4/25/2018

菜の花畑

飛行機で日本からイギリスにいらっしゃる方々が、着陸寸前にその窓から見るイギリスの景色は田園です。産業革命のイメージが強く、初めてこの国を訪れる方々は「イギリスは工業地帯が多く煙突が沢山あるイメージでしたが、こんなに緑が多いとは!」とおっしゃいます。

でも今の時期、上から眺めるイギリスは緑と、そして眩しいくらいに刺激の強い黄色で覆われています。その黄色とはレイプシード(菜の花)の畑です。今では耕作地の17%がレイプシードの畑になっているとか。








1980年代になってイギリスの風景が変わった理由のひとつにこのレイプシードの畑があります。耕作地であったところがレイプシードの畑に変わったのは、レイプシード・オイル(菜種油)が見直されてきたからに他なりません。イギリスの文献に最初にレイプシードが登場したのは14世紀のこと。その油は産業革命後には蒸気機関の潤滑油として使われました。

そして今、菜種油が健康にも良いし、それを植えることにより土壌が改善される、環境に良いなどの理由から需要は高まるばかりです。

イギリスではベジタブルオイル、つまり揚げ物などに使う一般的な安価のオイルのほとんどは純菜種油です。1リットル1ポンド20ペンス前後(200円弱)です。







でもレイプシードオイルにも色々あって、低温圧搾(コールドプレス)の製法で作られたものは高価です。(500ミリリットルで4~5ポンド 650~800円)






健康面では、コレステロールの原因のひとつに挙げられる飽和脂肪がオリーブ・オイルより少なく、オメガ3が多く、そしてビタミンEをも 含むということで注目されています。

我が家では、最近オリーブオイルと同じくらい頻繁に使っていますが、この調子でいくと近いうちにオリーブオイルの消費を上回るかも? ヴィーガン料理にはオリーブオイルよりクセがなく、特にケーキを焼く場合はオリーブオイルより断然頻繁に使っています。

その上、こんなにイギリスに多くの菜の花畑があるのですもの、オイルの多くがイギリス産です。





 菜の花畑に近づけば、きつい独特の香りにクラクラします。その匂い、そして目に痛いほど刺激の強い黄色に嫌悪を示すひともいないではありません。でも今年はあまりに長く続いた冬、そして来ないと思っていた夏が春を通り抜けて一気にやってきたことを知らせてくれる菜の花を歓迎する声の方が強く聞かれます。