11/10/2018

大手スーパーのクリスマス・コマーシャルの放映が禁止さる。

そろそろクリスマス。11月に入ったばかりなのに、ロンドンではすでにクリスマスツリーもお目見えして・・・・・クリスマスは年々早くやってくる気がします。12月に入れば本格的にクリスマス気分です。テレビではデパートやスーパーのクリスマス用の特別なコマーシャルが写しだされます。中でもジョン・ルイス(デパート)や、コカ・コーラの宣伝は、物語性があって何回見ても楽しくなります。

さてそんな中、大手スーパーのアイスランドの広告が放送禁止になったニュースが話題になっています。アイスランドは1970年代にオープンしたスーパーで、特に冷凍食品に関してはイギリス1の大手スーパーです。









このスーパーはイギリスで初めて‛自家商品にはパーム油を使用しない。’と宣言したスーパーです。パーム油がいかに環境を破壊しているかは今まで多くの方々に語ってきましたし(持続性のある栽培をしているパーム油を除く)、今回の帰国の際にも仙台でその話をさせていただきました。

パーム油は私たちがスーパーなどで買う50%以上の製品に使われていると言われます。チョコレートやビスケットなどのお菓子、インスタント食品からシャンプー、化粧品、洗剤に至るまで数え切れません。パーム油はアブラヤシから採れるのですが、インドネシアやマレーシアでは熱帯雨林を伐採してアブラヤシを植えています。伐採のスピードは1時間にサッカー場300という驚くべき速さです。

その結果、そこに住む動物は殺され、ペットとして売られたり、タイやバリなどの観光地で観光客を楽しませるために捕まえられます。このためインドネシアの野生動物の3分の1が絶滅の危機に晒されています。このままでいけばスマトラタイガーは3年以内に、オラング―タンは5~10年で絶滅するそうです。

伐採に時間をかけないように、アブラヤシの木を焼くこともありますが、これは有害ガスの発生につながり、インドネシアは世界で3番目に 温室効果ガス(地球の温暖化の原因)を発する国となっています。

詳しくはWorld Widelife Fund for Nature(WWF 世界自然保護基金)のサイトをご覧ください。

https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/2484.html

そこで本題のアイスランドのクリスマスコマーシャルなのですが、ある女の子の部屋にオラングータンの赤ちゃんが住み着きます。この子がいたずらっ子で女の子はこの赤ちゃんを追い出そうとするのですが、話を聴くとこの赤ちゃんは住んでいた熱帯雨林が伐採されて行くところがなくなったので女の子の部屋に置いてほしいと訴えます。




そこで女の子はオラングータンを助けることにします。




今はネットでしか見られないのですが、是非皆さんもご覧ください。

https://www.theguardian.com/media/2018/nov/09/iceland-christmas-tv-ad-banned-political-greenpeace-orangutan

アイスランドのこのクリスマス・コマーシャルは子供にもわかりやすく制作されています。アイスランドでは自然保護団体であるグリーンピース(NGO)が制作したこのビデオをクリスマスコマーシャルとして使うことにしたのですが、結局「政治的色が濃すぎる」ということで放送が禁止されました。

今、イギリスではこのコマーシャルをテレビで公開するための署名運動が行われています。運動が始まってから48時間で50万人が署名しました。地球の温暖化、野生動物の保護、そこに住む人たちの暮らしの保護などを考える時、パーム油の問題は深刻な問題であることは間違いありません。私たちはそれに気が付かなければいけない時が来ました。

上のリンクのビデオは現在はネットでしか見ることができませんが、禁止に対するあまりの反響にもしかしたらテレビでも見ることができるようになるかも?そう願いたいです。