1/28/2020

ヨークの町

ロンドンから簡単に直行の列車で行けるヨークは、イギリスで私がお勧めしたいトップの町のひとつです。



ヨークはあまりに見どころが多くて短い滞在の場合は訪問個所を選択するのが難しいと思います。町中だけではありません。自然の景色を堪能したい方は、郊外に足を延ばせばヨークシャーデイルやヨークシャー・モアズなどの広大な国立公園があります。その他貴族の館、今は廃墟になっている昔の修道院等、又はノスタルジックな気分に浸りたい場合は保存鉄道等があります。










見どころが多い町では、選ぶ場所によって旅の満足度が決まると言っても過言ではないでしょう。まずはご自分の好み、興味を絞って決めることが大事です。

例えば
  お茶の文化に触れたい場合・・・・・フェアファックス・ハウス
                   ベティズのティーショップ
  昔の人の日常生活の歴史に触れたい場合・・・ヨーク・カッスル・ミュージアム
  鉄道全般・・・・・・・・・・・・・国立鉄道博物館
  鉄道経験・・・・・・・・・・・・・さまざまな保存鉄道
  バイキング時代の歴史・・・・・・・・・・・・ヨーヴィク・バイキングセンター
  
この他、ヨークの場合は散策の時間も予定に入れてください。中世の建物があちこちに残り、中には長い歴史の中で傾いてしまった建物もあります。













でも、ヨークに行くのなら、ここだけは絶対に観ていただきたいと思うのは何と言ってもヨークミンスター(大聖堂)です。何故なら、ここでは正にヨークの歴史、そしてそれを支えてきた人たちの魂そのものを感じるからです。

1967年、東の壁が88センチ傾いていること、その上正面の塔の土台にも大きな亀裂があること、更に緊急事態はジャンボジェット機40台分の重さのセントラルタワーが徐々に地下に沈んでいることが発覚しました。このままでいけば15年後には崩れてしまうという予想です。




5年以内に修理に必要な200万ポンド(当時でも莫大な金額)のうち、4分の1が一か月以内に寄付によって集まりましたが何せ緊急事態なので修理はすぐに開始。5年後に終了しました。

現在の建物の大部分はそれ以前の部分を残しながら1230年に建設が始まりました。使われた石の重さを考えれば、土台を強化することが可能であること自体信じがたいことです。

もう少しヨークミンスターのことを話しますと、北ヨーロッパのゴシック建築では最大の規模であり、イングランド教会では女王、カンタベリー大司教に続いて3番目に重要なポジションにあるヨーク司教の座を持つ大聖堂です。

12世紀からのステンドグラスの窓は全部で128体。東の壁の窓は世界一の大きさを誇ります(テニスコートの大きさ)。また15世紀にばら戦争の終結を記念して7000枚のガラスで作られたローズ・ウィンドウは世界的に有名です。1984年の火事の被害で4万枚に割れてしまったのが見事に修復されました。(ノートルダム寺院のステンドグラス修復の際に参考にされたと聞きました。)




珍しいグリゼイ(グレイのシェイド)のガラスでできた13世紀の「五姉妹の窓」。




「ヨークのハート」を含む西のウィンドウ。




建築に関して言えば、13世紀のチャプターハウスはヨークミンスターを訪れる際には必見の場所です。




入り口には「バラが花の代表であるように、ここは建物の代表である」という内容がラテン語が書かれています。





人間が成し遂げることのできる可能性が、ヨークミンスターに行けば感じられます。最初に建設を開始したローマ人(1967年の修復の際に発掘された当時のものを陳列している博物館も聖堂内にあります)、最初に教会を建てたアングロサクソン人、それを大規模な教会に仕上げたノルマン人、そしてその教会を立派に保存した1960年代の人たち・・・・

私にとってはヨークミンスターが特別な町であるもうひとつの理由があります。ずっと昔、ブルーバッジを取得して初めてロンドン以外のガイド資格試験を受けた場所でもあるからです。コースの前後一週間ヨークに滞在したので、キャリア面ではロンドンに次いで第2の故郷のように感じます。
  

1/24/2020

ロンドンのレストラン。

昨日はガイドのためのレクチャーがあったので、ロンドンに出ました。場所はバラーマーケットの近くです。その帰り、久しぶりに会った同僚3人と軽いランチをすることに。田舎に住み始めてから外食の数もぐんと減りました。B級グルメのレストランを探すのが得意な友人たちとロンドンで会食する際は便利です。こういうのを特技としている人は、行ったことがなくても感でわかるのだそうです。

