5/30/2016

犬にチャパティ

インド人のご近所さんがチャパティを焼く時は、それをフォイルに包んでルビーとジャスパーのために持ってきてくれます。焼きたては美味しそうな香りがして、私も「一枚いい?」とルビーとジャスパーに一応ことわってお相伴。







ルビーは特に食が細く、乾燥したドッグフードだけでは食べてくれません。それで、煮魚を入れたり色々苦心するのですが、例外がこのチャパティと納豆です。このふたつはいくらでも食べてくれます。でもどちらも外国の食べ物。そこで考えました。もしルビーが日本人の母親を持たず(私のことですが)、インド人のご近所の人に出会わなかったら一生美味しいと思うものが見つからなかったかも?.....と。


そんなことを考えていいるうちに「人間も同じ」という結論に達しました。イギリスは昔から外国との 貿易を求めて世界中に航路を広げていきました。17世紀までの貿易はほとんどヨーロッパに限られていましたが、1660年以後はアフリカや西インド諸島まで、そして中国や日本とも貿易をするようになりました。貿易をするために多くの植民地を獲得し(それが正しいことかどうかは別として)、外国の文化をどんどん取り入れてきました。植民地からも人々が流れ込み、その結果色んな人種の坩堝になり色んな文化が入り込み、それがイギリス文化を形成してきました。

ここでは若者の多くはご先祖様から引き継いだ好奇心を強く持ち、「外国に出てみたい。色々なものを見て、体験してみたい。」と思っています。バックパックで旅をする若者の多くがイギリスや、アメリカ、カナダ、オーストラリアなど英語圏の人が多いのももしかしたらそんな歴史的なことが理由になっているのかもしれません。

もちろん私は日本の方にイギリスに来ていただきたいとは思いますが、イギリスではなくてもとにかく他の国に行って、そこの空気を吸っていただきたいというのが私の日本の方々に贈りたいメッセージです。

明日からツアーが始まります。冬眠期が長かったのですが一挙に忙しくなってきました。6月はその後もツアーが続きますが、お客様との新しい出会いが楽しみです。

5/28/2016

ブティックホテルでのヴィーガンイベント ~ チェルシー.フラワーショー

先日のブログでヴィーガンのアフタヌーンティをご紹介しましたが、今日は同じホテルのイベントのことをお話ししたいと思います。

5月の末に毎年行われるチェルシー.フラワーショーは1912年から続いている多分世界一有名なフラワーショーでしょう。王立園芸協会が主催するこのフラワーショーには日本からの出展者も多く、今年も何人かがゴールドを取得しているはずです。私は2年に1度くらいの割で仕事で訪れるのですが、今回はこの期間のフラワーショー関係の仕事は無し。ちょっぴり淋しく思っていたところ、友人からのインフォメーションで「La Suite West-Hyde Parkでチェルシーのフラワーショーにかけたヴィーガンの夕べがある」と聞いて行って来ました。

イギリス在住の友人たちでヴェジタリアン/ヴィーガンではない人でも食好きはヴィーガン食に興味を持っている人が多く、今回もグルメ仲間と一緒に参加しました。サービス料込みで22ポンド50ペンスというのもロンドンでは格安の料金です。

まずはウェルカム.モックテル(アルコールなしのカクテル)は、ジャスミン.ティーとライムジュースにレモネードを加えたもの。いつもは私たちの食事会はHさんが幹事ですが(彼はB級グルメレストランを探し当てる天才です)、今回は私が幹事役。彼の感想がとっても気になっていたものですから、このモクテルを飲んだ時の彼の一声「うまいっ!」が聞けて一安心。ジャスミンの花が入っていて、今まで飲んだことがない味でした。




スターターは、エルダーフラワー、ビートルートとアボカドのサラダです。
 
 

 
 
メインはネトル(イラクサ)のピューレーと、ハーブ入りアーモンドフェタチーズのラヴィオリです。チーズと言っても、もちろん牛乳で作られたものではありません。ヴィーガン料理を作るのに初心者が一番苦労するのが、料理にコク、ウマミを出すこと。美味しいヴィーガン料理は、動物性スープや魚から取ったダシよりはかなり繊細で上品なウマミがあります。
 
 
 
 
 

 
デザートは薔薇の花びらのメレンゲが添えられたイチゴとローズヒップのタルトとです。メレンゲも卵で作られたものではありませんが、食感は全く変わりません。ナチュラルなバラの香りがほんのりと。
 
