でも実は私は今の時期のガーデンが大好きです。イギリスで一般公開されているガーデンは10月末になると春まで閉園するところが多いのですが、それまでの一か月くらいの間は人も少なく、ゆっくり見学できます。
例えばここ、ロンドンの南東のイースト.エセックス州にあるグレート.ディクスターです。ライの町からも車で20分くらいで行けます。
ここは天才造園家であったクリストファー.ロイドが築いた庭です。彼の父が購入した15世紀の建物はクリストファーが住んだ家ですが、これもガーデンとぴったりマッチしていて素敵です。クリストファーはここでガーデニングに興味を持っていた母親の影響を受けて育ちました。
入り口の部分は歪んでいて今にも倒れそう。でも10年や20年前に建てられた家よりもずっと頑丈です。
いつも鉢に植えられた季節の植物がここで訪問客を歓迎してくれます。(家の中も時間制になっていますが見学可能)
今回のツアーでは初めて日本のガイドさんが案内してくださいました。今、ここで働くハタさんという女性の素晴らしいガイディングに皆さん熱心に耳を傾けていらっしゃいました。
いつもは通訳に追われる私もこの時は、ハタさんに全ておまかせしてゆっくり見学させていただきました。
クリストファー.ロイドはそのカラースキームが有名で、いつも下の土が見えないくらいに花で埋めるというのが彼のやり方だそうです。そういえば、ここのガーデンは実によく手入れされていると思いました。お花が終わればすぐにまた新しいものに変える.....ここで働くガーデナーたちは休む間もないのでは? でも、私はこういう季節を感じさせる個性的なガーデンが好きです。今回も秋のガーデンの素晴らしさを堪能しました。
このダリア、実は人の顔より大きなダリアです。こんなのは初めて。
今年6月に訪れたべス.チャトーのガーデンでヘッド.ガーデナーがおしえてくれました。ベス.チャトーとクリストファー.ロイドはとても仲が良かったそうです。そのきっかけは、クリストファー.ロイドが書いた本の中にベス.チャトーが大切に思っている植物が書かれていなかったことに抗議する彼女の手紙だったそうです。
個性的な庭を創ることを目指す二人から生まれた個性的なガーデン。その感性は世界中の人々に影響を与えました。
特に季節の色を大切にするクリストファー.ロイド。その色彩は女性園芸家ガートルード.ジキルの色彩を思わせます。
そんなクリストファー.ロイドは今、その一生を捧げた庭の一角に埋葬されています。そこには彼の生涯を称えるように一本の木が植えられています。
季節ごとに変わる植物をそれぞれに一番適した状態で咲かせる、そしてそこは妥協を許さない個性が溢れていました。ベス.チャトー、クリストファー.ロイド、ともにイングリッシュガーデンを代表するに相応しい究極の庭園を作り上げてくれました。そのお礼を込めてお墓にそっと手を合わせてきました。