5/20/2017

我こそベイクウェル.プディングの元祖

丘陵地帯にある町ベイクウェルはベイクウェル.プディングで知られています。このお菓子はある間違いからできたものと言われています。1820年ころのこと。町のホテルの女将さんが外出する際に料理人にジャムタルトを作るように、そのレシピをおしえました。そのレシピはパイ地に卵とアーモンドぺイストを混ぜるというものでしたが、その料理人は間違って、卵とアーモンドペイストを混ぜてパイ地に敷かれたジャムの上に流し込んだために、結果は卵とアーモンドペイストが程よく混じってカスタードに似たものになり旅館のお客に大好評でした。こうしてできたものがベイクウェル.プディングとなったのです。

さて問題は、この町には「我が店こそベイクウェル.プディングの元祖」というのが3軒もあることです。今回行ったのはそのうちの2軒でした。


オールド.オリジナル.ベイクウェル.プディングショップ






ブルーマーズ
 
 
 
 
「最初でオリジナルのベイクウェル.プディング」と更に元祖であることを強調しています。
 
 
 
 
 
 
両方買って、ホテルで皆で試食しました。
 
 
 
 
 
 
 
 
どちらが美味しかったかって? どちらもそれなりに.....実は袋から出したらどちらがどちらかわからなくなってしまいました。
 
因みにベイクウェル.タルト、チェリー.ベイクウェルと紛らわしい名前の物が他にもありますが、これらはベイクウェル.プディングとは別物なので話は更にややこしくなってきます。
 
 


5/16/2017

私の新しい古い町

随分ご無沙汰してしまいました。5月5日に引っ越し、その後ブルーベルツアーに出て昨日戻りました。ブルーベルツアーはオックスフォードの南にあるデンマンカレッジから始まり(このツアーのことは近いうちにカルチャーツーリズムUKのウェブサイトでご紹介します。)、昨日ヒースロー空港で終了したのですが、初めて「不便なところに引っ越してきたなー。」と感じました。

新しく住むことになったWinslowウィンズローの町は列車の駅がある隣町Aylesburyからバスで20分です。主人と私の希望の町として全てを満たしてくれる町が見つからず、一年近く探し続けてしまいには友人から「まだロンドンにいたの?」と言われる始末......

でも引っ越して来て本当に良かったと思っています。ここは人口4400人のマーケットタウンです。西暦700年の後半にアングロサクソンの王がセント.オルバンズの修道院にこの土地を与えたと記録されています。中世には定期市が開かれるマーケットタウンとして栄えたため、町の中心にはその時代の古い建物が多く残っています。








 
 
 
 
毎週水曜は町の中心のマーケット広場で小さなマーケットが開かれ、新鮮な野菜が手に入るので、水曜は買い物の日になりそうです。その他、毎月第一日曜はファーマーズマーケットが開かれます。
 
 
 
 
子供用のハリネズミのパンがあまりに可愛らしく、買ってしまいました。
 
 
 
 
 
 
えっ?もしかしたら日本人?やっぱりそうでした。美しい歌声の女性の隣でギターを弾いている方。向こうもびっくりした様子。こんなところに日本人?って。 今回は初めてウィンズローのファーマーズマーケットの主催者からお声がかかってわざわざロンドンからやって来たそうです。また来てほしいなー。
 
 
 
 
 
 
ホームメイドのチョコレートを売っている男性ふたり。「ヴィーガンチョコレートも研究中だよ。」とうれしい情報。巡回中の女性のお巡りさんに、「これっ、味見してください!」と。
 
 
 
 
ウィンズローほど犬の多いマーケットは記憶にありません。ここに住むことになったので、そんなことが特に気になるのかもしれませんが、私たちもルビーとジャスパーを連れてご挨拶。糖尿病の方が、インスリンの作用が不足していることを事前に感知して知らせる訓練を受けている犬もいました。ルビーも興味津々。
 
 
 
 
すぐ近くでリンゴ酒を作っているという女性たち。Cider Lushはリンゴ酒で出来た細かいかき氷みたいなもの。午後から車を運転しなければならなかったので、この日は断念。次回は絶対トライするぞ!と。
 
 
 
 
 
 
 
 
家から町までは歩いて10~15分です。途中で通る公園や植林園。
 
 
 
 
 
 
 
ロンドンしか住んだことのない私たちが第二の人生を過ごすのに選んだ町は今のところとても住み心地の良い所。でもこれから2年をめどにロンドンに戻るか、ウィンズローで暮らすかを考えたいと思います。


