7/24/2015

世界の落語。

「最近は仕事のない日はヴィーガン料理の研究に没頭しています。」と、先日のブログに書きました。昨日はイギリスの伝統デザートに挑戦。自称‘チョコレートファッジ.プディング’を作っていました。プディングのもとが出来上がり、型に流し込んでオヴンに入れたところで友人のPから電話がありました。「ケーキを作っていると思うけど、今すぐラジオのBBC4をつけなさい。‘レカーゴ’のことをやっているから。」「レカーゴ?」と尋ねる私に「何でもいいからとにかくラジオをつけて!」

私はキッチンにいる時はいつもラジオをつけるかCDを聴いています。最近新しいラジオ付きのCDプレイヤーを買ったので、BBC4のチャンネルがどうも探せませんでしたが、何とかセットできました。なんだ、レカーゴって落語のことだった。友人の発音間違いでした。

私は落語が好きです。生前父は‘笑点’のビデオをよく私に送ってくれていましたし、帰国するたびに実家の居間で父と一緒に見ていました。その時の父の大笑いの顔はいまだに鮮明に覚えています。

前回帰国した際も友人が落語館のあるところに連れていってくれて、昔ながらの喫茶店でお茶を飲みました。落語が好きだと言うと彼は「次回○○さんも誘って是非、一日ここに入り浸りましょう。」と言ってくれました。9月いっぱい日本にいますので、東京に行く時間があれば是非実現したいと思います。




さて、そのBBC4の番組では、ある落語家が(笑福....?とかいう名前)、英語、フランス語、イタリア語などで落語をやっています。紹介している女性は落語研究家なのでしょうか?それにしてもこの落語家さん、全部それぞれの言葉で話すことを暗記しているんです。すごいと思います。

「大いに酔っぱらった二人が家に帰る時に、家はどこですか?という話になりましてねー。一人はあそこの劇場の隣と言い、もう一人の人も劇場の隣と言い。あまりに酔っぱらい過ぎていて、ふたりとも家族同士であることを覚えていなかったんですねー。」と、こんな調子です。それを英語で話しています。観客も大笑い。またこの笑福なんとかさんの話方が抜群です。

ユーモアのセンスがあることが不可欠なイギリス社会です。でもジョークの内容は日本と違う!とずっと思っていました。こんなに長くイギリスに住む私でさえ、「それがなんで可笑しいの?」としょっちゅう主人に言っています。でも万国共通に可笑しいジョークってあるものですよねー。

始めは「日本語でしか落語はできない。」と言われ、落語協会からもストップがかかったとか。でも最近まで外人がお寿司を食べることなんてありえないと言われていたのが、今では世界遺産にまでなってしまった。落語協会も今では奨励している。と、笑福なんとかさんはおっしゃっていました。

こうやって日本文化もどんどん世界に広がっていけばいいですね。大いに期待したいところです。

そんなわけで、番組に夢中になってしまってチョコレート.プディングのことを忘れていました。気が付いた時は焦げていました。でも落語の話はとてもおもしろかったので、「また作ればいい。」とあきらめ、その代りにクランブルケーキに挑戦しました。こちらのほうは50%満足。クランブルの大きさが細かすぎた!

9月に函館で「ヴィーガンの夕べ」を企画しています。出席者には持ち寄りで参加していただきます。日にちが決ったらお知らせしますね。

7/23/2015

ナショナルトラスト所有のウィティック.マナーとウィリアム.モリス

イギリス国内を個人であちこち周るのでしたら、是非ナショナルトラストの会員になることをお勧めします。ナショナルトラストとは歴史的に重要な建造物や自然景観を守るために1895年に設立された民間の保存財団で、イギリスの会員制組織としては最大のものです。現在その会員は400万人くらい。

会費は一年間で個人であれば50ポンド、夫婦など大人二人の場合は99ポンド、家族であれば104ポンドで、会員になればナショナルトラストが所有する500の場所が無料で入場できることはもちろんですが、何よりナショナルトラストをサポートすることに貢献できるのです。その他、ナショナルトラスト所有の物件に関するインフォメーションが満載されたハンドブック(毎年発行)や新しい物件、イベントを知らせるニュースレター、雑誌が毎年3回送られてきます。