 
 

 
 
最後にシェフのニック.ハートランド(名前も素晴らしい!)が挨拶に現れた時は参加者から大喝采を受けました。
 
 
 
 
La Suite London-Hyde Parkではこのようなイベントが月に一回くらいの割で催されます。
 
 

5/24/2016

白が綺麗な季節

日本からは「暑いです。」とか「30度を超えました。」とかいう内容のメールが届いています。まだ5月というのに暑いですねー。ロンドンはと言うと平均16~17度という気温。朝晩は返って寒いくらいです。今日の天気予報ではスコットランドの方は12度とか13度と出ていましたよ。

昨夜の珍しく大きな音を立てて降った雨も上がり、今日は朝から晴天の清々しい火曜日です。たった今、子供たちとの散歩から帰ってきました。いつも行く公園ですが、お天気によって雰囲気が随分違います。今日は、本当に真っ白い花たちが目に眩しいくらいでルビーとジャスパーのリードを片手に持って時々引っ張られながらも、もうひとつの手で写真を写してきました。ぶれているのはそのせいです(と言いたいところですが、カメラの腕だと思います)。

 
沿道や川岸などイギリス中どこでも見られるカウパセリの美しさには格別です。
 



 
 
 
 
 



白いカウパセリの下にはキンポウゲ(Buttercup)のつやつやした黄色。
 
 



イギリスの公園に良く見られる柳。




小さな川はカウパセリで埋もれてしまいそう。




サンザシ(左)も満開です。それはまるで雪にすっぽり覆われた枝のようです。
 

 
 
 
 
 
 
 


そしてエルダーフラワーも。今年はちょっと早いような気がします。

 
 



エルダーフラワーはコーディアル(甘い飲み物)にも使われますが、デザートの飾りにも。花が終わったあとになるエルダーベリーもミネラルウォーターの香りづけなどに使われます。
 




イギリスの野生の花で忘れてはならないデイジー。




商店街のグリーンベルトにも沢山咲いていました。
 
 



さあ、ガイドの仕事がやっと始まりかけてきました。今日からちょうど1週間後にはカルチャーツーリズムUKの初めてのツアー「アフタヌーンティー文化を学ぶ」が始まります。アフタヌーンティはイギリス文化の大切な一部です。ティーの歴史は正に17世紀以降のイギリスの歴史と言っていいくらいで、アフタヌーンティ文化をきっかけに、イギリス文化そのものを学んでいただき、参加者の好奇心がそこからどんどん広がっていくのが私の願いです。

5/16/2016

ロンドンの今後

2016年に入り、イギリスでは色々な出来事が起こっています。デイヴィッド.ボウィーに始まり、超有名な歌手、コメディアン、手品師、プレゼンター、俳優が次々と亡くなり、その数のあまりの多さにテレビのニュースを見る度に「また?」の連続です。

6月のEU脱退か残留かの国民投票で、新聞でもテレビでも賛成派と反対派がものすごい勢いで討論しています。保守党にしても労働党にしても同じ党でも意見はまっぷたつに分かれ、それは正に戦いです。キャメロン首相や、労働党党首のコービン氏が残留を訴えるのに対し、つい先日までロンドン市長だったボリス.ジョンソンは保守党でありながら熱心に離脱説をとなえています。

かと思えば、イギリスは大金持ちには魅力の国だそうで(教育、税制、レジャーなどにおいて)、世界一大金持ちが多い国と言われています。その人たちは更に外国に貯金をしていてイギリスでの税金を免れています。ほとんどイギリスに住んで、仕事をしていながら「外国に住んでいる」という名目で税金を支払っていない超大金持ちが女王から勲章をもらったり....イギリス国民もうんざりの問題が沢山明るみに出てきました。

なんかこの国は変になってきました。私が最初にこの国に来た時は、確かに不況の真っただ中でした。それでも社会福祉は「ゆりかごから墓場まで」という言葉通り、他の国よりは進んでいましたし、人間が生きていくための最低限の生活はほぼ保障されていました。お金がなくても人々はそれなりに楽しいことを見つけて暮らしていた気がします。

それがサッチャーさんの時代に景気が回復し、更に新労働党を築いたトニー.ブレア(労働党と新労働党は全く違ったポリシー)のころから徐々に「イギリスはどうなっちゃったの?」と思い始めました。

