7/17/2018

ロダン展

そろそろ終わってしまう大英博物館で開催されている「ロダンと古代ギリシャの芸術」と題された特別展示に急いで行ってきました。(4月26日~7月29日)




「考える人」「接吻」などの彫刻で知られるオーギュスト・ロダン(1840~1917)は1881年に大英博物館を訪れた際に、パルテノン神殿の彫刻(「エルゲンマーブル」としても知られる)の美しさに衝撃を受けそれ以後の彼の作品に大きな影響を受けたことを初めて知りました。この特別展は正にそのことにテーマを置いたものでした。







パルテノン神殿の彫刻は戦争や保護されずに放置されていたために風化したことなどの理由で、多くは顔がないばかりか腕や足がないものもたくさんあります。


これらパルテノン神殿の彫刻は大英博物館に常設されているもので、正にロダンが見たものです。










ロダンは、正にそのことにインスピレーションを受けたのでした。顔の表情にではなく体から発せられる表現の力強さです。

更に彼はわざと自分の作品から腕や足を取り外し、古代ギリシャの彫刻に近づけようとしました。

1880年にロダンは国立美術館を建設する際に記念碑を依頼されました。そこで彼はダンテの「神曲」の地獄編に出てくる「地獄の門」を作ったのです。結局は美術館建設の計画は中止になり作品はロダン自身が買い取ることになります。因みに美術館が建つ予定だった場所は現在オルセー美術館があります。

「考える人」はこの門の頂上に置かれているもので、ロダンの死後この彫刻を鋳造した職人がつけた名前です。(その後、数多く鋳造された。)







「カレーの市民」はロンドンでは国会議事堂のそばの公園を始め、日本では国立西洋美術館など世界中の町に見られます。












1347年、フランスのカレーの町を包囲したエドワード一世は必死に町を守ろうとしたカレーの市民に感動します。そしてもし町の重要人物6名が自分から名乗り出てエドワード王に市の鍵を渡せば市民の命を保証することを約束します。それは6名の処刑を意味するものでもありました。6名ははだしで首にロープを巻かれ鍵を差し出しに向かいます。この6名の表情もさることながらボロボロの服をまとってお互いに肌を触れることなしに一歩一歩ゆっくり歩く姿は正にロダンの表現力のすごさを見せつけられます。

この特別展示はもうすぐ終わってしまいますが、これからロンドンに行く予定のある方には是非お勧めしたいです。