今回はそういう特技を持っている人はいなかったので、便利さを考えて駅に向かう途中のレストランに入りました。‛ワインバー、ベイカリー、レストラン’と書いてあり、ちょっと面白そうな組み合わせです。2階に上がって席に着きましたが、お客は私たちを除いてひとグループのみ。最初は、選択を間違ったかな?と思いましたが、出るころには満席になっていました。

メニューはお手頃な値段ですし、ヴィーガンメニューもあります。私はその中からカボチャとカボチャの種のお料理を選びました。

で、出されたのがこれ。




日本で言うならカボチャの煮つけ一皿です。えっ!これだけ?怒るどころか笑ってしまいました。本当?ウソ―!の連発。これでサービス料を含めて10ポンド強の値段。友人はもっと気の毒です。ホタテ一個が貝殻に入って13ポンド!しかもショッパイ。3人全員がそう思ったので、やっぱりショッパかったのだと思います。ひとりの友人はお椀の大きさに盛られたイカのスープを半分残してしまいました。

お店に入った時に「軽い食事をしたい」と言ったのが良くなかったのかもしれません。出されたメニューはタパス的なものしかなかったのですが、もしかしたらそれ以外のメニューがあったのかもしれません。とにかく量も味も料金も不完全燃焼のままレストランを出ました。

家に帰って、このレストランがどういうふうに評価がされているか調べてみました。驚き!トリップアドバイザーでは5点満点の3.5点ですが、食の評論家の評価はまあまあです。不思議だなー?ロンドンでは新しく開店しても、すぐに閉店するレストランがけっこうあるので、去年オープンしたばかりだというこのお店の将来も?

今回の経験で学んだこと。

①行き当たりばったりで入るレストランは、味、サービス、雰囲気よりもスリルを楽しもう。当たれば儲かりもの。ロシアンルーレットに挑む覚悟で。
②バラーマーケットの近くや、トレンディーな場所にあるレストランは場所代が料金に含まれていることを肝に命じよう。
③気に入らないレストランがあるのは、気に入ったレストランがより楽しめるようにするための予行演習と思おう。
④いやな経験はさっさと忘れよう。

1/19/2020

一番教会の多い町。

娘たちがサフォークからノーフォークに引っ越してから2か月。私の家からは以前よりもっと遠く、そしてもっと田舎になりました。隣の家までの距離は数百メートル。初めて行ってきましたが、聞いていた通り、家の周りには何もありませんでした。




不便かと思っていましたが、近くに散歩の出来る場所が沢山あるので彼女たちは2匹の犬と楽しく暮らしているようです。











さて、彼女たちを訪問したついでに周りの村や町に立ち寄ってみました。一番大きな町は人口14万人弱のノリッチ(Norwich)です。この町は、仕事で何度か訪れましたが、大聖堂や、中世の建物が立ち並ぶエルムヒルの他は見ていません。今回は時間もなかったので、ショッピング店街を2時間程散歩してきました。

個性的なお店、レストランが沢山ありそのユニークさもさることながら町自体が坂や曲がった道が多く、特に小さな路地は魅力的です。
















もうひとつ驚いたことは、中世の教会が異常に多いと言うこと。フリント石で作られた教会が町のあちこちにあります。アルプス以北では教会が一番多い町だそうですが、これらは中世に羊毛商人が富を誇張するためや神に感謝するために建てたそうで、なんと昔は57もあったとか。今は31に減ってはいますが、それでも驚く数です。

キャセドラルと呼ばれる(日本では大聖堂と訳されている)教会はふたつ(英国国教会とローマンカソリック)あり、さぞ信者が多いかと思いきやその逆で、宗教に関心を持つ人が最も少ない町のひとつに挙げられています。ということは教会が多いだけに、それぞれの教会に通う人数が少ないということ。

なるほど、よく見ると確かに教会の建物ではありますが、中に入ると宗教とは関係のないことに使われているところが多いようです。

例えば聖グレゴリー教会です。ここはアンティークセンターに使われていました。













このように、今は礼拝以外の他の用途に使われている教会はRedundant churchesと呼ばれ、イギリス中に沢山あります。理由は、信者が減ったこと、教区の合併などがあります。

ノリッチは観光にも興味深いところが多いですし、これからは行く機会も増えるでしょう。

1/16/2020

若いひとたちに見る希望。

家の前のスノードロップが昨日蕾をつけました。新しい年が始まって最初に顔を出すのが真っ白いスノードロップの花です。




この時期、ナショナルトラストの庭や、大きな個人宅、館でスノードロップ・ウォークが始まるので、毎年楽しみにしています。今年はどこに行きましょう?

