2/17/2016

おもちゃの大切な意味

私がパソコンで出来ることはメール、検索、簡単な書類の作成位で、本音を言えば昔のように手紙を書いたり本で調べたりしたほうが私には合っていたなーと思うことがしばしばあります。でも日本への手紙は届くのに一週間以上かかるし、調べ物をする時は図書館に数時間こもるので、時間的なことを言えば今の方がずっと便利です。そうは言っても生活のスピードが目が回るほど速くなっているのについていけなくなることも。

ところがもうひとつパソコンを利用して良かったと思うことがあります。それは署名運動です。私のメールボックスには一日に少なくとも3通の署名を募るメールが入っています。ほとんどは「もっとも。」と思うもので、キーをポンッと押せば署名完了。便利になりました。

change.orgは世界中で解決しなければいけない問題を署名を通してそれなりの組織に訴える(時には直接首相や大統領などに)というものです。今まで延べ1億3000万人以上の人が参加しています。必ずしも全ての運動に同意するのではありませんが、少なくとも自分が大切に思うことをほんの小さな声でもいいからあげていきたいという気持ちから始めました。

ところでここ数か月、気になっている署名運動があります。それは日本でも人気のおもちゃ‘プレイモービル’に身体に障害を持った人のおもちゃを作ってもらおうというものです。考えてみれば子供たちが遊ぶお人形には車いすに乗ったり、視覚障害の人たちをモデルにしたお人形はありません。でも、イギリスだけでも77万人、世界中に至っては1億5000万人の子供が何らかの障害を持っています。その子供たちを除いての社会はあり得ません。その子供たちが完全に社会の一員として暮らすには一般人の教育が必要です。そして偏見無しに誰もが同じように暮らせる社会を作るには子供のころの教育が大切です。


下の写真は、キャンペーンのために「お手本」として作られたもの。
 



「現在のプレイモービルのおもちゃは、足を骨折した男の子、ブロンドの美人に車いすを押してもらっているお年寄りなどがいますが、そういうおもちゃから子供たちが学べるものはありません。車椅子を必要とするのはお年寄りだけではありませんし、足を骨折して数週間不便な思いをしているおもちゃからも何もおしえてはもらえません。」とプレイモービルへの嘆願書には書かれています。本当にそう思います。

「Toy Like Me」というこのキャンペーンは正にこのようにあり得ない社会を作って子供たちを遊ばせるのではなく、全ての人が理解し合って仲良く暮らす社会を子供たちに遊ばせながら教育しようというものです。

話は変わりますが、今朝ロンドン市でタクシー、ミニキャブのライセンスを出している組織から手紙が来ました。私はドライバーガイドの資格を持っていますが、それにはミニキャブのドライバーと同じ免許も含まれています。



今日の手紙は、「盲導犬を連れた視覚障害者の乗車を拒否する運転手がいる。これはあきらかに法律違反なので絶対にしてはいけない。」というもので、これに関するインフォメーションが一緒に送られてきました。




盲導犬だけではありません。一緒にいる人がどのような障害を持っているかは、犬が来ているコートの色でわかるようになっています。
 
 
 
 
 

癲癇の病を持つ人の発作が起こるのを知らせる犬や自閉症の人たちを守る犬のコートは青色です。




 
 
 
 
 
 
 


視覚障害を持った人と盲導犬のおもちゃで遊んだ子供たちが将来タクシーの運転手になった時、自然に他の乗客と同じサービスができるようになるでしょう。乗車拒否なんかあり得ない世の中が来る気がします。


これからの子供たちに何を教えなければいけないかを考える時、それは親や学校だけではなく同じ社会に暮らす皆が考えていかなければいけないでしょう。私一人の力ではどうにもならないことでも、同じ思いを持つ人たちの声のほんの一部になればという思いで今日もパソコンのキーをクリックしています。

change.org