昔のイギリス人が持っていた価値観は確かに変わりました。British Valueって一体何?そこから考えるようになりました。企業は短期間に大金を稼ぐことに一生懸命です。ロンドンは開発が進み、高級住宅が建ち始めました。19世紀中ごろから親しまれてきたレストランが、家賃が払えなくなり、閉店しました。

さてと、ここまではボヤキです。ここからはそんなイギリスに私が最近感じた光をお伝えします。

まず、ロンドン市長です。カリスマで野心家のボリス.ジョンソン(彼の目指すところは首相!?)に代わり、今度は労働党のサディク.カーンが当選しました。保守党候補のザック.ゴールドスミスは大富豪の息子、方やサディク.カーンは移民でバスの運転手だった父を持つ労働者階級出身です。そして結果はご存知のようにカーン氏が圧勝しました。ロンドン史上初のイスラム教徒の市長が誕生したのです。

ボリス.ジョンソン





サディク.カーン




これって、素晴らしいことと思います。肌の色、宗教に関係なく人間として信頼を置く人に投票するってなかなかできないことです。それを実現したロンドン市民に声援を送ります。これこそがBritish Valueではないでしょうか?だからこそ、16歳で学校を出て社会人になったメジャーさんが首相になり、ビートルズ、ミニスカート、パンクファッションなどが誕生した気がします。肩書云々ではなく、その人の真の能力を大切にする価値観です。

ゴールドスミスが敗れた理由のひとつにフェア.プレイのことが挙げられています。彼はカーンがイスラム教の過激派と交流があるような写真を使って、市民の票を稼ごうとしました。全く根拠のないことです。イギリス人にとってはスポーツでもなんでもフェア.プレイが一番大切なことです。

そして忘れてはならないのが新しいもの、外国人、違う文化を受け入れる心の広さです。必要な伝統、習慣を守りながら時には新しいものを取り入れる心です。

ロンドンの街中に出る度に、新しい建物がどんどん建ち、人々は前よりも早いスピードで歩いています。どこに行っても工事をしていて車の渋滞もあちこちで起こっています。空気も汚れてきました。私には徐々に住みにくいロンドンになっています。でもその反面、新しい市長がどんなことをロンドンにしてくるのか、期待と興奮を感じます。それを実際に体験できないのは、すでにロンドンからの引っ越しを決めた私にとっては、ちょっと淋しい気もします。

5/14/2016

ヴィーガン.アフタヌーンティ

イギリスのホテルでアフタヌーンティをする場合、予約時にお願いするとほとんどの場合、例えばベジタリアン、ヴィーガン、イスラム教徒、ユダヤ教徒、糖尿病、グル―テンフリー、ナッツフリー、減塩、乳製品フリー....のアフタヌーンティを用意してくれます。それらは普通のアフタヌーンティが基礎になっていて、例えばベジタリアン用ですとサンドウィッチにはスモークトサモンの代わりに卵やチーズを使ったものが出されたりします。

でも今回はロンドンでただひとつのヴィーガンアフタヌーンティ専門のホテルに行って来ました。世界中の食が集まり賑わうQueenswayの通りからほんの少し入いると驚くほどイギリス的な住宅街があります。La Suite Wes t- Hyde Parkというそのホテルは白いテラスト.ハウスが並ぶInverness Terrace と Inverness Placeの丁度角にあります。






昔は4軒の個人宅であった建物をつなげてホテルにしていますが、中はかなりコンテンポラリーです。レストランはひとつだけなので、朝食、ランチ、ディナー、アフタヌーンティは全て同じ場所でいただくのですが、マナーハウスや高級ホテルとは一味違った雰囲気でそれはそれでまた心地よく、時間の制限もないので(現在ではほとんどの有名ホテルは2時間制限)素敵な時間を過ごすことが出来ました。




窓際の席は緑いっぱいのテラスが見えて特に素敵でしたよ。ではメニューを紹介しますね。
 
このホテルはアルコールは出さないので(お部屋に持ち込むことはOK)、シャンペーンの代わりにアルコールフリーのフィズでアフタヌーンティが始まります。
 
お茶はもちろん選ぶことができますが、ダージリンのセカンドフラッシュがありましたので、迷うことなくお願いしました。これが大正解でした。セカンドフラッシュの紅茶が何度でもおかわりできるのも嬉しいですね。

 
 
 


サンドウィッチは、お豆腐でできたスクランブルエッグ、キャシューナッツのバターとポートベロマッシュルームのパテ、レモンとタイムとタヒニの混ぜ合わせ、ローストトマトとひまわりの種、アボカドとチリのムースです。ひとつひとつにシェフのアイディアがにじみ出ていて、美味しかったこと。
 
 
 




肝心のスコーンですが、ふくらみが足りないので一瞬がっかりしました。ところが食べてみると....






