4/30/2015

‘人生も悪くないもんだ’ と感じる時。

ここ数年、年のせいか自分でボヤキが多くなってきたように思います。家の近くの道路にゴミが落ちていると、「昔はこんなものを道端に捨てる人はいなかったのに。」とか、お店で異常に高い値札を見ると「誰かがどこかでとんでもなく儲けている証拠」とか。究極は「なんで一日は24時間しかないの!」と、バカみたいなボヤキです。

でも本当はそうではなくて、実は‘人の世も捨てたものではない’と思うこともあるんですよ。日本から帰ってまだ一週間も経っていないのに、一日のうちにそう思えることが3件あった日もあります。

まず一件目。お財布に入っていた日本円をポンドの紙幣に変え、クレジットカード、免許証も全てイギリスで使うものと取り替えてさあ買い物。スーパーのウェイトローズで食料を買って支払いの時点でお財布がない!車に乗る時は確かにあったのに。さあ、パニックです。車からスーパー内でまわった足どりを辿ったのですがない! クレジットカードをストップしなくては!

「あれっ?携帯もない。家に忘れてきた!」ウェイトローズで電話を借りようとカスタマーサービスへ。そうしたらなんとそこの人が手にしているものは正に私のグリーンのお財布ではありませんか!

「落とされたようですね。お客様が見つけてすぐにここに届けてくれました。」

日本ならあり得ることですが、イギリスでこういうことがあるなんて!‘Today is my lucky day !!!’と
何度も独り言を言いながら帰宅。見知らぬ親切な人に感謝しながら。

そして同じ日、ミュージカルに行きました。少し早目にロンドンに出たのでロンドン博物館に寄りました(Museum of London)。ここはロンドンという町がローマ人によって2000年前に作られるずっと前の先史時代から今までの歴史をたどっているおもしろい博物館です。(つい一か月ほど前、2021年にスミスフィールドに移転が決定)







街のど真ん中にある博物館の正面の庭で、目の覚めるような鮮やかな緑の芝生を見た時の気持ち。「ああ、こんなところに庭を作ってくれてありがとう。おかげでここまでの地下鉄の中での疲労が一気に回復しました。」








マロニエの花が咲き始めました。
 




そしてミュージカル。友人と待ち合わせるために劇場の椅子に座って本を読んでいた時の事。隣にはちょっと怖そうな顔つきのお兄さんが携帯の上で素早く指を動かしながら何やらやっています。そこしか座るところがなかったので仕方なく座ったのですが。なんとなく鼻がモジョモジョしてついにクッシャン!とやってしまいました。その瞬間、「お大事に!(Bless you!)」と実に爽やかな笑顔で言ってくれたのは隣のお兄さんでした。

人は見かけで判断してはいけません。その時に思ったこと。「人間って、悪くないな」 ‘Thank you’ だけしか言わなかったけれど、本当はもっと話したい気持ち。「あなたの一言が私をとてもハッピーにしてくれたんですよ。」くらいは言いたかったなー。‘ Bless you.(*下記をご覧ください。)’はくしゃみをすれば知らない人でもかけてくれる言葉ですが、あのお兄さんの口から出たことで感激したのは言うまでもありません。

一日のうちに3回も人間を見直す機会に恵まれました。本当にラッキーな一日だったと思います。



*Bless you.  お大事に。........1665年に疫病が流行った時にその症状のひとつがくしゃみ
                       だったことからきたという説があります。
                       God bless you.(神のお恵みがありますように)

 子供の動揺に Ring-a-ring o' roses というのがあります。これを読むとわかりますが疫病の症状はまず皮膚に赤い斑点が出きます。そして病気から発する臭いを消したり、病気を遠ざけるためにポケットにハーブを持ち歩きました。その次にハックション、ハックション a-tishoo, a-tishooとくしゃみが出ると死んでしまうという歌です。 We all fall down. 

   
Ring-a-ring o' roses,
A pocket full of posies,
A-tishoo! A-tishoo!
We all fall down.[2]