11/19/2016

メリーポピンズを育てる学校。

「お砂糖ひと匙で」や「2ペンスを鳩に」「スーパーフレジェリスティックエスピアリドーシャス」などは「メリーポピンズ」の映画に出てくる曲です。映画は知らなくても、これらの曲はほとんどの方はご存知でしょう。ジュリーアンドリュースふんするメリーポピンズが黒い傘をさして、空から飛んできてロンドンに住むジェーンとマイケルのナニー(乳母)になるのが映画の内容です。私も子供たちが小さかった時は何回、いいえ何十回この映画のビデオを見たことでしょう。(子供は同じビデオを何度も何度も繰り返し見たがりますね) 怠慢な母にとって「メリーポピンズ」「オズの魔法使い」「ナルニア王国物語」、クリスマスが近づくと「ミッキーのクリスマスキャロル」「スモール.ワン」は家事に忙しいときは、ナニーに代わって随分お世話になりました。

イギリスには空は飛びませんが、メリーポピンズのようなナニーを育成する学校ノーランド.カレッジがあります。ここの卒業生はイギリスのみならず世界中で活躍していてウィリアムとケイトさんのお子さんのナニーもこの学校の卒業生です。シャーロット王女の洗礼式の際に、なんだか変わった服装の女性がテレビや新聞に映っていました。この女性がナニーのマリア.テレサ.テュリオン.ボラロ(スペイン人)です。彼女が着ていたのはノーランド.カレッジのユニフォームだったのです。学校を卒業してもユニフォームを着ているナニーがいますが、現在はそれは「特に一般の目を引く」ということで義務付けられてはいませんが。

9月にヴィーガン料理の修業のためにBathの町で1週間過ごしましたが、滞在先のすぐ近くにこの学校がありましたので、私も学校に行く途中でユニフォーム姿の彼女たちたちを毎日見かけました。(現在は男性も入学が可能)









ノーランド.カレッジは1892年に設立されました。入学の倍率は4倍と言われます。筆記試験、口頭試験の後約50名の新入生が子供に関わるキャリアを目指すべく3年間の訓練を受けますが、それは講義のみならず料理や裁縫、また病院、幼稚園などでの実技他、自己防衛(子供防衛)のための訓練など8時から4時までびっしり詰まった時間割をこなします。そして最終学年は実際に家庭に入っての訓練があります。


 
 
 
 
 
 
 


こうして晴れてノーランド.カレッジを卒業した人は世界中で活躍しています。ロイヤルファミリー他、伝統的な教育を続けたい貴族たち、両親が忙しいキャリアを持つ人たちなどです。

ここ100年くらい、ロイヤルチルドレンのナニーに求められることは随分変わってきました。特にダイアナさん(ウィリアムの母君)の時代からはその違いが大きいようです。それまではロイヤル.チルドレンの教育は完全にナニーに任せられていたのですが、ダイアナさんはウィリアムとハリーのナニーが彼らをmy babiesと呼んだのを聞いて、そのナニーを解雇するということが報道されたことがあります(事実かどうかは別として)。ウィリアムとケイトさんに至っては、最初はナニーを雇わないことを考えていたそうです。(結局はお二人が公的業務をするにはナニーが必要と判断されたようですが)

両親に育てられるのが子供にとっては最適の教育と考えられる今日、ナニーの職自体が昔と比べて限界があるように思っていましたが、ノーランド.カレッジの事を知れば知るほど、特に仕事が忙しい夫婦にとっては安心して子供を預けられる頼もしいナニーの需要は多くなってくるかもしれないと感じます。

幼児教育はとても大切であることは誰しも信ずることですが、その時代に合わせて教育内容も随分変わってきています。少し前までイギリスでの子供教育にケイン(鞭)はつきものだったようですが、現在ノーランド.カレッジではカレッジで勉強す学生のみならず、卒業生にまで子供に手あげることを禁じています。

Bathの町で会ったノーランド.ナニーたちは皆とても感じが良く、優しさに溢れていました。