昨日(8月4日)はちょうど100年前にイギリスがドイツに対して宣戦布告をした日でした。今年は100周年ということもあり、ここ数か月は特に博物館での特別展示を始め、さまざまなイベントがイギリス各地で行われています。テレビでも当時のドキュメンタリーや、ドラマなどが一日少なくとも一度は放映されています。
昨日はウェストミンスター寺院でも蝋燭の灯る中礼拝が行われました。‘希望’を表すそれらの蝋燭は徐々に消えて、第一次世界大戦が始まった午後11時に無名戦士のお墓に灯された蝋燭を最後に寺院の中は真っ暗になりました。
またベルギーのリエージュには敵としてイギリスを含む連合国が戦ったドイツ、オーストリアの大統領も参加し100周年追悼式が行われました。イギリスからはウィリアム.キャサリン皇太子夫妻が参加されました。リエージュは1914年8月5日にドイツが侵攻を開始した地です。すぐに解決すると思われた戦争は4年以上続き900万人の戦死者を出しました。
オーストリア.ハンガリー国の皇太子がセルビア人に銃撃され殺されたことがきっかけとなって始まった戦争ですが、結局は何のための戦争だったのだろう?と思います。日本にいる時は世界大戦のことは8月15日に思い出すくらいでしたが、この国に暮らし始めてからは至るところに戦争関係のものが目に入りますし、戦地に派遣されている英国軍のニュースはよく耳に入ってきます。また友人の子供や孫、息子の友人などが兵隊として戦地に行っていますので、戦争がより身近に感じられます。
ガイドのご案内をしている時でも戦争博物館、またロンドンのビッグべンやウェストミンスター寺院近くの官庁街のど真ん中にあるにセノタフ(戦没者追悼記念碑 )が必ず目に入ります。
またセントジェームズ公園に行けばチャーチルが戦争時に内閣執務室を置いた戦争館(Churchill War Rooms)や側には戦争記念碑が立っています。
田舎に行けばどんな町や村にも戦死した兵士の名が刻まれている記念碑があります。
昨日のリエージュでのウィリアム王子のスピーチです。「敵として戦った国々の代表者が今日、こうして和解というパワーのもとに集まっています。我々の間にもはや戦争はあり得ないだけではなく、戦争時に敵とみなされ戦った国々が一体となって3代にわたってヨーロッパ中に民主主義、繁栄、法に対する服従を広め、それを世界中の人々とシェアーするように努力してきました。」
最近、新聞やテレビではウクライナやガザでの悲しい事態が報道されています。100年前に「国のため、家族のため」と信じて戦死した人の日記や、詩に出会うごとに「歴史は‘昨日の敵は今日の友’とおしえているのに何故一時の憎しみのために殺し合いをしなければいけないのだろう?」と思います。