私は昔から小さな町や村を訪れると、必ずと言っていいくらいそこにある教会を訪れますし、仕事の時も時間が許せばお客様をご案内することにしています。そして入り口近くに置かれている訪問帳(Visitors' Book)にお名前と感想を書いていただきます。お客様にとっては「また訪れることができますように。」と。そして私にとっては次回来る度にVisitors' Bookを見ながらそのお客様のことを思い出すことができます。
そんな小さな教会で出あった人たちとの交流は大切ですし、今でもお付き合いしている人もいます。「ちょっとだけ」と立ち寄った教会で忘れられないものを見つけたりすることもあります。隠れたところで発見した天使の絵、教会の全ての窓に飾られた見事なウィリアム.モリスのステンドグラス、亡くなった妻のために夫が寄付した美しい説教台、中世に庇護を求めてやってきた罪人が叩いたドア.ノッカー、ベンチの端にあけられた小さな穴はずっと昔電気がまだなかったころに蝋燭をたてていたものです。お墓にしても「えっ?この人がここに眠っていたんだー」なんて変な発見に感動したり.....
私の家の近くにある教会は900年以上の歴史を持っていますし、詩人バイロンの5歳で亡くなった娘が眠っています。先日は車で15分くらいのところにある教会を訪れました。ここは19世紀に出来た新しい教会です。いつも車で通っていても一度も訪れることがなかった教会でした。
下の写真はカメラが壊れたのではなく、教会の中は暖房を考えてか赤いライトが点いていたために赤い写真になってしまいました。
ここにもバーン.ジョーンズがデザインし、ウィリアム.モリス商会で作られたステンドグラスがありました。デザインはキリスト教の7つの美徳の基礎となる3つの美徳「希望」「信仰」「慈愛」を表しています。
このデザインは、他の教会のステンドグラスにも使われ、特にオクスフォード大学のひとつのカレッジであるクライストチャーチの大聖堂や、カンブリア地方にあるセント.マーチン教会のものは、同じデザインでも色が全く違います。
教会の裏には小さな林があり、町の喧騒から離れて静寂に身を置いて鳥のさえずりを聴きながら平和なひと時を過ごすことができます。
もちろんガイドブックには載っていない教会ですが、日本からイギリスにいらっしゃる方には、是非こういう教会も訪れていただいて今までとは違った旅の思い出を作っていただきたいです。
話は変わりますが、EUの改革を求めてブリュッセルで首脳会議に出席したキャメロン首相が帰国しました。EUの他の国からの移民難民が増え、彼らのためのイギリス内での社会保障に不満を持つイギリス国民は徐々にEU脱退を望む人が増えてきているように思います。イギリスがEUから脱退した場合は多くの大企業がイギリスからの他の国に拠点を移すことになると思いますし、経済への影響は避けられません。そして長い目で見れば、経済より大事なセキュリティの問題があります。正直なところ、6月23日の国民投票にINに投票するか、OUTに投票するかは国民もぐらついている人が多いようです。昨日は内閣の中でも脱退派と居残り派が自分の立場を表明しました。
前回の総選挙では予想に反して労働党が大敗し、誰もが驚く結果が出ました。この例のように、今度も開票してみなければ全くわからない状態です。マスコミも以前にも増して軽はずみなことは言えません。イギリスにとってはとてもとても大切な国民投票でも、あと投票まで4か月しかありません。その間にこんなに大切なことを決めなければいけないことはなんだか心配です。感情的にならず、長い目で見てじっくり考えなければいけないことでしょう。私の考えは決まっているのですが、それでも時々テレビを観ながら??と自分の決定に不安を感じるのも事実。投票に行くその道で考えが変わる人もけっこういるのでは?と思います。