この時期に田舎に行くと真っ赤な芥子の畑に出会うことがよくあります。あまりの大きさに皆さん驚かれます。「イギリスでは芥子を栽培していいの?」と。
でも、これらの芥子は栽培されているのではなく自然に育っている、いわゆる野生の芥子です。畑として耕されることが芥子の種には大切なので人の手が入らない野原よりはむしろ麦畑などに一緒に咲いています。
ご存知のように芥子からはアヘンが取れますので「日本では芥子を栽培することは許されていませんよ。」とよく聞きますが、イギリスでは栽培自体は法に反しません。ただこれを薬用(モルヒネなど)に使うとなった時にはライセンスが必要です。当然のことですが。ですからこちらのガーデンに行けばさまざまな色の芥子が植えられています。特に薄いピンクの芥子は綺麗ですよね。優しい感じです。
でも畑を覆うこの目の覚めるような真っ赤な芥子の花はガーデンの芥子とは違います。圧倒されます。正にイギリスの夏を感じさせてくれます。
また毎年11月には戦死者を追悼するRememberance Sundayという日がありますが、この時期になれば多くの人が芥子の造花を胸にしています。第一次世界大戦でフランダースで激戦があり大砲などで土が荒らされた場所に芥子の花が多く咲いたのですが、それをカナダの軍医の詩に基づいて「戦死者を弔う花」として芥子が使われるようになりました。
こういう芥子の花を「雑草」と言う人もいますが、雑草だって綺麗なものは綺麗なんですから。