5/18/2019

91歳の感動のスピーチ

日頃政治家、活動家、専門家などのスピーチはテレビやラジオ、マスコミで聞いています。「フンフン、なるほど」と思う時もあれば、「一体何が言いたいの?」というものまで様々です。

でも最近友人が送ってくれたリンクから、ハリー・レズリー・スミスという91歳の軍人のスピーチを聞きました。涙が出るほど感動しました。

かなり前のものですが、カメロンがまだ首相だったころ、労働党会議でイギリスの医療制度について訴えたものです。



 



 イギリスは1940年代から医療は公費(税金)で賄われていますので、多少の例外は(処方箋料金、歯科など)あるものの基本的には無料です。(NHS National Health Service)

ところが、医学の発達や高齢化 が進んでいる近年、その財政赤字が避けられない状態です。それはキャメロン首相の時代にも問題になっていました。

そこでハリー・レズリー・スミス氏は労働党大会でキャメロン首相を非難するスピーチをしたのです。彼は貧困家庭に生まれ7歳半の時から家計を助けるために働きました。姉は10歳の時に肺結核にかかり、両親は深い愛情で出来る限りの手を尽くしましたが、治療費も払えず、亡くなったときは埋葬費も払えずに国のお金で共同墓地(貧困者だけが葬られていた)に埋葬されます。

私にとって一番イギリスが誇れるものは、この医療制度です。だからこそ、ロンドン・オリンピックの開会式のステージではベッドと子供、看護師さんが出てきていましたね。それは世界に誇れるイギリスの素晴らしさを演出したものでした。

ハリー・レズリー・スミス氏のスピーチは説得力 があって素晴らしく、会場で聴いていた人たちのみならず、それ以後テレビやラジオで放送された時も国民の感動をよんだのでした。




 
 
ところが今、この素晴らしい医療制度の財政困難は深刻になる一方なのです。私の考えも徐々に変わってきました。
 
このままでいけば(ブレグジットの影響もありますが、ここではそれはさておき)、医療が民間の企業に委ねられる可能性も大です。アメリカの医療会社は、それを今か今かと両手をこすりながら待っています。
 
税金を払うほどの収入のない人、すでに手当を受けているひとなどは別として、一般の人たちに少しは請求 するべきかなーと思い始めています。
 
「全ての人に、平等の医療制度を提供」という素晴らしいNHSから少し遠ざかっていくのは残念でなりませんが、最悪の状態を避けるための手段としては仕方のないことと思うこの頃です。