こんなに春の訪れを待ちわびたことがあったでしょうか?コロナ渦に続き、ロシアのウクライナ攻撃でニュースが続きます。
でも、春は確実にやってきています。毎日散歩に出るたびにクロッカスや桜が花開く様子を見ると、一瞬世界で今何が起こっているかを忘れさせてくれます。
そして今日。今日からイギリスで最大規模の犬の品評会であるクラフツが始まります。ご近所で仲良くしている方は2匹の犬を飼っていて大の犬好き。3匹目を飼うことも考えているとか。彼女が毎年バーミンガムまで出向くのはこのクラフツに行くためです。
実は私はだいぶ前に10年ほど日本の犬好きな方を毎年クラフトにご案内していました。ところが行くたびに気持ちが重くなってくるのです。お客様とも気が合って楽しく仕事をしていたのですが、行くたびに気持ちが鬱になって来て、結局この仕事をやめました。クラフツに出展(?)する犬のブリーダーたちを審査する審査員は、英国ケンネル協会が設定するそれぞれの犬種の理想の形を基礎として判定します。
「耳が大きすぎ」「頭が小さすぎ」「足が細すぎ」・・・・・犬の健康には全く関係のないことで判定するのですから、その意味が解りません。
私が仕事をしていた時はクラフツの実況中継をBBCが毎年行っていて人気がありました。ところが同じBBCがクラフツに関するドキュメント番組を制作して多くの人がショックを受けました。キング・チャールズ・スパニエルは頭蓋骨を小さくするためにブリーディングされ、脳みそがはちきれんばかりで、その痛みから狂ったように死んでいく犬。その数は少ないとは言え、ブリーディングに問題があることは間違いありません。
その後、BBCは50年続いたクラフツの実況中継をやめました。それでもクラフツは現在でも他のチャンネルで放映されています。
人間の判断で良いとされるブリーディングのせいで、犬の体形は変わっています。イングリッシュ・ブルドッグは息をすることに問題が出て来て、また交配も難しく、ダックスフンドは脊髄に痛みを訴える場合が多いそうです。
クラフツでも、品評会だけではありません。例えばアジリティの競技は見ていて犬の賢さに驚くばかりです。指導する人と犬がぴったり息を合わせて走ったり飛んだり、くぐったりする競技ですので犬も楽しそうです。
クラフツは品評会より、このように人も犬も一緒に楽しめることに専念できないものでしょうか?