレードは実に不思議なエネルギーを私に与えてくれます。寒い冬の夜に湯気立つキッチンでオレンジの皮を刻み、食べてくれる人の顔を想像しながら過ごすひと時は私にとってまるで一年分のエネルギーを補給してくれるかのように大切な時です。

ここ数年日本からの出品も増えました。他の日本の柑橘類や果物を加えたりして審査員の間では日本の柚子マーマレードは好評です。出品した人、会社の名前はわからないようになっていますが、柚子ではなくとも味見した途端に「これは日本のもの!」と言い当てる目利きの審査員もいます。日本人の繊細さが出るのでしょうか?

日本でもマーマレード熱は上がる一方で、来年5月には愛媛県の八幡浜市で「ダルメイン・マーマレードアワード&フェスティヴァル」が開催される予定です。

今朝、産経新聞に原稿を提出。リレーコラムでは今回は、「ダルメイン・マーマレードアワード&フェスティヴァル」について書きました。掲載は3月6日の予定です。

明日からは泊りがけでジャム講座を受ける方のご案内でデンマンカレッジに行ってきます。なんだか2月3月の仕事はマーマレードに始まりマーマレードに終わりそうです。