デイヴィッド.ボウィーが亡くなりました。日本でも大きなニュースになっていると思いますが、昨日朝のニュースで知り、「まさか!」と呆然としてしまいました。イギリスでは(と言うより世界中で)音楽ファンにとっては知らない人はいないほど有名なロック.ミュージシャンです。首相、カンタベリー大司教、ロンドン市長、マドンナ....地球から350キロ離れた宇宙からはティム.ピークから死を悼むメッセージが続々送られています。
若い頃は私も彼のレコードを何回か買ったことがありますが、亡くなって初めてテレビや新聞で彼の人生が語られて改めて「すごい人だったんだなー」と実感しています。2003年までは積極的に音楽活動をしていたようですが体調をくずし、一旦は引退説もささやかれたほどです。でも、実はこの期間が彼には意図的ではないにせよその後の人生の下準備になったんですねー。写真集出版の準備など芸術分野にのめりこんでいます。
ところが突然、約10年ぶりで新アルバムを発表、それ以後音楽界に復帰します。そして今年1月8日69歳の誕生日を迎えた日に新作「ブラックスター」が発売され、その二日後に18か月に及ぶ闘病後亡くなりました。
サッチャー首相以来、これほど一人の人の死が国全体で大きく取り上げられたひとはいなかったと思います。ひとそれぞれボーウィーにどのように影響されたかは違うと思います。私にとっては妥協せずに自分が納得のいく作品を追求し、そして何よりもひとつのことを成し遂げるには(彼の場合は音楽)、その分野のみに目を向けていては開く道も開かないということ。
以前、デザイナーのポール.スミスの講演を聞きに行ったことがあります。最後の質疑応答の際の「これからあなたのようにデザイナーとして成功したいと考える若者に助言することは?」という問いに対し、彼はすかさずこう答えました。「デザンの勉強だけするのではなく、例えばパブで働くのもいいでしょう。何故なら、今入ってきたお客さんのスタイルは素敵だけど、いざビールを飲み始めると、どうも心地がよさそうではないことに気づくかもしれません。ビールの在庫がなくなったら、次の注文はどのくらい必要かも近いうちに近所でイベントがあるかないかでだいぶ変わってきますし。」
69歳の誕生日に新作を発表して、二日後に亡くなったデイヴィッド.ボウィーですが「あっぱれな人生だったなー」とつくづく思います。
ラジオでは、大島渚監督、ボウィーが出演した映画「戦場のメリークリスマス」で坂本龍一さんが作曲され英国アカデミー賞作曲賞を取得したテーマ音楽が流れています。