クリスマスが近づき、商店街も活気に満ちています。皆、楽しい気分で毎年過ごすこの時期、パリで起こったテロ事件や難民問題などが影を落としています。‘なんだかシンから楽しい気分になれない’、‘どうしても心の底にある重たいものを取り除けない’と沈んでいた矢先、家族から下記のリンクが送られてきました。
http://travel.aol.co.uk/2015/12/09/bus-driver-5-pound-homeless-man-gets-christmas-surprise/?ncid=aolshare_email=
リバプールの町での出来事です。あるバスの運転手が乗客のひとり(ファリスさん)に「道路を渡ったところにお年寄りのホームレスがいるからこれを渡してきてください。」と5ポンド預けました。ファリスさんはホームレスに5ポンドを手渡して家に帰りましたが、帰ってからもこの運転手の行動が忘れられません。そこで友人たちに声をかけ、町のお店やレストランをまわってこの運転手にクリスマスプレゼントを贈ることにしました。
声をかけたお店や企業は全て迷わずに何かを寄付したそうです。酒屋さんからはラム酒のボトル、メンバー制のクラブからは2名分の飲み物と共にクラブ会員証、チーズ専門店からはバスケットに詰められたチーズ等々。そして日本食店の「みやぎ」からは、ワイン付食事券2名分。日本人も参加してくれて益々嬉しい気分です。変なところに日本人としての誇りが芽生えました。
さて、話はここで終わりません。ファリスさんはスティーヴンと言う名の運転手に、「サンキューカードを手渡したいから」と、会う約束をしました。もちろんプレゼントのことは何も言いません。待ち合わせの場所に現れたスティーヴンさんは、「これから町に行くのなら、これを必要としている人に渡してほしい」と自分が兵隊であった時に使っていた寝袋を渡したそうです。
スティーヴンさんは元兵隊。彼の話では、「戦場で戦ったことのある兵隊で退役した人の中には精神的に傷ついた人が多く、ホームレスになっている人が多い。今はひとりの子の父である自分には、そういう元軍人のことが気にかかるのです。」
クリスマスの本当の意味とは、教会に行ってお祈りすることだけが大事なのではなく、また日頃仕事に疲れた自分を労うために美味しいものを食べてパーティをハシゴすることでもなく、自分の周りに目を向けて、自分で何ができるかを考えることではないでしょうか?そうすればクリスマスディナーももっとおいしくいただけるし、パーティももっと楽しくなるような気がします。
このスティーヴンとファリスさんの話を読んで、今年の私のクリスマスも「色々あるけど世の中、決して捨てたもんじゃない。」とちょっとイイ気分で迎えられそうです。