6/30/2014

英国文化と紅茶文化を学ぶツアー

昨日までのツアーのメンバーは英国、紅茶文化に興味のある皆さんでした。こうしたテーマを持ったツアーは年々多くなるばかり。今では私のグループの仕事のほとんど100%がそういったツアーになりました。特に英国文化を学ぼうという方たちは、英国中どこに行っても、何を見ても興味津々です。ガイドにとってこれほどうれしいことはありません。

紅茶は英国にとっては単に嗜好品というだけではなく、歴史さえも動かした大事な飲み物です。そこから英国人、歴史、文化とつながっていきますから「紅茶は紅茶のみ」という考えを改めなければいけません。おいしい紅茶の淹れ方はそんなに難しいものではありません。ちょっとしたコツがわかれば誰にだっておいしく淹れられます。でもそこから発展する興味は無限です。それが紅茶ツアーのおもしろいところではないでしょうか?

 
今日は今回のツアーに関しての報告書を書く日です。でもその前に写真を見ながら皆さんにも、ちょっとだけ「行ったつもり」になっていただければうれしいです。

 
まずはコッツウォルズのラベンダー畑です。私のブログのトップページに使っている写真もここのラベンダー畑のものです。




 
今回はちょっと足を伸ばして英国の畑や野原によく見られるコーンフラワーやポピーなどが植えられているメド―にも行きました。本当に綺麗。あの鮮やかなラベンダーでさえ、ちょっと影が薄くなるほどの色彩でした(写真ではラベンダーは遠く左に見えます)。こういうメド―が最近あちこちに見られます。何故でしょう?調べたわけではありませんが、もしかしたら野生の蝶や蜂などを呼び戻すためなのかもしれません。その蜂たちがラベンダーのところにも来てくれますよね? 最近はどこのガーデンや自然公園に行っても特に意識して昆虫始め、野生動食物を保存していることに気が付きます。

      

     



コッツウォルズの後は一挙にストーク.オン.トレントまで足を運び、陶器工場見学です。以前はこの町を埋め尽くすほどあったボトル.キルン(窯)も今では本当に少なくなって全部、またはほとんどは作業を中止しています。(陶器のことは後日改めて書きます)今あるキルンは見学者用に保存されているものが多いようです。
 
    
   
 
            



 
翌日はハロゲートです。温泉町として特にビクトリア女王時代人気のあったこの町ではベティズのティーショップで夕食。泊まったのはマジェスティという1900年に建てられたホテルでした。当時は大変な高級ホテルだったそうで、ウィンストン.チャーチル、ジョージ.バーナード.ショーなども泊まっています。

 
ここからヨークへはバスで40分ほど。ヨークも紅茶で有名な町です。歩いている時に美しいブレンドティを見つけました。見るだけでうっとりです。味は.....買いませんでしたのでわからないのですが。


             


 

 
ロンドンに戻る前日の宿はナショナル.トラスト所有のハートウェル.ハウスです。日本の天皇皇后両陛下もお泊りになったこのホテルは、フランス革命後のルイ18世の宮廷が置かれていたこともありました。


            
    

 

王政復古の際にルイ18世が署名したのはここの図書館だったそうです。またドローウィングルームの鏡はオリジナルのようで、珍しいものを見せていただいた気がしました。
 
 
       
       
 
       



そして最終日の日は友人メアリー宅のガーデンで過ごしました。というのも彼女は英国のジョージアン調に関しては深い知識を持っているので(引っ越す直前まで18世紀に建てられたナショナルトラスト所有の館のリサーチをしていました)、是非彼女にレクチャーをお願いしたかったのです。それがレクチャーからガーデンパーティへと話が広がり、結局は近所のボランティアの方たちにもお世話になっておいしいランチもいただきました。ツアーの皆さんからいただいたレクチャー、ランチ代は全て彼女の家を含む老人ホーム所有の敷地のベンチを買うお金に当てられます。
 
 
 
         

 
 
 
          


 
食事は全て手作りです。サラダに使われたレタスなどは友人のジェニーの庭で育てられたもの。


           


 

デザートはサマープディングとイートンメス。どちらも夏の英国らしいデザートです。これに使われたベリー類(ストロベリー、ラズベリー、レッドカランとなど)もジェニーの庭から採れたもの。
 
 
        
         
 
            
 
 


 

田舎の伝統と言えばモリスダンスは欠かせません。このツアーのためにダンサーがやってきてモリスダンスを披露してくれました。
 
 
モリスダンスが一体いつから始まったのかは定かではありません。ある人は1000年以上前に始まったと言います。でもしばらくの間姿を消して、それが再び人気を浴びたのはビクトリア女王の時代だったと言われます。昔は収穫を祝ったり、感謝したりするためのダンスだったそうですが、現在はもっぱら田舎町で見かけるのはチャリティのための募金活動を目的としているようです。何より、ダンスそのものが趣味の人たちが集まるのです。
 
 
       

 
 
 
 
見ているうちに皆さんの体がアコーデオンに合わせて次第にリズミカルになってきました。それを感知したのか、ダンサーの長みたいな方が、「さあ、皆さんもどうぞ。大丈夫。躍り方をご教授します。」。「待ってました!」と言わんばかりに皆さんも加わって日本人のモリスダンスの開始。私は写真係でしたが、皆さん難しそうなダンスをけっこう簡単にこなしていました。(中にはいつも相手とぶつかってばかりいる方もいらっしゃいましたが、そんなことは全く問題なし。失敗から笑顔が生まれ、そこから会話も生まれるというものです)

 

     


 

こうして3時間はあっという間に過ぎ、一行はウォーバン.アビーへ。アフタヌーンティの生みの親ベッドフォード公爵夫人の住んでいた家です。家と言ってもサファリパークがあってライオンが放し飼いにされている広大な敷地を持った大邸宅ですが。

 

私は昨日でこの仕事を終了。今日は空港に行く前に皆さんそれぞれ自由行動を楽しんでいらっしゃるはずです。空港への出発時間の3時までは英国の思い出が更に深くなるように色々体験していただきたいと思います。
 
今年は湖水地方のガーデンツアー、ウィリアム.モリスツアー、アガサ.クリスティツアー、英文学ツアーなどがこれからありますが、以前のように「ハイライトのみ周るツアー」から「自分の興味ある場所をじっくると。」というツアーにどんどん変わっていく傾向にあると思います。ますます英国を気に入っていただけるツアーのガイドをさせていただくことに幸せを感じます。