ナショナルトラスト所有の物件の入場料はそれぞれ違いますが、非会員ですと例えばヒドコート.マナーのガーデン入場は大人で11ポンド50ペンス(寄付金込)、アガサ.クリスティの住んだグリーンウェイは10ポンド90ペンスです。

ということで、私はイギリスを周ろうと考えていらっしゃるお客様には会員になることをお勧めしています。英国在住の会員と同じように日本にも雑誌などが送られてきますので、帰国後も楽しみがあるということになります。その場で会員になることができるので、これも便利。会員になったその時から無料の特権が楽しめます。

私も、もう30年以上も会員になっていて支払った会費の何倍もの特典を受けています。田舎に行って一時間でも時間がある時は、近くにナショナルトラスト所有の物件があるかどうかをチェックします。1時間では到底見きれません。でも入場料を払う必要がないのでざっと見学するだけでも十分満足です。そうやって訪れた場所が気に行って、日を改めて再度訪れたことも何度もあります。


会員証です。これを車の前のところに置いておけば駐車代も無料。








先日も、こうやってちょっと立ち寄った場所で思いがけない発見がありました。場所はバーミンガムから50キロくらい西に行ったところにあるWightwick Manor(‘ウィティックマナー’と発音)です。地元で塗料、インクなどで財を成したセオドー.マンディによって1887年に建てられた家はハーフティンバー様式の美しい建物です。









中はアーツ&クラフツ芸術スタイルの影響を受けた珍しい内装です。オーナーがウィリアム.モリスと交流があったことからモリス自身の手になる作品やモリス商会で作られた家具や壁紙を多く見ることができますので、モリスファンには是非訪れていただきたい家です。









 
 
 
 
 
 
 
大きな暖炉の上はどうなっているのでしょう?と、私だって気になります。
 
 
 
 
 
 
モリスの友人であり、奥さんジェインの愛人でもあったロゼッティの作品も。
 
 
 
 


デ.モーガンのお皿やタイルも。
 
 
 




ラファエル前派の絵画もあります。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
‘ダウントンアビー’ファンの方はこういう邸宅に行けばキッチンも気になりますね。
 
 
 
 
さて、ここでクイズです。手前にある棒は何でしょう?
 
 
 
 
答えは次回のブログで。
 
時間があったら是非庭に出ましょう。
 
 
 
 
ベリー類や果物野菜もティーショップのために植えられています。
 
 
 
 
 
 
 
見学を終えて向かうところはもちろん売店です。「これを買えばもっとナショナルトラストに貢献したことになる」と言い訳をしながらついつい手が出てしまうのは私だけではないでしょう。
 

7/20/2015

ゆっくり歩くと得なことがいっぱいです。

ガーデンに咲く花も綺麗ですが、道端や民家の前に咲いている花をゆっくり見ながら散歩するのが好きです。近所を歩いている時に家の前で庭仕事をしている人がいたら、ちょっと声をかけたくなります。我が家のご近所さんにも垣根をきっちりと刈り込んでいる人が(それはまるで物差しを使って仕上げたように完璧)います。垣根に囲まれた庭には深紅のバラが沢山咲いていますし、ふたつのハンギングバスケットにはあまり見かけない種類のホクシャが垂れ下がっています。先日、犬の散歩の途中でそのおじいさんと話しこんでいるうちにホクシャの種類が200種類以上もあることをおしえてくれました。

私は走ることは嫌いですが、歩くことは大好き。(体に苦痛なことは全部いやです!)先日のツアーでもウォーキングの途中で色々な花を観賞できました。

 
 
ピーターラビットの本にもよく良く登場する‘きつねの手袋(ジギタリス)’はこの時期が一番!





湖畔に育つ野生のあざみは花よりトゲがすごいです。自然の中で育つあざみはたのもしい感じ。





こっちのあざみはイギリスでも南で見かけたあざみです。



野生のランも。




これは何かな?お花が終わっても十分綺麗ですよ。




野生ではありませんが、この時期はラベンダーも最高です。






民家のある通りをゆっくり散歩する時も。







行動するスピードを10%下げると人生得することが沢山あるかも....と感じるのはいつもこの時期です。



 

 
 
 






7/17/2015

あれっ?

