7/19/2017

湖水地方が世界遺産に。

今月初め、湖水地方にある2300平方キロの地域がユネスコの世界遺産に登録されました。世界遺産にしようという運動は1986年から始まり、それ以後2回のチャンスを逃して今回やっと、イギリス内ですでに世界遺産に指定されている30件の仲間入りができたというわけです。












イギリスを代表するロマン派詩人ワーズワース(1770~1850)の作品を読めば、「人間も自然の一部」であることを強く感じます。そういうワーズワースは湖水地方をこよなく愛し、自然の偉大さ、壮大さ、美しさをその詩に表しています。


ワーズワースの住んだ家 「ライダル.マウント」と「ダヴ.コテージ」
 
 
 
 
 


今では年に1800万人の観光客が訪れるということですが、それでも200年以上前にワーズワースが妹のドロシーと歩いた丘や湖水沿岸はほとんど当時のまま残っています。またピーターラビットの絵本の作者であるビアトリクス.ポターもこの美しい自然を保存するために本から得た収入を土地を買うことに費やし、その広大な土地は死後ナショナル.トラストに寄贈されました。


ビアトリクス.ポターが住んだヒルトップ.ファーム
 
 
 
 

こうして歴史の中の人々がその保存に努力したからこそ、今の湖水地方が存在するのです。今回ユネスコの世界遺産に登録されたことで、将来もこのままの景観を保つことができるように願うばかりです。

ロンドンから湖水地方に行くには列車か、観光バスが便利です。私は日程にかなり余裕のある方々をドライバーガイドとして途中で観光も兼ねて一泊以上しながら湖水地方までお連れして、現地では私の車でご案内することはありますが、日程にあまり余裕のない方とはロンドンのEuston駅からWindermere駅まで列車で行き(Oxenholmeで一回乗り換え)、そこから現地の貸切バスか、人数が少ない場合はタクシーをチャーターして周ります。現地のバスは小さ目のバスが借りられるので、大型バスでは行けない狭い道を通る事もできます。ですからどんなに観光客が多い真夏でも人の姿をあまり見かけない静かな自然を楽しむことができます。

そして湖水地方に行かれたら是非、30分でもウォーキングをすることをお勧めします。ウォーキングルートは数え切れないほどありますが、例えば、車椅子の方、歩くことに慣れていない方はバターミア湖やターンハウズの湖畔を。一周することもできますが、ご自分の体調に合わせて途中でUターンすることも可能です。


 
 
 

 


急な坂道は苦手だけれど、少しくらいの距離は大丈夫という方は上の写真のライダル.マウントからダヴコテージまでコフィン.ルートの対岸のルートが素敵です。途中グラスミアの村で名物のジンジャーブレッドのお土産を買ったり、お茶をしながら。ワーズワースファンにはお墓参りというおまけつきで。ライダル.マウントやダヴコテージを見学したりしながらフルデーコースとしてに楽しめます。

少しくらいの坂道ならOKという方、列車に乗るまでに時間のある方は、ウィンダミア駅そばのOrrest Headを。頂上に行く寸前で少しだけ急な坂道になりますが、頂上での時間も含め往復1時間半くらいで行けますので、長い時間を費やすことができない方には便利です。



急な坂OK,登山OKという方には......すみません、私も未経験です。でも山岳救助隊がいるくらいですから(犬と一緒に大活躍!?)、一番高い山が富士山の3分の1でも、決して甘く見ないでください。そして私のようなフツーのガイドではなく、ちゃんとマウンテンガイドに案内してもらうことです。以前、ガイドなしで登山した日本のグループが道に迷って救助隊が出たという話も聞いたことがあります。

イングランドでは一番雨の多い地域です(場所にもよりますが、年間降雨量は200センチ程度)。でも雨上がりの湖水の景観は特別ですし、曇り空であってもその美しさにはため息が出るでしょう。そして霧もまた美しい!










 
 


湖水地方に行けば、イギリスが多く詩人や作家を生み出したことが、単なる偶然ではないような気持ちにさえなります。