イギリスでは日本と違って成人は21歳です。やっと大人になった彼女の叔父さんは大人になってすぐに亡くなってしまったのです。
彼女の言う「素晴らしい」の意味がよくわからなかったのですが、帰りがけに友人と立ち寄ることにしました。
そこには第二次世界大戦で戦死した英連邦の空軍男女兵士20、456人の名前が壁一面に刻まれていました。
これらの人たちは全てお墓の無い人たちです。空軍ですからどこで亡くなったかもはっきりわからない人が多いようです。愛するひとたちを亡くした家族たちはお墓参りとして1953年にできたこの建物に世界中からやってきたのです。
テムズ川を見下ろす丘の上の建物は実に静かです。今では訪問客は家族というよりはむしろ、世界中から戦争で亡くなった方たちへの敬意を表すために来る人が多いのかもしれません。私たちがいる時にもたまたまマグナカルタのツアーで一緒になった女性が来ていました。聞くところによると、彼女はイギリス人で(年は40代後半くらい)、第1、2次世界大戦の戦場になったところや慰霊堂を周っているのだそうです。
この日はお天気は良かったのですが、少し靄がかかっていました。そうでなければここからロンドンが見えるはずです。
戦争を体験していない私が、つい70年前まで日本と戦争をしていた国の慰霊堂で、今こうやってイギリス人、アメリカ人の友人と共に戦没者のために祈っていることがとても不思議に感じられました。
ガイドの言った「素晴らしい」という意味と同じかどうかわかりませんが、景色の素晴らしさと同時に昔の敵もいつかは友になる日がくること、そして平和のため、家族のためと信じて死んでいった人たちのことをこうやっていつの世でも思い出すことが出来る場所があることが実に素晴らしいことだと思いました。