3/21/2019

ラグビー ~ 非現実的なことが起ったイングランド・スコットランドの対戦

マーマレードアワードに行っていた時にラグビーのSix Nationsの最終マッチが行われました。Six Nationsとは1871年に始まったテストマッチで、最初はイングランドとスコットランド戦でしたがそのうちにアイルランド、ウェールズ、フランス、イタリアが入り、今では6か国の試合になっていますのでSix Nationsといいます。今回は録音をしてもらってダルメインから帰ってから見たのですが、テレビのニュースで結果はわかっていました。

私はスポーツにはそれほど関心はないほうです。せいぜいウィンブルドンのテニスと日本から友人や家族が来た時にサッカーを見るくらい。ハラハラするのはどうも苦手です。でも、ラグビーは別です。私の住む町のラグビークラブに入会しようかどうか迷っているほど。(もちろんプレイはしませんよ!)

今年のSix Nationsは結局ウェールズが優勝しました。




でも今、お話ししているのは3月16日に行われたウェールズの優勝戦ではなく同日のイングランド対スコットランドのマッチです。実は私が密かに応援しているのはスコットランド。マーマレード・アワードに行くときにいつもお願いする運転手もラグビーファンですが、彼はもちろんイングランドのサポーターです。車の中であれこれ話していました。スコットランドはイングランド、ウェールズ、アイルランドに比べればいつも最下位で今年の成績は最下位から2番目。(今年はフランスにも負け、勝ったのはイタリア戦だけ)





まず試合開始後すぐにイングランドがトライに(相手のゴールにボールを接地して得点)成功。その後イングランドはどんどんトライを重ね、テレビのコメンテイターは「イングランドはボールを持てば必ず得点する」とまで言うくらい点数がどんどん上がっていきます。そして前半終了10分前にはなんと30対ゼロ、イングランドファンは楽勝を確信、スコットランドファンは絶望の心境で観客席はまるで写真を見ているように動きがありません。ところが後半戦に入ってからスコットランドは死から蘇りました。

後半開始後スコットランドはぐんぐんトライを重ね、試合終了10分前には31体31の同点、その後、またスコットランドが7点獲得でリード。このままで「勝つ!」と思ったらマッチ終了直前にイングランドも7点。結局38対38の同点で終わり、スコットランドはカルカッタ杯を保持できました。(カルカッタ杯は史上初のテストマッチの杯でイングランドとスコットランドの試合の際に勝者に渡されるものですが、1年前の試合でスコットランドが 勝ったために今回は引き分けでも、スコットランドがそのまま保有することに。)

 カルカッタ杯




後半のスコットランドのプレイはお見事としか言いようがありませんでした。こんな試合は10年に一度、いいえラグビー史上に残る超現実的な試合でした。このマッチで一番良くプレイした選手が「前半を終了してグラウンドから離れた時、ヘッドコーチと議論したんだ。そのことが結果につながったと思う。」と話していました。Nothing to lose. つまり「失うものは何もない」という心境で戦ったのだと。

これってイギリスでは良く聞く言葉です。試験でも何でも「失うものは何もない」という心境で思うように全力で戦えという意味です。半面イングランドのオーウェン・ファレルはキャプテンの責任を彼一人の肩にかけられ(もう一人はケガで欠場)、すでにウェールズに負けていたのでメインプレイヤーとしても勝つことを大いに意識してプレイしたのでしょう。

「こんなこともあるんだなー」と感激しながら録音したマッチを数回見ました。私たち誰でも壁に突き当たることがありますよね。そんな時、「失う物は何もない。」という気持ちで挑むことが大切かも。うん、良いことを学びました。