何処に行っても思いがけない光景に出くわすことがあります。そんな時に限ってカメラを持っていないことが多いのですが。

まずは湖水地方のホテルで。庭を横切って羊の群れがホテルにやって来ました。羊だって家の中のことが気になるはず。「朝ごはんは何を食べているのかな?」とか、「ここにはどういう人が住んでいるのかな?」とか......






そのうちにホテルの人が来て「シッシ!」と追い払ってしまいました。
 
 
 
 
 
「ホテルの泊り客だって、おもしろがって出てきていたのに何故追い払うの?」と、抗議をする私。「羊はやっかいなこともあるんですよ。フンもするし。」 そうかー。フンね。考えなかった。
「さようなら。また来てね。」と、ホテルの人に聞こえないように囁く私。
 
 
 

今度は私が泊まったライのホテルの窓に来た鳩です。最初グレイの鳩が下見(?)にやってきました。部屋の中をじっくり観察。「中には誰もいなさそう。」 しばらくして白い鳩がやってきて。カメラが手に届くところにあって良かった―。




こうやってふたりで何もしゃべらずに15分くらいもいたでしょうか?そのうちにグレイの鳩が飛び立ってしまいました。でも白いのはそのまま数分座っていましたよ。
 
 
 
 
 
そのうちに相棒がいなくなったことに気付いたみたい。
 
 
 
 
動物を見ていると本当に癒されます。
 


7/16/2015

ポントカサステ水路橋を下から見る。

昨日で女性お二人のツアーが終わりました。今回も刺激のあるツアーで、「英国をもっともっと深く知りたい」という前向きなお客様のお気持ちに感動し、有意義な時間を過ごさせていただきました。

お客様は日本から真っ直ぐエジンバラに行かれ、市内を見学。そこでウィスキー通のガイドさんに選んでいただいたスコッチウィスキーを買われて湖水地方へ。私は湖水に向かい、そこから私の車でご案内しました。湖水地方での観光の後はウェールズやコッツウォルズを周り、南のセブンシスターズ(白い崖)、ライなどを経由してロンドンへ。

セブンシスターズ以外はお天気にも恵まれ、お客様も沢山写真を撮っていらっしゃいました。セブンシスターズでは霧雨の中、海までのウォーキングをしました。7個の崖(セブンシスターズと言われる)のうち一個だけは見えましたが、あとは霧にかすんでボーっとした輪郭だけしかわかりませんでした。でもそれはそれで幻想的。素敵でしたよ。






今回はポントカサステ(ウェールズ語で‘カサステ橋’の意)の水路橋をナローボートで渡ることがツアーの行程に入っていました。当時土木建築士として活躍したトマス.テルフォードによってマンチェスターやリバプールなどに石炭などを運ぶ運河の一部として1805年に完成した橋です。現在では世界遺産にも登録され、この時期は観光客も多く訪れます。

私はこの水路橋は、ナローボートで渡ったこともありますし、車いすの方と一緒に歩いて渡ったこともあります。でもひとつだけ是非やってみたかったことがありました。それはこの水路橋を真下から眺めること。

まずウェールズのスランゴレンの町に行きます。そこからナローボートに乗る人は専用バスでフロンカサステまで行き、そこからナローボートに乗船します。スランゴレンはこの時期は人がいっぱいです。





お客様をバスまでご案内した後、私は車でバスを追いかけます。そこからお客様はボートで、私は運河の横の小道を歩きます。













全長307メートル、幅3,4メートル、高さ38メートルのこの橋を私が初めてナローボートで渡ったのはもう20年くらい前になります。その時はボートをツアーで貸切り、食事をしながら上から眺める眼下の不思議な景色を楽しみました。


途中で私は急な坂を降りて今度は水路橋の袂に向かいました。
 
 
 
 
 
下から見る水路橋もまた格別でした。
 
 
 
 
 
 
♪ 行きはよいよい 帰りは恐い ♪ 正にその通り。帰りの近道は急な
上り坂。こんなに息切れしたことってしばらくぶり。
 
 

ボートがスランゴレンに着くのは2時間後です。時間はたっぷりあるとは言え、道に迷っては大変と帰りの坂道は駆け足で。ああ、さすがにこの時は年を感じました。
 
 
 
 

再びやっと上に戻ると運河の横道を犬がボートに合わせてゆっくり歩いていました。ボートは時速6~7キロというスピードです。





フロンカサスに戻り、再び車に飛び乗ります。「万が一、船が早く到着したら大変!」と急いでスランゴレンに戻りました。でも、運河のラッシュで(?)船の到着が遅れたようです。船着き場で待ちましたが、少し遅れてボートが帰ってきました。


