私はこういう仕事をしていますので、ラッキーなことに今までにいろいろなホテル、BBに泊まりました。どこでも同じですが、「また泊まりたい」と思うホテルもあれば「もう2度と泊まらない!」と思うホテルもあります。でも後者のようなホテルも今となれば「こんなホテルもあったんですよ。」とお客様にお話しできるので、マイナスの経験にはなりません。
私は前泊などで仕事の際に泊まる時はビジネスタイプのホテル、個人で泊まる時はBBや個性的なホテルと、だいたいその時のシチュエーションで宿泊施設を選んでいます。
仕事の時はほんど朝ごはんの前にホテルを出ることが多く、2階.3階から荷物を降ろしたり、玄関を開け閉めする音が他の泊り客を起こしてしまうかも?と気になるために個人の家を開放しているBBには泊まりません。ですから朝早くても問題のないビジネスホテルのタイプが合っています。
個人で仕事のリサーチで泊まるとなればBBを予約します。何故なら、お客様に情報として提供できることもありますが、地元のことはそこのオーナーが親切におしえてくれるからです。こうやって得た知識は、私の仕事には欠かせません。
ホリデーで泊まる際は、セルフケータリング(いつも愛犬と一緒ですから、我が家のように遠慮なく使えるのが魅力です)、たまにちょっと贅沢をしたければペットOKのマナーハウス系のホテルを予約します。
BBの場合は、個人のお宅を開放しているところが多いので、当たり外れが多いものです。でもその割合は‘当たり’が50%、‘普通’が45%、‘はずれ’が5%といったところでしょうか? 皆さんも同じと思いますが、私は私なりにBBに求める‘こだわり’を持っています。清潔であること、サービスがいいことなどはどこの宿泊所でも同じですが、BBではたいてい宿泊客が少ないところが多いために、それぞれのお客にどのくらい時間を割いてくれるか?そういうことも気になります。それと変な基準設定ですが、部屋にティッシュペーパーが置かれてないところはあまりサービスも良くないところが多いんです。
「朝食はX時からX時です。」と言われるBBが多い中、「お好きな時間を言ってください。」と言われれば「本当にお客の事を考えているなー」と感激します。
以前、雑誌での紹介のために泊まったBBで朝食の前に10分ほどレストランで撮影させてほしい旨お願いしたところ、「時間まではレストランは開けません」ときっぱり断られたこともありました。もちろんそのBBは、その雑誌では紹介されませんでした。‘ペット大歓迎’と謳っているBBでは「ここからはペット進入禁止」という部分があまりに多く、愛犬を外にさえ出せなかったこともあります。
さて、最近泊まったBBで思い出に残るところをご紹介しましょう。場所は丘陵地帯の小さな町、Wortleyです。名前はWortley Cottage Guest Houseです。このBBを選んだ理由はこの付近のリサーチをしたかったことと、問い合わせ時の電話での会話に興味を持ったからでした。そこはオーナーが郵便局、ヴィレッジショップ、そしてBBを運営していてなんとなく村のコミュニティの雰囲気を感じたからでした
私は夜はアルコールをいただくので、歩いて行けるレストランがありがたいのですが、予約時にオーナーが「歩いて10分のところにおいしいパブがありますから予約しておきましょう。」と、言ってくださいました。宿泊する2日前のことです。
さて当日、その小さなWortleyの村の真ん中にこのBBはありました。正に郵便局とお店の隣に。
ところが予約を受けてくれたご主人がいません。奥様らしき人が出てきて「あなただったのですね、今日泊まられるのは。主人は今、あなたの今日の夕食の確認にパブに行っています。昨日誰もいなかったので留守電に予約のメッセージを残しておいたのですが、返事がなくて。それで、ひとっ走り行って来る!と出かけました。」
ああ、そこまでしてくれたんだー。なんて親切なご主人。帰ってきたご主人は、こちらから聞きもしないのに、近所でお勧めの観光地のことを熱心に色々教えてくれました。最後に「僕たちは昔、ロンドンに住んでいたんですよ。でもここがすごく気に入って。本当に素晴らしいところなんです。あなたもきっと気に入りますよ。」と。
これがBBの良さですねー。そこに住んでいてハッピーだから、宿泊客にもそれを味わってほしいということ。ちゃんと伝わりました。部屋は立派でもなければ普通の部屋です。朝食も普通。部屋からの景色はまあまあ。もっと素晴らしい眺めのところは沢山あります。
でも、このBBはきっと私の記憶から消えることはないでしょう。「予約確認のために走ってくれたBB」ということで。翌日はご主人におしえてもらった観光地を一通りまわり、満足して帰路につきました。
明日はコッツウォルズ一日観光、翌日から再び丘陵地帯へのツアーに出かけます。