そうは言ってもこちらのお天気はまだまだ雨ふりの日や、どよりした曇り空が続いています。散歩で出会う人との会話は「ミゼラブルな天気ばかりですね。」から始まり、「来週はお天気がよくなりますように。」で終わります。

そんなお天気でも毎日の散歩は、犬たちのために欠かせません。たまにお日様が出た時は町に出ます。昨日はマーケットの日。パンを買いに広場に出ました。今日はその時のお話です。

このお店、ゴミがたまっている空き店ではありません。




ウィンズロウは小さな町ですが、その中に2件のチャリティショップがあります。そのひとがホスピスのお店。ここの責任者フロはとてもしっかりした若い女性です。品物の価値もよく知っているので買う方も安心して買えます。(この国ではチャリティショップで働くひとはほとんどがボランティアなので、お店にク付される品物の価値がわからない人が多く、たまに掘り出し物があるかと思えば新品より高い値段がついているものもあります。)いつもモデルがファッションショーからそのままお店に来たような素敵なファッションに身を包み、元気はつらつの彼女は町でも人気者です。


そのフロがお店の前に出されたボードで大宣言をしました。





これからはこのチャリティショップからプラスチックを製品をなくすようにするとのこと。売り物にならないカーテンなどから袋を作り、2ポンド(ドネーション)で提供するそうです。


「フロは2020年はウィンズロウをプラスチックフリーにするよう努力します!」と宣言。




彼女のようにサービス精神旺盛で、品物に対する知識の深い人はどこのお店でも引っ張りだこでしょう。それを信念を持ってチャリティショップで働くフロにこれからの社会を引っ張っていく若者に対する希望が見えます。

1/12/2020

マーマレード作り開始

今年は暖冬ですが、雨降りの日が多く、初めて気が滅入ってしまいました。毎日の散歩も長靴が必要です。ルビーもジャスパーにも長靴をはかせたいくらいです。





そんな中、やっとセヴィルオレンジが店頭に出回り始めました。毎年ウェイトローズのオーガニックセヴィルオレンジと、やはりオーガニックのレモンを使います。年が明けたらすぐにお店に入荷したかどうかをチェック。今作っているマーマレードは、こうして手に入れた2回目のオレンジです。今年一年分のマーマレードを作るので、量も半端ではありません。





日本の方々からも「今マーマレードを作っています。」と、メールをいただきます。去年八幡浜町でダルメインのマーマレードアワードが開催され、日本でもマーマレードが見直されてきているようです。日本の柚子マーマレードは、こちらでも人気が出てきました。

2年連続してダルメインの館でのマーマレードアワードの審査をさせていただきましたが、今年は昨年ダブルゴールドを獲得された二宮さんがジャッジをされます。

セヴィルオレンジはイギリスではこの時期にしか手に入らないのが、私にとっては幸いです。

お天気のせいで気持ちが乗らない日でも家中オレンジの香りで満たされると幸せな気分になりますし、キッチンでラジオを聴きながらオレンジの皮をむく時は至福の時間です。皮をむきながら色々なことを考えます。普段は忙しすぎて、散歩の時以外あまり考えることがないのでこの時間は私にとっては大切な時間です。

マーマレードを作る際に一番気を付けなければいけないのは、皮の硬さ。お砂糖を入れる前にじっくり煮てやわらかくすることです。一旦お砂糖を入れてしまえば、いくら似ても柔らかくなることはありません。アワードのジャッジの際は、皮が固いのが大きな減点の対象となります。湯気で香りを逃さないように時間をかけてじっくり煮ます。




お砂糖がすっかり溶けたことを確認したら、一気に火力を強くして最終段階。







丁度良い硬さになったら火を止めて瓶につめます。この硬さのテストも(お皿にのせて冷ましてチェックする方法や、スプーンを持ち上げてそこから落ちるマーマレードの垂れ具合をみる方法など。私は後者のフレイクテストで確認)大切。慣れてくれば徐々にわかるようになります。万が一柔らかすぎたら、もう一度似なおしすればOK。煮すぎると、焦げたような飴の香りになりますから注意。




