その数日前から雨が多く洪水になったところもあったようですが、さほど投票には影響もなかったようで投票率は70%を超えました。投票日の数日前に北海道新聞から電話が来ました。イギリスに住む北海道出身者の声を聴くということでインタビューされたのですが、「投票結果が出てから再度お電話します。」と言われ、「万が一Leave(離脱)の結果が出たら落胆して声も出ないでしょうけど。」とお返事しました。でもそれはまずあり得ないこと。私の中では「Leaveと声には出しているけど、きっといざとなって冷静に判断したらRemain(残留)が勝つでしょう。」と内心は思っていました。そして投票日。朝早く家を出てコッツウォルズのホテルでお客様にお会いして車でご案内。
チッピング.ノートンの町の中心では離脱派と残留派がお互いに数10メートル離れたところで呼びかけ運動をしていました。
投票締め切りは午後の10時。夜中過ぎに結果が出始めた時はすでに残留が勝利する気がしていました。そして落ち着いた気分で眠りました。でもどうしても気になって朝4時半に目が覚めて、テレビをつけたらなんとLeaveがほぼ決定。「ウソでしょう?」と何度も聴きなおしました。
そして朝の7時に北海道新聞からの電話。呆然としていましたので、何を話したのかさえはっきり覚えていません。でも、「感情に流されないと思っていたイギリス人は、今回は感情に動かされてしまった。でも元に戻ることはできないし、これからのことを考えるのみ」というようなことを話したと思います。一番恐れていたのは国民の離脱派と残留派の分裂。それが招く人種差別、スコットランドに始まるイギリスの国の分裂.....心配なことは数知れず。でも今更何を言っても結果が出た以上は「これから何をしなければいけないのか?」を考えなければいけません。
一週間経過して私の気持ちも徐々に落ち着いてきました。昨日、ツアーから戻りましたがツアーの最中に出会ったイギリス人はほとんどが残留派でした。でも彼らたちが口を揃えて言ったことは「大変なことになったけど、イギリスは絶対にこの危機を乗り越える」という自信です。自信という言葉は適当ではないかもしれません。「乗り越えなければいけない、状況に応じて最適な方法を考えて行こう」ということを自分に言い聞かせている気がしました。
17世紀に起こった市民革命で王党派と議会派が戦い、親子、兄弟が分裂して戦ったイギリスは、結局は戦い後に民主主義の政治を勝ち取りました。今回もEU離脱の国民投票の経験を活かしてより良い社会が築きあげられることを期待します。