以前、オックスフォード大学出身のブルーバッジガイドのウォーキングツアーに参加したことがあります。その内容も素晴らしかったのですがオックスフォード大学時代の経験談がまたおもしろく、それ以来オックスフォードに行く用事がある時は時間が許せば色々なウォーキングツアーに参加することにしています。
ブルーバッジ.ガイドもそうですが私たちにはマニュアルというものがありませんのでガイドによって話す内容も全く違います。だからこそ何回同じところに行ってもガイドが違えばおもしろいのです。オックスフォードのウォーキングツアーも何度参加しても飽きることはありません。
ツアーが始まって、まず向かったのはバリオルカレッジです。オックスフォード大学は38のカレッジから成り立っていますが、その中でもバリオルカレッジは最も古いカレッジのひとつで創立は1263年。これまでに45人のオックスフォード大学出身の首相のうちエドワード.ヒースを含む3名を、50名以上のノーベル賞受賞者のうちの5名を輩出しました。特に政治、経済ではもっともアカデミックなカレッジのひとつとして知られ、日本の雅子妃も学ばれたことで日本人にも興味のあるカレッジです。
オックスフォード大学やケンブリッジ大学のカレッジは日本のカレッジと違います。まずオックスフォードのカレッジはオックスフォード大学の傘下にはありますが、ほとんどにおいて独立した機関ですので、「オックスフォード大学の○○カレッジ志望」というふうに願書を出します。入試も別個に行われ、学生たちの多くはカレッジ内に住み、カレッジ内でチュートリアルという個人、または3~4名のプライベートレッスンを受けます。
それらのカレッジには必ずチャペル、ホール(学生、教授が食事する場所)、図書館などがあります。
またオックスフォードはよくテレビ、映画のロケに使われ、その日は「ルイス」のテレビドラマの撮影が行われていました。大人気を博した「刑事モース」が15年前に終了し、今はモースの部下だったルイスが主役になって制作されています。
人ひとりが通るのにも狭すぎる細い通りの向こうには「ルイス」の全てのエピソードの中でルイスと部下のハサウェイが昼間からビールを飲むパブがあります。まるでアルコールが入ったほうが推理に役立つと思っているかのように。(そうかな?もしかしたらそうかも?)
オックスフォードのウォーキングツアーで私がよく参加するのはOxford Walking Toursです。ここのガイドはブルーバッジではないかもしれませんが、オックスフォード大学出身の人たちです。正直言ってガイドとしてちょっと?というひとも中にはいます。でも大学時代の話などが聞けるのがおもしろいのでよく使います。http://www.oxfordwalkingtours.com/index.php
その日のガイドは、始まっていきなり「こんな曇りの日のオックスフォードはちょっとねー。今日はツアーには向いてないなー。」なんて言ったので、喉のここまで「それなら出直してくるから。さようなら。」と言って帰りたい気持ちになったのは私だけではなかったはず。でも、まあこれも個性と思えば許せるかも?.....次第に太陽が出てきたのが幸いでした。
ウォーキングツアーでもうひとつうれしい点は、ロンドンからの日帰り観光ツアーではめったに訪問しないカレッジを(通常はクライストチャーチのカレッジを訪問)見学することです。オックスフォードでは最低半日、できたら一日過ごせたらもっとさまざまな顔を持つオックスフォードを見ることができるでしょう。見たい、食べたい、経験したい....そういうことが限りなく出来る街です。
例えば13世紀にカレッジが出来る前、レクチャーやセレモニーが行われた聖メアリー教会のカフェです。特にお天気が良ければ目の前にラッドクリフ.キャメラが聳える椅子に座ってお茶やランチを。ラッドクリフ.キャメラとは今はボドリアン図書館の読書室になっている18世紀の建物です。オックスフォードといえばこの建物が最初に目に浮かぶほど有名です。
私が個人的に好きなカレッジはニューカレッジです。1379年創立ですが、当時あったもうひとつのセントメアリー.カレッジという同名のカレッジと区別するために「新しいカレッジ」と呼ばれたのが始まりで、もうひとつのカレッジが1422年になくなったにも関わらずいまだにここはニューカレッジと呼ばれています。バリオルカレッジと学生数はあまり変わりませんが(バリオルカレッジは600名、ニューカレッジは700名)、その入り口からは想像できないくらいに大きな建物、敷地に驚かれることでしょう。
チャペル、ホールはもちろんですが1400年に造られた回廊も忘れずに。
そして裏に行けば中庭で(ガーデン.クウォードラングル)学生たちがくつろいだり勉強したりしています。一般の人は芝生に入ることは許されていませんが、周りを歩くだけで十分寛げます。
更に奥にあるガーデンは自然が沢山残されていて最高の散歩道です。
ガーデンを囲む壁はカレッジよりずっと古く、ニューカレッジを14世紀に作ったウィンチェスター司教がカレッジを建てる際の交換条件として城壁の維持が義務付けられたため、6世紀半経った今でもしっかり残っています。
カレッジをいくつか周ったら是非University of Oxford Botanical Gardenを訪れてみてください。1621年に出来たイギリス最古の植物園で、今では8000種以上の植物が植えられています。
そろそろ友人と待ち合わせの時間になったのでこの日は植物園には行けませんでしたが、見学の価値は十分あります。
そろそろ友人と待ち合わせの時間になったのでこの日は植物園には行けませんでしたが、見学の価値は十分あります。
人口15万人、イギリスでは52番目に大きく、「夢みる尖塔の町」と呼ばれるオックスフォードはじっくり時間をかけて見学したい街です。7月8月は特に観光客で賑わいますが、主な観光ルートから外れて一歩カレッジに足を踏み入れた途端に別世界に引き込まれてしまうのは私だけでしょうか?イギリスの建築の歴史が全て見られるようなこの素晴らしい町に是非お出かけ下さい。