4/28/2017

引越しの準備

引越しは5月5日に決まりました。「こどもの日」の引っ越しです。

それで今は30年以上たまったものを片付ける毎日です。持っていたことさえすっかり忘れてしまっていたものが続々と出てきました。今回の引っ越しはそういうものを処分する良い機会でした。今度住むことになる町はロンドンから車で1時間半くらいのところですので、そんなに田舎ではないのですが、いざ引っ越しとなるとパッキングの他に友人と会ったり、ごみをリサイクル場に持っていったりと忙しい毎日です。しかも今度の家は今の家よりかなり小さくなりますので、持って行けるものは半分以下。家具はほとんど小さなものに買い替えです。まるで新婚さんみたい。まだ使えるものは友人がチャリティショップでボランティアをしているので彼女の所に持って行きます。

2000冊を超える本は、日本人の友人に引き取ってもらったりチャリティショップに寄付するほかは、悲しいかなほとんどは段ボールと一緒にリサイクルです。毎日車で、あっちに持っていったりこっちに持って行ったり。私の人生の一こま、一こまを語ってくれ、山のようにある写真は処分するのが難しい!でも心を鬼にして!

そんな中で仕事の手を休めて庭を眺めると、林檎の花びらはすっかり散ってしまいましたが、その代り今度は忘れな草やカリフォルニア.ライラックの鮮やかな青い花が疲れを癒してくれます。そしてもう一週間以上も前に随分早く開き出したバラが、姿を変えずそのままの形で咲き続けてくれています。私たちのために? このバラの花びらは押し花にして連れて行きましょう。







そしてもうひとつ蕾が。




人生の半分以上を過ごし、段ボール以外は空っぽになりつつあるこの家の中で主人と淋しい気持ちを隠せない毎日ですがそんなときは新しい人生のスタートを考えることにしています。これからはもっとヴィーガニズムに関わったことをしながら暮らしたいと思っています。ガイドとしてご案内させていただくお客様で、興味のある方には我が家でヴィーガン食を召し上がっていただいたり、いずれは町のマーケット広場でヴィーガンケーキを売ったりできれば.....なんて夢は膨らむばかり。ロンドンでの仕事は少なくなりますが、今度の町は多分日本人もいないでしょうし日本の方々と触れ合う良い機会でもありますのでツアーの仕事やロンドン以外のドライバーガイドとしてのご案内は続けたいと思っています。


そんな時にウェイトローズのスーパーに行ったら玄関を入ったところにこんなものが。


Joy of Japan !!!




日本食ブームは相変わらず根強いですね。田舎に行って淋しくなったら車で大きなスーパーに行って、日本食コーナーで過ごしましょ。

4/16/2017

イースターエッグ論議

イースターの食べ物のひとつホットクロス.バンはキリストの苦難をしのんで断食をおこなう40日間が(Lentと言って四旬節)終わるGood Friday(キリストが十字架にかけられた日)に食べます。キリストに因んで十字架が上に描かれ、レーズンやカランツにシナモンやオールスパイスなどを混ぜた、どちらかと言えば菓子パンのようなものです。







イースターと言えば昔は卵の殻に絵を描いてプレゼントしたり、王侯貴族はロシアの宝石商ファバジェに宝石をちりばめた卵を注文したりと、卵がその象徴とされています。殻を破って出てくるひよこが、キリストの復活に似ているからだそうですが、今はチョコレートで出来た卵がほとんど。この時期になればスーパーの棚には色々なチョコレートの卵が並びます。そして子供たちには楽しみにしているエッグハントがあります。チョコレートでできた卵を探すゲームのようなもので、バケツを持った子供たちは嬉しそうです。







子供が多い地域では大人も一緒になって、中にはストリートパーティにまで発展しているところも。

 
 
 
 

さて、このエッグハント、今年はちょっとした騒ぎをもたらしました。ナショナルトラスト所有の多くの場所では毎年子供たちのためにエッグハントのイベントが行われます。今年も35万人が参加すると予想されていました。ところが、今年はロゴから‘イースター’の文字が消えて、Cadbury Easter Egg HuntsではなくCadbury Egg Huntsになったことから、騒ぎが始まりました。Cadburyはチョコレートを作っている会社で、ナショナル.トラストのEgg Huntsのスポンサーになっています。(イギリスのJohn Cadburyが1824年開業、2010年にアメリカの会社が買収)

Cadbury側が、「クリスチャンだけではなく、他の宗教の人たちや宗教を持っていない人たちにもアピールしたい。」と言ったことで、またまた騒ぎが大きくなりました。ヨーク司教は、「Cadburyの創設者John Cadburyは敬虔なクリスチャンだった。チャリティにも力を注ぎ、キリスト教の教えに忠実だった。キリスト教徒にとって最も大切な行事にイースターという文字が消えたのはCadburyのお墓に唾を吐くようなもの。」とかなりお怒りのご様子。

