11/22/2019

ストウ・ハウス

ストウは風景ガーデンとしてイギリスでは最も有名なガーデンのひとつで、このブログでもこれまでに数回紹介させていただきました。特に我が家から車で30分の距離なので、友人やお客様をご案内する機会が多いのです。風景ガーデンは季節、天候によって全く違う景色や雰囲気になるので行くたびに新鮮な感じがします。

少しくらい曇っていても水に写る景色にため息。







長い間座っているこのカップルには言葉は必要ない?




1月2月はとても寒いのですが、スノードロップに出会えます。(ここではストウドロップと呼ばれています。)






陽が沈みかけたストウ。




先日も、特にストウを希望されたお客様がいらっしゃったのでご案内しました。ラッキーなことに、この日は晴天。秋も深まり、コートや手袋が必要な季節ですが、冷たい空気が返って心地よく気持ちの良い散歩を楽しみました。






17世紀後半、コバム子爵は父から譲り受けた家の(ストウハウス。現在はストウ・スクール)改築、増築を始め、19世紀には広大な土地にヴィクトリア女王も羨むほどの豪邸が完成しました。イギリスのみならずヨーロッパ中から王侯貴族がストウハウスを訪れています。また一族は長い間政治にも関り、歴史上父息子と2代続けて総理大臣になったのは2組だけですがその両組がこの家系から出ています。中でもウィリアム・ピット父子は有名で、息子は24歳で歴代最年少の首相になっています。

世襲のタイトルも子爵からバッキンガム侯爵、バッキンガム公爵に昇格しますが、2代目のバッキンガム公爵の時代に大きな借金を抱えるようになります。(公爵のタイトルを得る条件として当時のリヴァプール首相を支持することが義務付けられたために一族は多額の費用をこれに充てました。)結局この2代目バッキンガム公爵の代でなんと今のお金にして1億ポンド以上の借金を背負ってしまいます。

一族の財産は土地、建物の他家具や名画までオークションにかけられます。その息子である3代目バッキンガム公爵は1889年に亡くなりますが、男子相続者がいなかったためにバッキンガム公爵のタイトルは途絶え、土地、館は娘に受け継がれます。彼女の一人息子は第一次大戦で戦死、その後売却によって所有者が数回変わりますが、結局1922年にはストウ・スクールを運営する組織に売却され、1989年に建物以外のガーデン(現在のThe gardens at Stoweストウガーデン)がナショナルトラストに寄付されます。

さて、今回はその建物であるストウハウスを見学しました。今までガーデンには何度も行っていますが、建物を見学するのは初めてです。




ラッキーなことにツアーに参加したのは私たち3名のみ。ガイドさんは私たちの興味に合わせて案内してくださったので、とてもラッキーでした。

現在は年間寄宿、授業料のみで600万円というパブリックスクールです。もちろん学生が普段生活しているところは多分、もっと質素で実用性のある内装とは思いますが、特別な時にのみ使う部屋はまるで宮殿です。












ストウハウスの中からずっと遠くに見えるアーチ。このアーチはバッキンガムの町からストウに向かう長い一本道の突き当りに見えるアーチで、18世紀のものです。






ツアーは通常1時間に2回行われています。ストウのガーデンに行ったら是非ストウハウスも見学してください。ストウを所有していた一族の波乱万丈な歴史などがわかって興味深い時間を過ごしました。

(建物はナショナルトラスト所有ではないので、ストウの庭以外に建物の入場料がかかります。 https://www.stowe.co.uk/house )