さあ、「やるぞ!」と思って帰宅の途中でスーパーに寄ったらなんと、セヴィルオレンジがもう出ているではありませんか!マーマレード作りの時期です。買わないわけにいきません。それで一応6キロくらい買ってきました。ある年は30キロ以上買ってしまったこともありましたが、今年は控えめに少なくしようと思っています。
こうしてお正月のゆったり気分にちょっと拍車がかかったと思ったら、雑誌のコーディネートの仕事が入りました。だから今は調理台と、パソコンと、電話と、収納庫の間を行ったり来たりで急に運動量が増えました。
さて、マーマレード作りは、もう10年以上も続けています。8年前に母が亡くなったという悲報を聞いたのもこの時期でした。母は、私の作るマーマレードを毎年楽しみにしてくれていましたので、御棺に入れました。それ以後四十九日、一周忌、3回忌、7回忌などいつもこの時期に帰国していました。だから私にはこの時期はマーマレードの時期であると同時に帰国の時期としての思い出があります。
何故、ホームメイドのマーマレードがおいしいかと言えば(これは私の独断ですが)、いっぺんに沢山作ることができないからだと思います。そしてマーマレードにはやはりセヴィルオレンジが一番です。ロッシーニのオペラ‘セヴィルの理髪師’で有名なこのスペインの町には、街路樹としてセヴィルオレンジの木が沢山並んでいるにも拘わらず、その実は誰も食べないそうです。スペイン人はマーマレードはあまり作らないようで、ほとんどはイギリスに輸出されているとか。(もちろん道端に落ちているセヴィルオレンジではないはずですが)
このオレンジは、そのままだと苦くて食べられたものではありませんが、マーマレードにすれば実においしいのです。何故私はマーマレード作りが好きかと言いますと、作っている間中、この香りが家中立ち込めていい気持ちになるからかもしれません。他のオレンジよりもペクチンが多くて固まりやすいこともセヴィルオレンジがマーマレードに合っている理由です。因みにアールグレイのお茶に使われるバーガモットはイタリアで採れますが、セヴィルオレンジの仲間だそうです。
マーマレードは皮を食べるので、オレンジもレモンもオーガニックのものを使います。
出来上がったマーマレードは、殺菌したジャーに入れておけば何年でももちます。イギリスでは朝食に欠かせないのがマーマレードです。日本ではセヴィルオレンジが手に入らないということですので、代わりにグレープフルーツのマーマレードなど作ってみてはいかがでしょう?ホームメードのものはやっぱり味が違いますよ。