11/11/2016

戦没者追悼日

今日は11月11日。戦没者追悼の日です。3700万人という空前の犠牲者を出した第一次世界大戦は1918年11月11日に休戦協定が結ばれ、実質的に戦争が終了しました。この日はイギリスではRemembrance Dayと呼ばれています。11時(休戦開始の時間)には国中の戦争記念碑(それはどんなに小さな村でも見かけるイギリスのシンボルのひとつ)や人が集まる場所で(スーパーマーケットなど)2分間の黙とうが行われます。

実際にはイギリスではRemembrance Sundayといって11月11日に一番近い日曜にロイヤルファミリーを始め戦争で戦った兵士やその家族が官庁街であるホワイトホール通りの戦没者の記念碑(セノタフ)に集まり、11時に黙とうが捧げられます。この模様はテレビで中継されます。

この時期になると、多くの道行く人やテレビに出演している人たちが紙で作られたポピー(芥子の花)の花を胸に付けていますね。日本では赤い羽根募金がこれとよく似た募金活動ですが、ポピー運動は、戦争で負傷した、または精神的に病んでいる兵士、またその家族をサポートするチャリティのためのものです。これは戦場となった場所に多くの芥子の花が咲いていることで「芥子は戦場で戦死した兵士の血から生まれる花」という意味があり、特にフランダースの激戦のあった場所に咲くポピーをあるカナダの軍医が詩の中で謳ったことに始まります。(In Flanders Fields  「フランダースの野にて」の詩は後でご紹介します)




 
 
 
募金運動で使われるポピーや戦没者記念碑に捧げられるリースなどを作っているのがポピー.ファクトリーです。現在はロンドンのリッチモンド地区にあるこの非営利団体であるこの工場ではそのような戦争被害者30人の人が働いていて毎年1100万のポピー、135000のリースが作られています。
 
 
先日、バッキンガム宮殿で見かけた騎馬のおまわりさんと、そして馬もポピーをつけていました。戦争の犠牲になったのは人間だけではありません。第一次世界大戦では犬、馬、伝書鳩など900万の動物が死んでいます。高級ホテルが立ち並ぶパークレーン通りにはそのような戦争で亡くなった動物たちの記念碑もあります。
 




In Flanders fields the poppies blow
Between the crosses, row on row,
That mark our place; and in the sky
The larks, still bravely singing, fly
Scarce heard amid the guns below.

We are the Dead. Short days ago
We lived, felt dawn, saw sunset glow,
Loved and were loved, and now we lie
In Flanders fields.

Take up our quarrel with the foe:
To you from failing hands we throw
The torch; be yours to hold it high.
If ye break faith with us who die
We shall not sleep, though poppies grow
In Flanders fields.

第一次世界大戦から始まった戦没者追悼日ですが、イギリスではそれ以降も第二次世界大戦、フォークランド戦争、湾岸戦争、イラク戦争などさまざまな戦争で命を落とした兵士が多く、この追悼日は今では第一次世界大戦のみならず全ての戦争で亡くなった人たちを追悼する日です。ポピーを胸につけるこの時期、私の心の中にはイギリス人のみならず、日本を含む地球上の全ての戦没者、そしてシリアなどで今でも戦いの犠牲になったひとたち、動物たちがいます。