今日は前回に引き続き、「国にすべて頼らないで、個人やコミュニティでできることはやってみよう」というテーマですが、先日の新聞で感心したことを書こうと思います。
ヨークシャーデイルという風光明媚な地域にある人口1,137人の小さな村の話です。村にある唯一のガソリンスタンドが閉鎖されるということになりました。何せ、このガソリンスタンドが閉鎖されれば一番近くのスタンドまでは60キロ近くあります。そこでオーナーの承諾を得てコミュニティが買い取り、3年以内に支払いを済ませるということなりました。昨年は10万リットルのガソリンを売ったそうです。(田舎にあるために政府から1リットルにつき5ペンスの払い戻しがある)
この村のコミュニティが動いたのは今に限ったことではありません。まず25年前にチーズ工場が閉鎖されかかった時に工場を買い、今では200人を雇うほどになりました。それまでにも学校、駅、警察、銀行が閉鎖され「もう我慢できない!」と1997年に村人たちが立ち上がって‘コミュニティ・パートナーシップ’ を設立、図書館もオープンされました。そして警察、郵便局、問い合わせデスクまでできました。2011年には ‘小さな白いバス’ を買い取り、10キロ先の駅まで運行しています。今ではその数も10台になり、53人のボランティア、8名のパートタイムのドライバーによって毎年65.000人を運びます。(ヨークシャー地方議会から毎年£113,000の補助が出る)またランドローヴァーを買い、更に人里離れた農家の子を学校に運びます。
中には、大都会のリーズから片道一時間かけて ボランティアドライバーとしてやってくる人もいるとか。また「会話を楽しむのが目的」と、終点に到着しても下りない人も出てきました。
来年は2か所の土地を買い、若い人も住めるようなリーズナブルな家賃の家を建てる計画もあります。
コミュニティ・パートナーシップの代表者は言います。「この村は自給自足の精神が伝統です。‘自分たちで出来る’という姿勢が強いのですよ。他のコミュニティでも是非やってもらいたい。私たちにできたのだから彼らにできないわけはないし、誰もしてくれないのであれば自分たちでするという気持ちは大切です。」
ごもっとも。コミュニティに不満があると、つい政治を責めたくなります。でも国でしてくれることは限られていて、それを待っていたらいつまでたっても生活は改善されません。ホント、学ぶことが多いですねー。
*明日から2週間ほどブログをお休みします。