ではデヴォン産クロテッドクリームとコーンウォール産クロテッドクリームではどこが違うのでしょう? 以前クロテッドクリームの取材のために両州にある工 場に行ったことがあります。ある工場で、「海の潮風を含んだ草を食べる牛はミルクが違う。それで作るクロテッドクリームは味が違うんだ。」と言われまし た。でもデヴォンもコーンウォールも海があるし。それを言うなら、デヴォン産か、コーンウォール産と言うよりは‘海からどのくらい離れているかで違ってく る’と言ったほうが説得性があります。
スコーンの食べ方も違うと聞いたことがあります。デヴォンはジャムを先に、その上にクロテッドクリームを載せる、コーンウォールはジャムは後だそうです。 これだって、好みの問題です。紅茶が先かミルクが先かというようなことと同じですよね。どっちが正しいかではなく、どっちを好むかの問題でしょう。
さて、今回の仕事で地元産のものを扱っているエクセタのお店Real Food Storeに行ってきました。そこでホミティパイ(写真)なるものを買いました。このパイのことはその日宿泊する予定のBBの女主人におしえてもらいまし た。コーンウォールのコーニッシュパスティは今は英国内どこでも食べられるようになりましたが、ホミティパイなんて聞いたことがありません。要するにコー ニッシュパスティとの違いは、パイ皮は側と底にのみ使われていること、中のじゃがいもが大振りであること、材料はじゃがいもと玉ねぎ、チーズが主であっさ り目というところでしょうか。これ、とても気に入りました。おいしい。私好み!
ところがBBの女主人に予約の際に頼まれたことがあります。「あそこのお店に行くのなら主人と私のためにコーニッシュパスティを買ってきてくれない?」デ ヴォンに住む彼女はホミティパイよりコーニッシュパスティを好むようです。デヴォン対コーンウォールでもその時によってデヴォン側についたり、コーン ウォール側についたり。おもしろい戦いです。