5/10/2020

ヨーロッパ戦勝記念日 VE Day

イギリスには一年に8回(正確にはイングランド&ウェールズが8回、スコットランドが9回、北アイルランドは10回)、バンクホリデーと呼ばれる休日があります。日本のように理由のある祝日ではなく、クリスマスやイースターなどの祝日以外はバンクホリデー、つまり最初に銀行を閉めたことからこういう呼び名が始まった単なる休日です。連休になるように、バンクホリデーはいつも月曜です。

5月は2回のバンクホリデーがあります。月の最初と最後の月曜ですが、今年はヨーロッパ戦勝記念日  (VE Day    Victory over Europe)が75周年を迎えるために5月4日から8日に変更になりました。

昨年の6月に政府から日にちの変更が発表されたわけですが、それはすでに2020年のカレンダーが印刷された後。毎年印刷されると推定される4000万のカレンダーの4分の3、つまり3000万が無駄になりました。またすでに連休にかけてホリデーを予約していた人も変更、キャンセルを余儀なくされました。

そんな中でコロナウィールスのパンデミックが起こりました。私は一日一回の散歩以外は完全自宅待機ですので、町の様子はわかりません。散歩の時に通る住宅や公園で様子を知るのみですが、ハイストリートにある戦争記念碑のところには間隔を空けて人々が立っていたのでは?と想像しています。













一昨日のVE Dayの日、10時10分ころに近所のリンが「レッドアロウがここの上空を飛ぶから!」と息を切らせてご近所中のドアを叩いて知らせてくれました。どこで仕入れた情報かはわかりませんが、早速、皆カメラを持って外に出ました。10時18分、上空で突然すごい音が響きだしたかと思うと、レッドアロウが赤白青の線を残しながら、あっと言う間に行ってしまいました。この間、数秒でしたが素晴らしい光景に出会えました。




そして11時には玄関の外に出て戦争で亡くなった方々への黙とうです。テレビではイギリス各地からの黙とうの様子を伝えています。

3時少し前、近所の各家から椅子やテーブルを持ち出してストリートパーティが始まりました。本来なら大きなテーブルに皆が持ち寄ったお料理やお菓子、飲み物が並ぶはずです。2メートル間隔は、一緒に住んでいる家族は別。ですから政府がアドバイスしているのは家族単位で2メートル以上の間隔を置くとうことです。




75年前の今日、当時の首相であったウィンストン・チャーチルが、ラジオでヨーロッパにおける第二次世界大戦が終結したことを宣言しました。誰が持ち出してきたのか、ラジオからそのスピーチが流れてきました。「日本はまだ降伏していない。」というところでは特に複雑な気持ち。日本が降伏するまでの3か月間、連合軍も、そして日本人もいったいどれだけの人が命を落としたでしょう。ヨーロッパでは終戦になったとはいえ、イギリス軍の中でも依然アジアで戦っている人、捕虜になった人がいました。

チャーチルのスピーチが終わると、完全にパーティムードに入ります。1930~40年代の音楽が流れ、ダンスをする人、しばらくぶりのおしゃべりに夢中になる人・・・・・シャンペーンで乾杯する人、完璧なアフタヌーンティを楽しんでいる人、単にお茶だけで静かに物思いにふけっている人・・・・





そして夜の9時に女王がテレビでスピーチをしたのを最後にVE Dayのイベントは終わりました。

コロナウィルス感染がおさまったら、今度こそきっとイギリス中で本来のストリートパーティが行われることでしょう。