12/12/2014

半冬眠の時期に入りました。

観光ガイドの仕事は季節労働ですから、私の場合は一年のうち6か月くらいは忙しい毎日を
過ごしますが、残りの6か月はほとんど半冬眠です。半冬眠と言うのは、忙しいときに出来なかった調べものをしたり録音していたテレビドラマをまとめて見たりと、目と手だけ動かして過ごす毎日が続くからです。

歩くこともあまりなく「これではだめ!」と機会を見てはロンドンに出て博物館めぐりやコンサートに行くように努めています。昨日はナショナル.ギャラリーの‘レンブラント展’に行ってきました(1月18日まで公開)。私は人気のある展示会などは始まってから少し時間を置いて出かけることにしています。そのほうが人も少なくゆっくり見ることができるからです。

ところがこのレンブラント展、始まってから2か月も経っているというのに、そして週末でもないのに相当混んでいて全て真ん前で見ていたら半日かかります。オーディオの説明を聞きながら、興味のある絵はじっくり見てその他は遠目で見ながら約2時間かけて見学してきました。




17世紀を代表するオランダの画家レンブラントは、その63歳の生涯の中で歴史画、肖像画、エッチングなど光と影を巧みに使った独特の作品を多く残しました。

今回の特別展示は、レンブラントの晩年の作品が集められたものです。画家として大成功をおさめたレンブラントは経済的にも、社会的にも絶頂期にあった青年時代を送りましたが最愛の妻を亡くし、晩年は一人息子、パートナーにも先立たれます。またオランダを襲った不景気と自らの浪費癖の他、愛人に慰謝料を払ったりして自己破産を余儀なくされます。でもその不幸、不運から生まれたエネルギーをキャンバスに叩き付け、素晴らしい作品を沢山生み出しました。

若い頃はモデルを良く使っていたようですが、晩年はモデルを雇うお金もなかったのか、自画像を描きまくります。こうしてレンブラントは生涯で80枚もの自画像を描きましたが、その晩年のものは見る人に彼の人生そのものを見せつけてくれているように思います。

苦しいことも、悲しいことも全てひっくるめて作るのが人間の一生です。ひとつひとつの経験から生まれるものは計り知れない大きなエネルギーに他なりません。





ナショナルギャラリーへはよく行きます。仕事の時もあれば、時間がある時に‘ちょっと立ち寄って’と数枚の絵を見てくることもあります。大英博物館同様、国で持っている博物館、美術館はこのように‘ちょっと立ち寄る’ができるから助かります(特別展示は有料)。そしてここはお食事もおいしいので、絵を見なくてもたまに友人たちとThe National Dining Roomで食事したりします。

最近は写真撮影OKの美術館も増えました。このナショナルギャラリーもフラッシュさえたかなければ大丈夫。以前はカメラを取り上げられたりしたものですが。


 
 
 
 
 
 
ゴッホの‘ひまわり’の前はいつも人がいっぱいです。
 
 
 
イギリスではお店で写真を撮影することも禁じられていました.....最近までは。ところがハロッズでさえたしか去年行った時は撮影OKだったと思います。でも、まだまだ禁じているお店も多いので、一応許可を得てから撮影するようにしましょう。
 
ナショナル.ギャラリーのあるトラファルガー広場は例年のごとく、ノルウェイから送られたクリスマスツリーが立っています。
 
 
 
 
 
レンブラントを見た後は友人とのランチが待っています。前から気になっていたOrchardオーチャードというレストラン、やっぱり行って良かった。ナチュラルな感じでくつろげます。ホルボーン駅から歩いて数分のところに1910年にできたおしゃれなアーケードがあります。Orchardはその中にあるヴェジタリアンのお店です。旧市街にあるヴァニラ.ブラックという高級ヴェジタリアンのお店の姉妹店です。
 
 
 
 
 
 
英国の伝統料理であるサンデー.ロースト(日曜に食べるローストディナー....ローストビーフ、ローストポークなど)の残りもの、つまりじゃがいもとキャベツで作ったお料理である‘バブル&スクイーク(これも今では立派な英国名物料理)’など、イギリス料理を基礎にしたメニューです。
 
 
 
レンブラントとバブル&スクィーク。なんだか変な組み合わせの一日でしたが、「ああ、良い一日を過ごすことができた。」とハッピーな気持ちで帰宅しました。