19世紀以前は一般のひとたちにとっての「園芸」とはあくまで生きるためのものであり、野菜を育てることが主でした。それが19世紀になり、やっと今日のように花を育てる楽しみのための「園芸」が浸透してきました。モネは「花たちが私を画家にした。」と言うほど園芸に興味をもち、花に対する知識は相当なものであったことがこの展示会から知ることができます。
クロード.モネ作 Lady in the Garden
1883年にジヴァーニーに移り住んだモネは、近くの川から水を迂回させて池を作り、その池に当時栽培され始めたハイブリッドの赤とピンクのスイレンの花を植え、興味を持っていた日本の版画を参考に日本風の橋をかけます。1899年には12枚の池とスイレンと橋の絵を、そして1902年には空や光が反映した水の表面に浮かぶスイレンに焦点を当てた多くの絵を描いています。この展示会ではモネの作品を多く集めていますが、最後はそれらのスイレンの絵で終わります。
モネの他にもガーデンを描いた画家は多く、それらの作品も一緒に展示されています。
アンリ.マティース作 Palm Leaf
エミール.ノルデ作 Large Poppies
ピエール.ボナール作 Resting in the Garden
この他、ヴァン.ゴッホ、ムンク、カンディンスキー、クリムトなどの作品が、そして変わったところではボロボロになったガートルード.ジーキルのガーデン用ブーツ(ウィリアム.ニコルソン作)が展示されています。またこれらの画家たちに影響を与えた北斎や、広重の版画もあります。
この展示会が行われているRoyal Academy of Arts(王立美術館)は、1768年ジョージ3世が認可したイギリス最初の専門芸術家の協会で、今でも展示会、教育、討論会などを通して芸術を広める活動をしています。
また、建物は1664年にバーリントン伯爵が建てたもので(いまだに建物がバーリントンハウスと呼ばれている所以)、正面の部分は1720年に3代目伯爵がパレディアン様式に建て変えました。バーリントンハウスでRoyal Academyを除いた他の部分は、ロンドン古代遺物協会、王立化学協会、王立天文学協会、ロンドン地質学協会、ロンドン.リニーン協会(分類学)の本拠地として使われています。
Royal Academyの初代会長だった画家のジョシュア.レイノルズ卿の銅像。
ショッピング客で賑わうピカデリーサーカスから歩いて1,2分のところにあるロイヤル.アカデミーですが(フォートナム&メイソンの向かい)、ここでの展示会は素晴らしいものが多く、絵の好きな方は是非事前にチェックしてください。人気のある展示会はできるだけ早く予約されることをお勧めします。