外はカリッとしてなかがほっこりしていて正に私好みのスコーンです。ホールミール(全粒粉)を使ったスコーンは??のところが多いのですが、ここのものはホールミールの特徴であるナッツのような味が出ていて個性があって、焼き具合も良くかなり気に入りました。
 
 
 
 
 

 
実は今回ヴィーガン.アフタヌーンティにお誘いしたのは、ペイストリーシェフ、ショコラティアとしてロンドンでも人気の渡辺ちかさんです。私のヴィーガンデザート、ケーキのアドバイザーでもあり、食べ歩きの仲間のひとりです。クラリッジホテルにいらっしゃった時は、日本の天皇陛下ご夫妻のディナーの際のデザートを完全に任され、アワードをいくつも取得して業界でも評判のちかさん。彼女のスコーンに関しては私のお客様から「今まで食べた最高のスコーン」という声を沢山聞いていますので、是非彼女の意見を聞きたかったわけです。
 
スコーンを口に含んだ時の彼女の一声は「美味しい!」。私は専門家じゃないので、ブログで「美味しい」という言葉を使うのはいつもためらいがちです。味は好みですから。今回も試食前はこのブログで紹介するつもりはなかったのですが、彼女の「美味しい!」の一言で自信がつき今日は胸を張ってご紹介することができるというわけです。それほど気に行ってしまいました。
 
 
 
 
クリームはクロテッドクリームの代わりにココナッツクリームです。私はケーキ用にはココナッツクリームをよく作りますが、スコーンには考えてもいませんでした。これもアイディア頂戴します!
 
さてケーキですが、ローフード(酵素、ビタミン栄養を損ねないように48度以下で料理されたもの)のお菓子が出てきました。普通のケーキとはまるで違います。ローフードも、ヴィーガン同様ロンドンでは人気上昇中の食べ物です。
 
 
 

 


特にキャロットケーキは、クリームチーズに代わるものを使っていました。食べるのに夢中で、何を使ったのか聞くのを忘れたのですが、もしかしたらキャシューナッツを発酵させたものかもしれません。次回、聞いて来ますね。








市場調査をする会社ミンテルによれば、イギリスの大人の人口の12%がベジタリアン、またはヴィーガンで、16歳から24歳の若者に関しては20%にも上ると報告されています。ヴェジタリアン、ヴィーガン、ローフードのレストランはどんどん増えていますし、スーパーの冷蔵、冷凍の棚には、今までのヴェジタリアン用のスペースがぐんと広がり、ヴィーガン用の新しい食料が頻繁に加わっています。

La Suite West - Hyde Parkでのヴィーガンアフタヌーンティは、ひとり27ポンド(プラスサービス料)とロンドン有名ホテルの半分というのも気持ちがいいですね。

さて、ここはホテルですのでお部屋のこともお話しします。内装はイギリスの代表的デザイナーの1人アヌーシュカ.ヘンペルのデザインで、白と黒を基本にしています。







床暖房を備えた大理石のバスルームは豪華感に溢れています。




朝食はヴィーガン他もありますが、ランチ、ディナーは完璧にヴィーガン。次回の食事が楽しみです。

5/09/2016

久しぶりのドライバーガイドの仕事。

日本ではゴールデンウィークも終わり、皆さんは今頃穏やかな日々を送っていらっしゃることでしょう。日本はゴールデンウィーク、お盆など皆一緒にお休みなので観光地やレジャー施設は混みますね。私は今年のゴールデンウィークはガイドの仕事は一本だけで、一昨日ドライバーガイドの仕事でおひとりの方をご案内しました。

ここ一週間ほど良いお天気が続いています。まずはロンドンのホテルから始まり2時間ちょっとのところにあるチッピング.キャムデンに直行。藁葺屋根の民家の通りを歩いていただきました。その後、スノーズヒル、ブロードウェイ、またコッツウォルドウェイでフットパスのウォーキングを楽しんでいただいた後はおいしいパブランチです。地ビールも試していただき、お客様はご満足だったようです。期待していたパブでのアスパラガス料理はまだメニューに載っていなかったのがちょっと残念でした。

