5/23/2019

ウェールズに日帰りで。

今回のお客様は60歳以上の男性2名、女性4名の6名です。オーガナイザーの方とはだいぶ前からお付き合いをさせていただいています。今回、私はドライバーガイドとして通常公共交通でつなげるのが一日では難しい場所をご案内しました。

一番の目的はアフィントンのホワイトホースと、ウェールズのティンタン・アビーでした。泊まりなしの一日観光でしたから、時間をどうやって節約するかが大事です。考えた結果、ロンドン発着ではなく、オックスフォード付近まで列車で来ていただくことになりました。ロンドンからの出入りに時間がかかるので郊外発着とすれば、かなり時間の節約になります。皆さんは外国からイギリスへ旅をする観光客を対象に発券されるブリットレイル・パス(期間中何回でも列車に乗れます)を持っていらっしゃったので、更に好都合でした。

ホワイトホースとは、‛ヒル・フィガー’ の一つです。‛ヒル・フィガー’は丘の急斜面に(特に石灰の多い土)遠くからでも真っ白なフィガーがくっきり見える人間や、馬の形を掘ったものです。後で石灰を流し込んで更に白さを強調したようです。新しいものもあればいつ掘られたかわからないほど古いものまでいろいろですが、アフィントンのホワイトホースはその中でも一番古く(3000年前に造られたともいわれます)長さは110メートル。


https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/4/48/Uffington-White-Horse-sat.jpg


さて、このホワイトホースをどこから見るかが問題です。実際に丘まで登ることもできますが、登ってしまえばもちろん全体の形をとらえることはできません。もともと遠くから眺めるために造られたのですから。

ウェストブリーのホワイトホースのように どこからでもくっきり見えるものと違います。色々ネットで検索しても、完璧な場所が見つかりません。尻尾の部分しか見えなかったり・・・あるサイトで、Great Coxwellの村の教会の墓地南側から見えると書かれていましたので、まずは行ってみることにしました。

この日はお天気は悪くなかったのですが、少し霞がかかっています。私が村の人に聞きに行っている間にお客様は、望遠鏡を通して遠くのホワイトホースを確認されました! ああ、よかった。ほっとしました。一眼レフに望遠レンズを付けて撮影した写真を許可を得てコピーします。

                          井沢浩一様撮影

私が何より驚いたのは、このデザインです。イギリス中にあるホワイトホースは、これよりも新しいのですが、このデザインは何ってモダンなんのでしょう!素晴らしいデザインに感心します。

さて次は、西へと進み、イングランドのグロスター州から国境を越えてウェールズのモンマスシャー州に行き、ティンタン・アビーという僧院を見学します。

ここでちょっとしたハプニング。ティンタン・アビーまであとちょっとという地点で何と、道路が閉鎖していることがわかりました。しかも一本ではなく、アビーの周りの道がほとんど閉鎖です。

道を歩く人に聞いたりして、やっとティンタン・アビーに到着です。大分迂回したので行き帰り合わせて20分くらい無駄にしてしまいました。







現在の建物は1131年、カソリックの中でも特に戒律が厳しいとされるシスターシアン派の修道院としてイングランドでは2番目に建てられたものです。まず回廊から始まった建築は13世紀にほぼ完成しました。その後400年の間に更に少しづつ増改築が行われています。イングランドの他の修道院と同様、廃墟になってしまったのは16世紀にヘンリー8世がローマン・カソリックから離脱する際に行った修道院崩壊が理由です。屋根に使われた鉛は最初に売り払われました。屋根がなくなれば荒廃は進む一方です。







18世紀にはいるとこのロマンチックな修道院の廃墟は返ってワイルド感を好む観光客に人気となり、文学者ではワーズワースやコールリッジ、画家ではターナーなどが作品に描いています。特に今回のお客様は、ワーズワースの詩「ティンターン・アビーの数マイル上流にて詠めるうた」に関心がおありのようでした。








時間を節約するために、ランチも持参のもので10分で済ませたおかげで、ティンタン・アビーの後はハリーポッターファンのお客様のたってのご希望でレイコックへ向かいました。撮影が行われた修道院はヘンリー8世から買い受けたウィリアム・シャリングトン卿が、家族の住処として使ったために廃墟にはならずに済みました。




シャリングトン卿が加えたタワー。




帰りはChippenhamの駅から、お客様は再び列車でロンドンに帰られました。日帰りでウェールズを含む3か所を周ったのは私も初めてです。ドライバーガイド、又は専用車でロンドン発着ですと時間がかかりますが、ロンドン近郊発着は特に時間のない方にはお勧めです。

6名の素敵な方々とご一緒させていただき、またお天気にも最高に恵まれて、 楽しい一日でした。