2/05/2014

甲州ワイン

甲州ワインのティスティングがロンドンのウェストブリーホテルで行われました。友人と一緒に行く予定の方が急に都合がつかなくなったためにお声がかかったというわけです。ありがたいことです。

会場にはソムリエや食コンサルタントが50名くらい集まり、それぞれの料理に合うワインはどれかということで活発な意見が沢山出ていました。こういう試食 会、試飲会などで思うことは英国ではいわゆる世界的に有名な人(この場合はパネルに座ったソムリエ)の意見に対して「私はそう思わない」とはっきり言うこ とが何の抵抗もなく受け入れられること。今回のメインのソムリエもフランス人でしたが、最初に「私の意見はあくまで個人的な意見であって、他の人は違う意 見を持っているのは当然」と断ってからティスティングが始まりました。

隣に座った人はロンドンの有名レストランのいくつかを担当している若いコンサルタント。何度も手を挙げて意見を出していました。日本では年も30くらい違 うマスターに対して「私はそうは思わない」と皆の前で反対意見を出すことは控える風潮にあるのではないでしょうか?(最近の傾向は違っていたらごめんなさ い。)参加した人も全く違和感なく聞いています。他からも違う意見が出ました。そのための集まりなのですから色々なひとの意見が出て初めてこのテイスティ ングを開いた意味があるということです。

私は日本の方に英国を紹介するのが仕事です。もう何十年もそれだけやってきました。でも最近日本の‘いいもの’をこちらに広めることにも携わっています。 本当に偶然このようなことに関わることになったのですが、日本の上質のお醤油や昆布などがこちらの市場に進出する可能性をチェックしています。それと同時 に人間も日本を代表するような技術を持った日本人を応援することに大きな遣り甲斐を感じています。そういう人は、これからは‘長いものにはまかれろ’では なく、正しいと思うことはどんどん意見を言って世界に貢献していくことが大切と思います。世界の人は‘自分に持っていない新しい発想’を求めているのです から。特に英国人は伝統を重んじる国ではありますが、反面新しいものが良ければすぐに受け入れる合理性も持っています。それは単に流行ということではな く、長い意味での可能性を考えた上で受け入れる価値があればなおさらです。だからチャレンジの場として英国に来る若者、新しい市場を求めてやって来る企業 が多いのでしょう。そしてその分競争も激しいようです。

日本人の友人は英国に関して「自分の意見を持ち、発言することが受け入れられる文化。」を持っていることを指摘しています。正にそう思います。

昔から日本に根付いた材料から始まった日本食、そしてそれには日本で採れたブドウから作られるワインがぴったりなのかもしれません。食べ物、飲み物の相性もそう考えれば甲州ワインが日本食と肩を並べてこれからどんどん世界に進出していくことも夢ではないと思います。