10/02/2016

古い建物の保存が大変なわけ

イギリスでは保存に値する建物はリストに登録され(listed buildingと呼ばれます)、改築、増築はもちろん勝手に出来ませんが、大規模に修理する際は監視の手が入ります。ジョージアン以前の建物は(1837年以前)ほとんどがリストに登録されています。


 
 
 
 
 
 
 


以前、そのような古い建物を訪れた際にこんな話を聞きました。「土壁の修理が必要になったために、昔の材料を集めました。小石、粘土、牛の糞....完璧に昔通りの材料を使ったのに、壁が固まらなかったのです。どうしてもその原因がわからず、専門家に調べてもらったところ、実は600年前の牛はオーガニックで、その糞が今の牛と違うことがわかりました。それで、わざわざウェールズのオーガニックファームから牛の糞を分けてもらって壁を修理したところ、見事に固まりました。」

昔の材料を集めるだけでも大変なのに、牛がどんなものを食べていたかまで考えなければならないなんて。私の昔っからの夢は古い家に住むこと。できたら新しくても300年くらい前の物が良いなー.... それも今となっては実現性の少ない夢になってしまいましたが。

ですから、せめてホテルなどはなるべく古いホテルがいいのです。イーストアングリア地方のラヴェナムにスワンとううホテルがあります。そこで壁の修理をしていた人がいましたので、声をかけてみました。








400年前のホテルです。その壁は土や石灰、馬の毛が使って作られました。
 
 
 
 
 
 
 
400年経って、やっと外の空気に触れた壁の中。そこにたまたまいた私は、何故か非常に感激してしまいました。その頃の人たちと、こうして崩れた壁の一部を通してつながったことに感激したのだと思います。