ところが今回は、個人的なサービスが必要だったわけでもなく、ホテルで夕食をとらなくてもレストランが周りに沢山ありましたので問題はありませんでした。
一番気に入ったのは客室です。550年前に建てられたこの家の屋根裏部屋が私たちの泊まる部屋でした。‘屋根裏部屋’は天井の形が正に屋根の形で、日本の方から「以前こんなお部屋に入れられてしまいました」というお話を良く聞きますが、私はそれが大好きです。個性的な部屋が多く、窓からの眺めも好きです。
その部屋はセカンド.フロア(つまり日本で言う3階)にありました。こういう古い建物は、保存をしなければいけない建物に登録されていて床をぶちあけてエレベーターを作ることは許されていない場合が多いのです。
ハアーハー言いながら登り着いた3階の部屋は不思議な部屋で、まずは専用の玄関口のようなドアがありました。その理由はドアの下が5センチ以上も隙間があるからだと思います。この写真は中から撮ったもの。左のドアがバスルームにつながっています。きっとドアの下をこんなにも切らなければ、開け閉めができなかったのでしょう。
そこから5メートルくらい行きますと部屋があります。入った途端に思わず「ワーッ」と声をあげてしまいました。何せ「古そう!」。
屋根裏ですから、当然窓は高い位置にあります。外を眺める時は、椅子に上がって。
むき出しになっている梁は白く塗られています。こういうハーフ.ティンバーの建物は、現在は木の部分は黒や茶に塗られていますが(ヴィクトリア朝の人たちの発明です。なんでも自分の美意識を押し通したのがヴィクトリアンです!)、中世のころは虫が入らないように石灰を塗っていたのです。この部屋は今はペンキかもしれませんが、それにしても外観以外の梁が白く塗られている部屋に泊まったのは初めてです。
窓の外は隣の、これまた古い建物の屋根。古いタイルには何年も生き続けている苔が。ずっと昔は板ガラスはビンを伸ばして作っていたので、瓶の底の部分はどうしても厚く、丸い部分が残ってしまいました。そんなガラスにお目にかかると身震いがしそうなくらい嬉しくなります。ここのガラスは新しいものでした。でも瓶の底の厚い部分もちゃんと模様として作られています。
肝心なベッドルームの写真は何故か撮らなかったようですが、バスルームの写真が残っています。
大きなバスルームにはバスタブの他、シャワー室もありました。時々スーツケースも開けられない程狭い部屋に泊まることもありますが、ここのバスルームはスーツケースどころか、ベッドまで持ち込めるような広さです。
パブリックスペースも大きく、バーがありますから大きな肘掛け椅子やソファーに座って夜遅くまでおしゃべりしているお客もいます。
私は、宿泊場所を決めるときは「今回は何が一番大切か?」ということを考えて予約します。仕事の時は、24時間出入りができるビジネスホテル、愛犬と一緒の場合はなにはさておき「ペットOK」であること。今回はホリデーの途中で、‘地理的に行き先のルート上であること’、‘個性的な場所’を第一条件に探しました。
こういう方法で予約しますと、あまりはずれはないような気がします。もっともサービスに関しては行ってみないとわからないことが多いのですが。
イギリスのホテルは、高めだと思います。特にロンドンは「こんなホテルでその値段?」というところが多いようです。今回のマールボロー.アームズは一泊朝食付きで日本円にして2万円くらいでした。これがもしロンドンだったら.....と思うと、この料金は納得。
何せ、シェイクスピアが15歳の時に建てられた家です。昔はこの村に大邸宅をもつモルバラ公爵に仕えた人の家だったのかもしれません。またシェイクスピアがロンドンに行く際にこの村を通った可能性は十分あります。そんなところに泊まると、今という時をしばしの間忘れてしまいそうです。