果はメイ首相までがコメント。「私は牧師の娘ですが、ナショナル.トラストの会員でもあります。イースターはクリスチャンにとってきわめて重大な行事です。伝統のEaster Egg Huntからイースターの名前が消えるなんて馬鹿げています。ナショナル.トラストは一体何を考えているのでしょう!」と強いお言葉。これに対してナショナル.トラスト側は「他の広告を見てもわかるようにイースターの文字は多く使われている。キリスト教を否定しているわけでは決してない。」と反論。

最近は宗教に関しては、イギリスでは過度に神経質になっている気がします。今回起こったエッグハントの論議は、現在でも一応クリスチャンの国であるイギリスで、胸を張ってイースターのお祝いをすることが何故疑問なのか?という人たちが「物申す!」と立ち上がった気がします。以前飛行機で敬虔なクリスチャンであったキャビンアテンダントが十字架のペンダントをしていたことでクビになるかならないかで問題になったことがあります。これも公共の場で極端に宗教を避けようという風潮から出た問題でした。

イスラム教徒はイスラム教の行事を、キリスト教徒はキリスト教の行事を、ヒンズー教徒も同じく、それぞれの宗教のお祝いをすることは自然なことです。大事なのはお互いの宗教、立場を理解しようという気持ちではないでしょうか。戦争やテロ行為は決して宗教が理由なのではなく、宗教という名のもとに他の宗教を否定することからおこると思います。どの宗教の神様だって、「私に従わないものは処刑する」なんて言うはずがありません。

日本では、今は考えられない論議かもしれません。でもこれからは益々国境のない世界が現実化してくる中で、日本にも将来さまざまな文化、宗教が入り込む可能性は十分あります。それは決してマイナスになることではなく、返って国際社会での日本であるには不可欠なことだと思います。でも日本の神道や仏教に因んだイベントはそのままの形で残るようにしたいものです。






4/13/2017

キリストの磔刑が何故Goodなの?

昨日お客様から「マーマレードは何故イギリスでは朝食以外には食べないのですか?」という質問がありました。時々日本からメールでイギリスの習慣についての質問を受けます。即答できないものは、なるべく調べてお返事するようにしています。イギリスに住んでいると伝統、習慣で慣れっこになっているので気が付かないことが沢山あります。「紅茶の国なのに何故食後はコーヒーなの?」「イギリスと日本ではイングリッシュガーデンの意味が違うと思うのですが?」「何故イギリスではウォッシュレットがないのですか?」等々.....

そして今日、「何故イギリスではキリストが死んだ日をGoodと言うのでしょう?」というメールをいただきました。本当ですねー。十字架の上で血を流してぐったりしているキリストを思い浮かべると、ちっともGood でない気がします。

そもそもイースターは毎年春分の日の後の最初の満月から数えて最初の日曜日から始まる一週間と定められているために毎年日が変わります。それで今年はイースターは4月9日の日曜から始まり、4月14日がGood Fridayで16日がキリストが復活したEaster Sundayになります。この一週間をHoly Weekと言います。

キリストが私たちに代わって罪を償って十字架にかけられた日をGood Fridayと呼ぶ理由ですが、
専門家がいくつか考えられる答えを出しています。その中のいくつかをご紹介しましょう。

その1.キリストは死んだが3日後には復活している。これは正にキリスト教の真髄で、苦しみの後には光が待っていることを示す。 (私:それなら復活した月曜がGood Monday、またはBest Mondayと言われるのが自然。でも月曜はEaster Mondayと呼ばれているのは何故???と疑問が残る)

その2.Good FridayはGod's Fridayから来ている。(私:フム。少し納得)

その3.Goodは昔Holy(聖なる)と同じ意味だったので、Holy FridayがGood Fridayになった(Oxford 辞典から) (私:もっと納得)

こうやって日本から寄せられる質問によって気が付くことって多いんです。答が解明されていないことをみんなでディスカッションするのもおもしろいですね。いつか日本でやってみたいです。


我が家の庭の林檎の木の今朝の写真です。満開になりました。
 
 
 






4/11/2017

イギリスの林檎

30年以上住んだこの家を離れる日も近づいてきました。いつかはロンドン以外の場所で暮らしてみたいといつも思っていましたが、いざ離れると思うとちょっぴりセンチメンタルな気分にもなります。

我が家の庭には息子が生まれた時に記念として植えた林檎の木があります。昔、お隣さんの庭には大木があり、そのすぐそばに植えてしまったために林檎の木は太陽の陽を求めてどんどん大木から離れていって、いつの間にかぐんにゃり曲がってしまいました。いつからか私たちはこの林檎の木をDansing Queenと呼ぶようになっていました。その年によって収穫率はだいぶ違いますが、甘さもほどほどの美味しい林檎を作ってくれます。今年は沢山蕾をつけてくれて、その蕾が日ごとに開いてきています。

















