7/20/2016

シリアのマーマレード

今年3月、マーマレード祭りにお客様のご案内でペンリスの町に行った時は町の中心は全てマーマレードでした。






 
 
食料品を売っていないお店でも色だけはマーマレードです。
 
 


お店以外にも道端には多くのブースが出ていました。
 
 



自分でも毎年1月に一年分のマーマレードを作るのですが、興味のありそうなマーマレードが売られているとつい買ってしまいます。今までは市販のマーマレードでおいしいと思えるものはあまりなくてただひとつコッツウォルズの小さな工場で作られているという‘キッチンガーデン’というメーカーのセヴィルオレンジマーマレードをお勧めしていました。一番美味しいと思うのは村祭りなどで売られているホームメードのマーマレードです。

でも3月にペンリスの道端のブースで売られていたシリア産オレンジで作られたマーマレードは感動ものでした。食べた瞬間、「ウン?ラベンダーが入ってる?」と思ったほど。オレンジ以外の優しい香り。今までラベンダー畑の売店でラベンダー入りマーマレードを買ったことがありますが、オレンジがメインなのかラベンダーがメインなのかわからないくらいラベンダーの香りが強すぎました。私はどちらかと言えばラベンダーやウィスキーなど加えられたマーマレードではなくかんきつ類そのもののマーマレードが好きです。でもこのシリア産のオレンジで作られたマーマレードは一体何が入っているのでしょう?オレンジそのものがこういう香りなのでしょうか?

そのマーマレードのジャーにはこう書かれています。

「このマーマレードから得られた利益は全てシリアへの援助を支持するチャリティ The Hands Up Foundationに寄付されます。シリアに暮らす我々の友人たちに我々は彼らの事を忘れてはいないことを知ってもらうために全て手作りです。」 www.handsupfoundation.org





本当を言うと、買った時は全然味は期待していませんでした。「まずくてもチャリティにお金が行くのなら」という気持ちで買ったので。ですからつい先日までこのマーマレードは我が家の食料品棚に並べられた他のマーマレードの陰になってずっと出番を待っていたのでした。もちろんマーマレード祭りで買ったこともすっかり忘れていました。

「2011年3月、ダマスカスの町が不安に取り囲まれている時、我々の住む家の中庭になっていたNarenjの木から採れるオレンジでマーマレードを作りました。作っている間、外の混乱から、そしてこの地を去らなければいけないことを忘れさせてくれました。」

今はイギリスの湖水地方の自然と、綺麗な空気に囲まれたキッチンで作られているこのマーマレードからはシリアの内紛の悲惨さは感じられません。でもこれを作った人たちはいつもいつも国を思いながらオレンジをきざんでいるのでしょう。







マーマレードはセヴィルオレンジが一番おいしいと思っていましたが、いつかシリアのオレンジが手に入ったら作ってみたいという夢が膨らみ始めました。でも本当はマーマレードは作る人の思いが一番大切なのかも?