イギリスの道路標識は実に良くできていてパッと見るとすぐに意味が解るものが多いのですが、下の写真の標識は私にとって忘れられない標識です。それは、私がこの国に来てすぐの時か、またはこの標識が出来てすぐの時か覚えていないのですが、初めて見た時に一緒にいた人がこう言いました。「ああ、この辺はおばあさんたちが、スリをしているところだから気をつけたほうがいいよ。特におじいさんが被害に遭っているようだ。」と。
「えっ?おばあさんがスリをするの?すごいなー!」と、私は気をつけなければいけないことより、「そういう元気なおばあさんに会ってみたいものだ」と思ったものでした。
もちろんこれは私がかつがれただけで、一緒にいた人の(誰だったかも覚えていませんが)ジョークだったわけです。私の驚いた顔を見てきっとその人はお腹の中で大笑いをしていたことでしょう。
もちろん、この標識は「お年寄りが道を渡るので、運転には十分気をつけて!」というサインです。
先日、日本に行く友人から日程の相談を受けたとお話ししました。その数日後、今度は他の友人から「実はクリスが日本にホリデーで出かけるんだけど、ちょっとした日本語を習いたいと言っているの。1時間くらい彼女に付きあってくれない?」と連絡が入りました。私は日本語を教えた経験は全くないので(泊まる際にホテルのスタッフに「ありがとう」「さようなら」「おはよう」は数え切れないくらいおしえましたが)、あまり考えずに友人の所でクリスに日本語を教えました。
それがけっこう難しくて。私は小学校の時にローマ字を習った人間です。今、考えるとローマ字は返って逆効果だったかも?
一通り「ありがとう」「こんにちは」「さようなら」などおしえた後で、‘How do you do ?’は何て言うの?と聞かれました。
「初めまして」とおしえてあげたら彼女、目をまんまるくして「えっ?もう一度ゆっくり」。「ハ.ジ.メ.マ.シ.テ.」 数回言ってもまだ覚えられないようで(彼女はもうすぐ70歳に手が届く年代)、「どう書くの?」といわれたので hajimemashite とローマ字で書きました。
これを読んだ彼女は「ハジャイムマシャイトゥ」と発音しました。私が変な顔をしているので、「あらっ、違ったかしら? ‘ハジミーマシャイトゥ’なのね?」ますますわからなくなってきました。なんでhajimemashite が「ハジャイムマシャイトゥ」になるかと言いますと、英語では例えば ‘i’の発音もその後のアルファベットで変わってくるのです。
例えば jimだけなら‘ジム’ですが、jimeと、‘m’ の後に ‘e’が付けば ‘ジャイム’になるのです。shitだけですと(すみません。意味は考えないでください) ‘シットゥ’ですがshiteと、‘e’がつけば発音は‘シャイトゥ’になります。
日本の方が英語でお名前を書く場合、ほとんどの方はローマ字で書かれます。でもこれが発音と全く違うので英国人にお名前を呼ばれても全く気が付かない方が多いといったことがよくあります。
日野さんは Hino と書けば多分は「ハイノー」さんと呼ばれるでしょうし、太田さんはOtaと書けば「オターさん」と呼ばれるでしょう。Hiknow とか、Ohtaと書けばもうちょっと日本語に近い呼び方をしてくれるかもしれません。
結局、私はローマ字を完全に放棄して私が何度も発音してクリスが自分の覚えられるように英語に書き換えるというやり方で進めました。
外国人に日本語を教える先生たちのご苦労がわかりました。イギリスでも日本語を学ぶ人が増えているので益々先生たちのご活躍を期待します。そういえば最近、イギリスでも(世界中だと思いますが)日本語が出回ってきました。
「スシ」「サシミ」に続いて「マンガ」「ウマミ」などです。英語がどこに行っても通じるという理由で外国に行っても英語で通していたイギリス人ですが、その国に行ったら少なくともその国の言葉をちょっとは勉強していくこともマナーの中にいれたいですね。