「ここでーすっ!」と手を振って。お客様も気が付いてくださったようです。


 



ウェールズでは一泊のみでしたが、お客様は5年ぶりにお会いする友人の方との夕食など素晴らしい時を過ごされたようです。

この後、コッツウォルズ、南イングランドを周りました。「リピーターになりそう!」とおっしゃる位満足していただいてうれしく思いました。イギリスは訪れるたびにもっともっとこの国のことが知りたくなるという不思議な国です。みなさんに「第2の故郷のよう」と言っていただけるのが私にとっては一番うれしいことです。



7/06/2015

今年最後のガーデンツアー

東イングランドのガーデンツアーから戻りました。毎年定期的にいただいているガーデン専門のツアーはこれが最後となります。先日シーズンが始まったばかりなのに。確かにバラは6月、9月がお勧めですが、イギリスのガーデンは秋でも十分楽しめますので是非これからもガーデン巡りにいらっしゃってください。

今回のツアーは湖水地方のガーデンツアーと交互に行なわれてもので、昨年が湖水地方でしたから今年は東イングランドというわけです。また来年は湖水地方です。今回の方々の半分はリピーターのお客様でした。懐かしいお顔を拝見して幸せでした。

今日は写真を中心にご紹介しましょう。暑さのせいか写真の色も褪せて見えます。カメラも暑いのは私たちと同じなのかしら?
 
 
ヘルミンガム.ホールのガーデン
 
 




 
 
ここにも古く味のある煉瓦、そして王冠をかぶったトピアリーのカエルが。
 


 
 
べス.チャトーのガーデンはいつ行っても特別です。「植物は適した場所さえ見つけてあげれば後は自分で立派に育ってくれます。」このべス.チャトーさんの言葉、大好きです。お水も肥料もあげなくても植物がこんなにハッピーに育っています。
 
 
 
 
 
 
 
ピーター.ビールズのガーデン。バラは終わりに近いかな?と思っていたらとんでもない。真っ盛りのバラが沢山咲いていました。
 
 
 









マニングトン.ホールのガーデン
 
 
 
 
 
 
 
 
プライベートガーデンにもいくつか行きました。
 
 
 
 
 
採れたてのイチゴ、奥様手作りのケーキやエルダーフラワーのコーディアルをお庭でいただいて。
 
 
 
 
 
 
プライベートのお庭と言うにはすごすぎる!ベンチに座ってIさんは何か考え事。こんなところに一日中座っていたら、きっと人生観も変わることでしょう。





沢山のガーデンを周りましたが、200年近く前に画家コンスタブルが描いたフラットフォード.ミルからのウォーキングも楽しみました。




その後、ケンブリッジやノリッジの散策も楽しみ、最後はハンプトンコート宮殿で開催されるフラワーショーです。なんとすごい人の数。お客様曰く「今までゆっくり時間をかけて自然一杯の中で植物を鑑賞してきたので、まるでここは別世界」。
 
そうですよね、やっぱり私も 自然の中で見るお花が一番美しいと思います。
 
このツアーの間、イギリスでは最高気温の記録を出しました。ロンドンでは37度とか。実は今回泊まったホテルは古いホテルばかり。ラヴェナムのスワンは15世紀です。エアコンもついていません。各部屋に扇風機があったのが幸いでした。このようなホテルでエアコンをガンガンかけるのは似合わない。でもでも暑い!日本よりは湿気が少ないのでまだ助かりますが。昔はこんなに暑い日はなかったのでしょうねー。益々温暖化が心配になってきます。
 
 
 
 
 
 
 
ラヴェナムの町は夕方に散策するのが一番。今の時期は夜9時半まで明るいので夕食前と後に皆さんで気持ちの良い散歩を楽しみました。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
今頃皆さんはやっとお家に着かれて旅の思い出をご家族の方々にお話ししていらっしゃることでしょう。私もロンドンに戻り、元の生活が始まりました。雨が少なく、芝生は枯れ気味。明日からはドライバーガイドの仕事で湖水地方に行きます。途中で2泊するのでマンチェスターに住む友人と久しぶりに会って来ようと思います。