7/02/2014

曲がった家

英国の夏は浮気者。クーラーが欲しい暑い日もあればジャケットのジッパーをしっかり締めなければならないほど寒くなったり。昨日の仕事ではロンドンを出発、イーストアングリア(ロンドンから東北にいったところにあるおまんじゅうが出っ張ったような部分)のご案内をして再度ロンドンで終了でした。行き帰りのロンドンは人でごった返し、ぎっしり並ぶ車の中を縫うようにして運転してきました。 私は夏場は特にロンドンへは必要がない限り、出ないようにしています。あの人の多さを見るだけでもクラクラッときますし、暑い日は、その上にサウナにいる時のようにモワーッとしてしまいます。

 ロンドンのガイドがこんなことを言ったら叱られそうですが、先日も仕事のオファーをされた旅行社に言ってしまいました。「ごめんなさい。夏場はロンドンでの仕事はほとんどしないんです。シーズンが終わって人が少なくなったら是非ご案内させてください。」と。新米の時は、そんなことを言ったら仕事が来なくなったでしょうが、30年以上もしているとこのくらいのわがままは「すみません。」とお詫びすれば許してくださいます。

 
さて、イーストアングリアは私の気に入っている地域のひとつです。画家コンスタブルが描いた景色がそのまま残っています。将来のコンスタブル(?)が写生をしている姿もちょくちょく見かけます。

 


 

カージー村は今でも人通りが少なく、高台にある教会から坂を降りながら村の雰囲気を肌で感じていただきました。村の真ん中を通る川は、人の通る橋はあっても車のための橋がありません。車はそのまま水の中を渡ります。

 


 

ここでは1379年に建てられたパブ‘ザ.ベル’でランチを。英国名物のひとつであるパイの代わりに今では珍しくなったプディングをいただきました(今回はマッシュルームのプディング)。

 




 

午後からはラヴェナムの町です。お客様から質問がありました。「日本ではラベンハムと言っていますが。」確かにスペルはLavenhamですから日本語ではラベンハムになるのでしょうけど、こちらではラヴェナムと発音します。先日も雑誌社とやり取りしていて‘アリスバリー’という名が出たので、どこのこと?と思ったらなんとエイルズブリー(Aylesbury)のことでした。

 

このラヴェナムでは曲がった家が多く目に入ります。「こんなに曲がっていても、中はちゃんと床が水平になっているのでしょうね?」と質問されました。でも私の知る限り、水平に床を直しているところはありません。中に入ると一瞬眩暈が!そのくらいまっすぐに立っていられないところもあります。そんな部屋でも住民はもう慣れっこになっているようです。知人は「まっすぐの家なんて味気ないじゃないか!」と言います。私も......そう思います。壁や床がどっちかに傾いている家を見ていると、そのほうがおもしろくなり今では「いつかは曲がった家に住みたいものだ。」とさえ思ってしまいます。


 
 
 
 
いつか......ね。