午後はボートン.オン.ザ.ウォーターへ。お天気の良い週末とあって、ものすごい人。まるでラッシュ時のヴィクトリア駅みたいで、お客様も「ここはカットしましょう。」と車で大通りを通過しただけで写真もパス。その代りにボートン.オン.ザ.ウォーターのミニ版ともいえるローワー.スローターでゆっくりされました。

せっかくですからブルーベルも見ていただきたいので、コッツウォルズはこの位にして南に向かいました。実はこの日はお客様が日本へ帰国される日です。コッツウォルズであまりゆっくりすると渋滞にはまってしまう恐れもあるので、私としてはなるべく早めにコッツウォルズを出て空港に向かい、時間があったら空港に近い所で素敵な場所をご案内するつもりでした。結果、心配した渋滞もなく、高速道路を少し離れて森に向かいブルーベルを見ていただきました。すでに終わりかけていましたが、美しさはまだまだ大丈夫。







時々来るこの森付近で2匹の犬と日向ぼっこをしているご婦人がいました。一匹がすごい勢いでこっちに向かって吠えています。珍しいなーと思いながら近づくと、そのご婦人が‘Sorry’と吠えている犬に代わって誤っています。「いいの、いいの。きっとHelloと言っているのでしょう。」と返事をしたところ、「ブルーベルを見にいらっしゃったのね。この森はプライベートの森だけど貴方は歓迎よ。」「えっ?この森はプライベートの森だったの?そういえばPublic Footpathの看板もないですね。」 あの吠えていた犬は番犬だった?

結局、よく訪れるこの森に私は不法侵入していたわけです。一緒に行く友人にもおしえてあげなくては。入口には柵もなく、中には人の歩く道もできています。5月はブルーベルを見に来る人たちをよく見かける森です。





そしてこの森のオーナーが彼女だったというわけ。私の犬好きが幸いして得をしました。「その犬をちゃんとコントロールしてください!黙らせてください。」なんて言っていたらこの日、森に入れてくれなかったかもしれません。そこで20分ほどお客様と過ごしました。下を見ればブルーのカーペット、上を見れば緑の天蓋です。気持ちが良かったこと。












さて、帰国される前に何かお土産をとのことでウィンザー城の敷地内にある女王のファームショップへ。あっ、あるじゃないですか、アスパラガス。もうちゃんと並んでいます。なーんだ、お客様にこのアスパラガスをパブで味わっていただきたかったのに。





ここは通常観光バスを断っているので、買い物客も地元の人がほとんどです。車のない方はウィンザーの町からタクシーを利用して10分くらいのところですから、買い物をしている間タクシーにそこで待っていてもらって再びウィンザーに戻られるのが一番便利です。

日本からいらっしゃった方は、お土産として「日本では手に入らないもの」を探すのですが、女王のファームショップのロゴの入ったものは多分日本では見かけないと思います。お客様はビスケットやジャムなどお買いになって空港へ。7時半頃のご出発でしたので空港には5時少し過ぎに到着しました。

お天気にも恵まれ、日本に沢山の思い出を持って帰られたことでしょう。退職されたらレンタカーでイギリスを周りたいとおっしゃっていました。イギリスはラウンドアバウトさえマスターすれば運転もしやすく、しかも道路も整備されていますので日本の方々にも安心です。

私も久しぶりの仕事で楽しい時間をすごさせていただきました。


5/03/2016

エリザベス女王90歳のお誕生日おめでとうございます。

気が付いたら5月になっていました。4月21日はエリザベス女王が90歳のお誕生日を迎えられ、その話題で持ちきりでしたが私の4月はどういうわけか知らないうちに終わってしまったようです。

エリザベス女王は昔からご家族のビデオを頻繁にご自分で撮っていらっしゃって(その頃は8ミリと言ったんでしたっけ?)、その多くが先日テレビの王室ドキュメンタリー番組で紹介されていました。今まで公開されていなかったその映像をチャールズ皇太子が女王と一緒にご覧になっているシーンは、ごく普通の母と息子で微笑ましかったです。「あの乳母車、懐かしいなー。今どこにある?」とか、「あの人は誰だっけ?」といった具合に。私が録音しておいたその番組を観たのは実は昨日のことでした。