朝ご飯にホームメイドのマーマレードを気に入ったパンと一緒に。マーマレードがもたらしてくれる幸せなひと時です。




マーマレードを作っているうちにお天気も回復。一休みするために散歩に出かけました。




雨でどんよりの曇り空ばかりの日が続いたので、こういう日は自然と空に向かって手を伸ばしたい気持ちになります。お天気が気分にもたらす影響を今年ほど強く感じたことはありません。

1/04/2020

ヴィガニュアリー  その3

ヴィガニュアリーに関する記事の最終回です。6年目を迎えた今年、35万人がこの世界規模のイベントに参加していることはお話ししました。これほど多くの人たちが関心を持っているヴィーガニズムですが、ヴィーガンになる理由は動物愛護、地球環境、健康がその大きな理由です。この中でも動物愛護と健康は個人の見解、好みですが、地球環境となると話は変わってきます。

家畜農業、酪農業が地球に及ぼす影響は車や飛行機などが発する排気ガスよりもはるかに多いので、グレタ・トゥーンベリなどの環境保護主義者はヴィーガニズムを実践しています。

オックスフォード大学で農業環境問題のリサーチをしているジョゼフ・ポーア氏は、「ヴィーガン・ダイエットは、温室ガスのみならず地球の酸性化、富栄養化、土地利用率、水利用率への最大の影響力を持っていると思う。」と言っています。先日BBCのドキュメント番組でも家畜農業が及ぼす影響を訴えていました。


イギリスのヴィーガン協会他、信頼のおける団体、個人の発表を統計を入れながら見てみましょう。

〇イギリスの8~16歳の10%がヴェジタリアン、又はヴィーガン。また44%は肉、乳製品、卵を摂取しないように心がけている。

〇イギリス人の3分の1が肉の摂取をやめるか、やめようと心がけている。

〇2018年にイギリスで販売が開始された食品の16%が、材料に肉を使っていない表示が掲げられた(2015年は8%)。

〇酪農の利益は2016年から2017年にかけて9,4%下落した。

〇レストランやテイクアウトでヴィーガンを注文する人が2016年から2018年にかかけて4倍弱に成長。テイクアウトに関しては現在イギリスで最高のスピードで成長している。

〇2025年にはヴェジタリアン、又はヴィーガンの人口は全人口の4分の1、フレキシタリアンは50%弱と予想されている。

 〇イギリス人の19%が化粧品などを購入する際に、動物実験など行われていないかをチェックしている。

〇世界中の牛の飲み水は人間の9倍、食べ物は7倍の摂取率。

〇アマゾンの熱帯雨林の伐採は91%が家畜を飼育するため。




〇飢えている子供のいる82%の国の食料は西洋で消費される肉を作るために家畜に与えられている。

〇2019年、国連は温暖化を阻止するために肉や乳製品の消費量を減らすことを呼びかけた。

〇ハーバード大学が30万人を対象に行った研究では、ヴィーガンダイエットはタイプ2の糖尿病を23%防ぐことがわかった。この他、心臓病、高血圧がヴィーガン食を続ける人の間では少ないことが判明。

〇中国では2016年に14億人の国民に向けて肉の消費量を半分にするよう提案した。

〇アメリカでは3人に2人が肉の消費をやめるか、少なくした。

〇アメリカでは国全体で販売される抗生物質の80%は家畜用。(予防のため)

〇アメリカでは72%が化粧品用の動物実験に反対している。

ヴィーガン食に興味のある方は、是非ヴィガニュアリーに参加してみてください。名前を登録すれば、沢山のインフォメーションが送られてきます。もちろん無料。Take the pledgeをクリックして名前を登録してください。もちろん自分に向いてないと思ったら、すぐにキャンセルができます。


さて、昨日はレストランでのヴィーガン料理の写真をご紹介しましたが、今日は家庭料理でヴィガニュアリーのブログを締め切りたいと思います。私の家で、また友人の家でのヴィーガン料理です。



































お客様と参加したヴィーガンのベイキングコース。






今日は長くなってしまいましたが、今年は日本でもヴィーガンダイエットが注目されるのではないでしょうか?是非皆さんも一度はヴィーガン食を試してみてください。


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