4/01/2019

観光名所の本名

エイプリルフールです。子供のころは、胸を張ってウソがつける日を楽しみにしていたのですが、最近は気が付かないで終わってしまう年もあるくらいその重要性(?)は失われつつあります。

さて、イギリスのテレビのニュースなどで、よく‛ウェストミンスター宮殿(The Palace of Westminster)’ ‛エリザベス・タワー(The Elizaneth Tower) ’という名前を聞きますが、イギリスに住んでいない人は???と思うでしょう。しかもふたつとも誰もが知っているお馴染みの観光名所なのです。

ウェストミンスター宮殿とは 国会が開かれる建物(国会議事堂 通常The Houses of Parliamentと呼ばれる)で、エリザベス・タワーとはビッグベンのことです。昔はクロック・タワーと呼ばれていましたが、現女王の戴冠60周年を記念して2012年にエリザベス・タワーに改名されました。

ウェストミンスター宮殿




(ビッグベンという名前は最初、中に入っている鐘の名前でしたが、現在では鐘と共に、時計、塔全体を指します。)

ウェストミンスター宮殿は古い部分(the Old Palace)と新しい部分(the New Palace)があります。古い宮殿はほとんどが1834年の火事で消滅し、広場から見えるウェストミンスターホール他が少し残っているだけです。新しい宮殿は1860年にヴィクトリアン・ゴシック建築によって完成されました。

建物全体の建築を担当したチャールズ・バリーは内装も含め、時計台のデザインをオーガスタス・ピュージンに依頼しました。こうして96メートルのビッグベンが1860年に出来上がりました。バリーは、天才的デザイナーだったピュージンを徐々に頼るようになり(このために、新しいウェストミンスター宮殿の建築家はピュージンであるという主張もあります)、過労のためか精神を患い1852年に亡くなります。バリーも完成10年前にこの世を去っています。二人が命をかけてデザインしたウェストミンスター宮殿はいまだにロンドンの観光名所として世界中に知られています。


さて最近ロンドンにいらっしゃる方は、このビッグベンが見れなくてがっかりですね。ビッグベンは4年間の修理に入りました。工事費は6100万ポンド(88憶円)。鐘も、工事現場で働く人の聴覚を保護するために2021年まで(大晦日と休戦記念日を除く)聞くことができません。





ということで、ビッグベンは残念ですが、この場所からヴィクトリア通りを進むとヴィクトリア駅の正面近くに1892年にできたリトルベンという時計があります。

私はガイドをする際は、敢えて「ビッグベンがだめならリトルベンを見に行きましょう」とは言いません。あまりに規模が違うので、皆さんがっかりすることが多いのです。でも近くに行って、「これ、リトルベンと呼ばれています。」と言えば、その可愛らしさに、どの顔にもクスッ微笑みが浮かぶのですから、リトルベンの力は偉大です。





ブレグジットで大混乱のイギリスです。ニュースを見るたびに心配、怒り、あきらめ、絶望・・・・一体イギリスはどうなっちゃうのでしょう? 普段は楽天家の私もさすがに毎日が憂鬱です。この問題が終わるまで、しばらく眠っていたい気持ちです。