さて、その番組を観ながらますますエリザベス女王に対する尊敬の念が高まりました。90歳と言えば通常ですととっくに引退して、孫やひ孫に囲まれて穏やかな暮らしをしている年です。2015年に
は94回の公式業務を熟されたとか!因みにウィリアムは32回で、「もっと仕事をしなさい」という批判の声も聴かれます。本当に女王様には勲章(!)を贈りたいくらいです。

エリザベス女王2世は1926年に生まれましたが、その時は将来女王になることはほとんどの人は想像していなかったはず。それがエドワード8世の結婚に関わる突然の退位で弟君のジョージ6世(女王の父君)が仕方なしに即位し(この時代のことは映画‘King's Speech'でおなじみ)、ジョージ6世亡きあと1952年に長女のエリザベスが25歳の若さで女王になりました。当時の法律ではまずは男子に継承権があったのですが、ジョージ6世のお子さんはエリザベスとマーガレットのお二人の娘さんだけだったために長女のエリザベスが王位を継ぎました。

ダイアナ元皇太子妃が亡くなった時は女王の支持率は最低でしたが、現在は76%という調査結果が出ています。

 
4月16日のSunday Telegraphの別冊誌の表紙です。
 
 
  
 
日本からいらっしゃる方はイギリスの王室に興味を持っている方も多く、バスや車の中でよくお話しするのですが、今日はこの雑誌の中からいくつか写真をご紹介しながら皆さんと王室について語り合いたいと思います。
 
 
1926年4月21日、時の王ジョージ5世の二男であったヨーク公爵と、スコットランドの14代目ストラスモア.キングホーン伯爵の末娘でヨーク公爵に嫁いだエリザベスの長女(今の女王は母君の名を受け継いだ)としてロンドンのブルートン通り17番地で誕生されました。この家はすでに取り壊されて今はありません。ヨーク公爵とはイギリス君主の二男に与えられるタイトルで現在のヨーク公爵は女王の二男であるアンドリュー王子です。
 
 
 
 
 
1937年5月に行われたジョージ6世の戴冠式後、バッキンガム宮殿のバルコニーに現れたロイヤルファミリー。戴冠式は国としての最大行事です。プリンセス.エリザベスの手の振り方をご覧ください。すでに女王になるべく振る舞いを躾けられていたことがわかります。今までのロイヤルファミリーは手のひらを見せて挨拶することはありませんでした。実際手の振り方ひとつにさえ、何故そういう振り方をするのか理由があります。キャサリン妃が普通の手の振り方をしているのを見ると、王室も時代に合わせて変化していることを感じます。
 
 
 
 
 
1945年イギリス陸軍の少尉として軍用車輌の整備を行うプリンセス時代の女王。この時に車の運転を習われたと聞いていますが、実際パスポートと同じく女王は運転免許証というものを持っていません。公式の車にもナンバープレートがついていません。証明する必要が何もないことを表しています。
 
 
 
 
 
ジョージ6世、プリンセス.エリザベス、プリンセス.マーガレット、エリザベス女王(現エリザベス女王の母君)。ロイヤルファミリーがプライベートで過ごす時は必ず犬がいます。
 
 
 
 
1953年の戴冠式。ここで使われた宝物は、1661年からロンドン塔に保管されているクラウンジュエル(君主が特別な行事に使う宝物)ですが、笏の先についているのがつい数年前まで世界で一番大きいカットダイヤとされていたカリナンダイヤモンド1(530カラットで原石は3106カラット。又の名を‘アフリカの星’)です。因みに現在世界1大きなカットダイヤはゴールデン.ジュビリー.ダイヤモンドで(546カラットで原石は755カラット)、タイの王様即位50周年のお祝いに贈られました。クラウンジュエルに使われている宝石は23000以上あると言われています。
 
カリナンダイヤモンド1は、南アフリカで1905年に発見されたもので、1907年に時の王エドワード7世の66歳の誕生祝に贈られました。さて、南アフリカからこのダイヤをどうやって運ぶかが問題になりました。その結果、まず偽物を作って大袈裟に護衛艦でイギリスに運ばれているうちに本物はなんと普通の郵便で送られたそうです。さすがイギリス。随分思い切ったことをしました。ジェイムズ.ボンドの国ですねー。やることが違う!
 