さて、リンゴはイギリスでは最もポピュラーな果物のひとつです。イギリスのアップルパイは有名ですし、リンゴを使ったデザートは数え切れず(アップル.クランブルなど)、他の料理にも多く使われています。我が家ではソーセージとリンゴのシチューが人気で、よく作っています。

有名な諺さえありますよ。

An apple a day keeps the doctor away. 一日一個のリンゴを食べていれば医者はいらない。

リンゴは「ヴィタミンCが豊富」「免疫度を強化する」「アルツハイマーの防止に効果的」「コレステロールを下げる」等々、昔も今も学者さんたちがリンゴに関してさまざまなアドバイスをくれます。納得いくものや???と思うものや。

さてイギリスのリンゴのことに戻ります。イギリスには新石器時代から林檎はあったと言われ、ローマ人も大いに好んだそうですが、美味しい林檎を育てる大きなきっかけとなったのは1066年のノルマン征服の際にフランスからコスターという林檎がもたらされた時でした。修道院では果樹園が造られ、コスター林檎があちこちで生産されます。因みに町で見かける露店の果物売りはコスタマンガーと呼ばれますが、それもこの林檎の名に由来しています。

その後疫病や、戦争など中世の歴史に影響されながら林檎の人気も上がったり下がったり。

近年に入ってからは1973年にイギリスがEUの前進であるEECに加盟してから、リンゴの生産は一時的にかなり少なくなりました。それは生産力の高い他の温かいEUの国々からゴールデン.デリシャスやグラニー.スミスなどのリンゴが大量に入って来たからですが、実はそんなに暑くならないイギリスで適当な雨に励まされてゆっくり育てられたリンゴは質が良く、味、香りも良いのです。でもその頃は大量に生産されていなかったために値段が高く、その結果多くの林檎園が閉鎖されました。

最近では逆に、「イギリスの気候に合ったリンゴ」の生産が盛んになり、スーパーでもユニオンジャックの国旗のスティッカーのついたコックスやガラといった国産のリンゴをよく目にするようになりました。適当な温度と湿気、適度の雨に相応しいイギリスの林檎が味、質の面で見直されてきたのです。

料理用専門の林檎としてはブラムリーアップルがあります。1809年にメアリー.アン.ブレイルズフォードという18歳の女性が庭に植えた種に始まったこのリンゴはそのままでは酸っぱくて食べられませんが、熱を加えても香りがそれほど抜けず、ふわっとした食感になるためにイギリスの家庭で使われる料理用のリンゴの95%以上がブラムリーアップルとか。マーマレードで言えばセヴィル.オレンジのようなものですね。酸っぱくて、苦くてそのままでは食べられませんが、マーマレードにすると抜群の風味がでるというのに似ています。

日本でもこのブランムリーアップルを育てているところがあります。これまでに何度も名前を耳にしたObuseというところで生産されています。なんとブラムリーアップルのファンクラブも日本にあるとか。きっと同じブラムリーアップルでも長野県の気候にあったおいしい林檎なのでしょうね。そのままでももしかしたら食べられる?

こうしてイギリスで生まれる林檎のことを考えていると、我が家の林檎の木にも益々愛着が湧いてきます。ましてや林檎の花を見るのがこれで最後と思えば尚更です。それを知っているかのように、今年はいつもより沢山花を咲かせてくれている気がします。


4/04/2017

コッツウォルズの春

昨日、春にもらったエネルギーを体いっぱいに感じながらコッツウォルズのツアーから戻りました。どこに行っても鮮やかな緑の新芽や色とりどりの花に歓迎され、その上運よくお天気にも恵まれました。
 
特にモクレンが見事でした。バイブリーの村でも。
 
 
 
 
 
 
ウォーキングの途中でもあちこちで春を感じて。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
「大きな桜だなー!」とお客様。
木のことではなく、お花自体が日本の物よりも随分大きいそうです。「食べ物がちがうのでしょうか?!?」
 
 
  
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
少し霧に包まれた幻想的な朝。
 
 
 
 
レストランで朝食をとっていたら....嬉しい訪問客です。
 
 
 
 
コッツウォルズから少し北にあるストラットフォード.アポン.エイヴォンにあるシェイクスピアの生家では毎日シェイクスピアの劇が上演されています。時には観客も加わって盛り上がることも。
 
 
 
 
 
この町の観光バスの駐車場隣にあるティーショップ HR Coffee and Catering内には犬用のお水とビスケットが用意されています。犬好きのオーナーなのでしょう。ホームメードのケーキ、簡単なパイ類があって自由時間に簡単なランチやお茶をという場合はお勧めです。入口は狭いのですが、奥に行けばテーブルもたくさんあります。
 
 
 
 
こうして九州からいらっしゃったお客様たちはイギリスの春をいっぱい持って昨日帰国の途につかれました。