 
 
 
 
ポロ競技場での女王とエジンバラ公。チャールズとアン(長女)。今年95歳になられるエジンバラ公(フィリップ殿下)は、イギリスの歴代ロイヤルファミリーの男子では最年長者です。あまりにストレートに意見を言うのが特徴で、時々問題を興していますが、いつも女王を支える影の人物です。
 
 
 
 
 
 
エジンバラ公爵は(またはフィリップ殿下)ヴィクトリア女王を先祖に持ち、ギリシャの王子として生まれましたが生後一か月の時にギリシャでクーデターが起こり、伯父であったギリシャ王は退位、弟だったフィリップの父は死刑を宣告されます。そのため一家はヨーロッパの国を転々としましたが、イギリスの海兵学校に入学したフィリップは、後にイギリスの海軍に入隊します。両親の不仲も公然の事実で彼の幼少、青年時代は決して幸せとは言えなかったようです。
 
プリンセス.エリザベスが13歳で再開した時にフィリップに恋をし、ふたりは結婚を約束しますが姉4名が全てドイツ人と結婚し、ナチスに関係していたことも含めて周囲は反対します。終戦後間もない時のことでしたから。その後のことは歴史で語られる通りで、女王は21歳で結婚しました。結婚式には姉たちは招待されず、母親のみが出席しています。
 
女王ご家族の微笑ましい写真は多く残っていますが、下の写真もその一枚です。初孫(アン王女の長男)のピーター.フィリップと共にバルモラル城で撮影されたものです。今までは第一王位継承権は君主の長男でしたが2011年から男女に関係なく最初の子供が継承者になることが決まりました。その際、もうひとつ大きく変わったことは、王位継承権を持つ人物はローマンカソリックと結婚できないという1701年からの法律が無効となったことです。ただし、君主はイングランド教会の最高ポジションにいるために、ローマンカソリックは君主になることが禁止されていることはそのままです。
 
 
 
 
1970年の公式女王誕生日の儀式であるトゥルーピング.ザ.カラー(軍旗敬礼分列式)であまりの暑さで気絶した近衛兵。「女王が通りすぎるまで」と我慢していたのでしょうね。よりによって女王が通るその瞬間に気絶してしまったとは、お気の毒です。しばらくしてから救助隊が来ましたが、その時まで他の近衛兵は知らん顔。その時は「随分薄情!」と思いましたが、彼らの仕事は女王を守ること。それにしてもふんにゃり倒れるのではなくバッターン!と倒れていていたのが印象的でした。この儀式では、ご高齢のために馬車を使われることになる以前は最も難しいと言われる横乗りで会場に向かわれていました。
 
 
 
 
ウィリアム王子誕生。4代にわたる王室ご家族。
 
 
 
 
ダイアナ妃と離婚したちゃールズ皇太子は2008年カミラ.パーカー.ボウルと結婚。日本ではカミラさんに関しての報道は否定的なことばかりのようで、日本での彼女の人気は今でも最低とも言えるほどですが、イギリスでは人気があります。暖かいお人柄はたまに報道される日本では皆さんも気が付かないかもしれませんね。少なくともイギリスで報道されている普通の内容を日本でも使ってもらいたいものです。
 
私は実際にお会いしたことはありませんが、お会いしたという方からお話を聞いたりする限りでは、チャールズ皇太子が国民から慕われる王になるために大切な方と思います。その結果これからのイギリス王室の存在がどうなるかにまで影響が出てくる気がします。
 
 
 
 
 
2012年に即位60周年を迎えられた時のパレード。
 
 
 
 
 
2012年ロンドン.オリンピック開会式ではジェームズ.ボンドと共演。バッキンガム宮殿にボンドが女王をお迎えに行き、その後ヘリコプターで会場に向かいます。そして会場の上に来た時に、女王がヘリコプターから飛び降りたのです!そしてしばらくしてから女王が同じ洋服で会場にお出ましになりました。会場にいた人も、テレビを観ていた人も大喝采です。これで女王の人気が益々あがったのでは?ユーモアのセンスは英国人にとっては、最も大切な国民性のひとつです。
 
伝統にしがみついてばかりいては国民の王室離れは進むばかりです。そこのところを一番ご存じなのは女王ご自身かもしれません。
 
 
 
 
 
2015年5月シャーロット王女の洗礼式の日。
 
 
 
 
 
 あれはたしか、彼女が21歳を迎えられた時のスピーチだったと思います。
「国民に私の人生を捧げます。しかし、それは一人ではできません。あなたたちのサポートがあってこそ可能な事です。」
 
プリンセス.エリザベスからエリザベス女王になられた彼女の人生は正に国民に捧げた人生だったような気がします。