7/31/2019

ベリーの季節

イギリス人は、昔から保存食としてのジャムが伝統食の一つです。食品店に行けば必ずと言っていいくらいジャム、チャツネ、ピクルスなどが売られていますし、メーカーも数えきれないくらい沢山あり、それぞれ違いますので自分の好きなメーカーを探して手に入れるのも楽しみにひとつです。

私は湖水地方の小さな町で友人が経営し、自ら作っているWild&Fruitefulのチャツネが好きで、またジャムは自分で作らないものは彼女のところで買っています。
https://www.wildandfruitful.co.uk/

何故イギリス人にとってこれほど保存食が大切なのでしょうか?大昔であれば、田舎に行けばどこにでも見かける生け垣のブラックベリーを使って砂糖やハチミツを入れ、ジャムのようなものを頻繁に作ったことは自然と考えられます。

近年では何と言っても第二次世界大戦がきっかけだったと思います。戦争が始まるころ、イギリスの食料は3分の2を輸入に頼っていました。1938年、農業省から依頼されて婦人会(Women's Institute)が保存食製造に乗り出しました。イギリス中に広がるこの婦人会のメンバーで結成されたこのプロジェクトチームにより、1940年から1945年までに5,300トン以上のジャムが作られたそうです。WIといえば、イギリス人ですとほとんどの人は知っている婦人会で女性の王族はほとんどメンバーになっているという大きな組織です。でもWIと聞いて一般の人が真っ先に頭に浮かぶのはジャム・メイキングでしょう。

さて、このジャムにはベリー類が良く使われます。ストロベリー、ラズベリー、ブラックカラント(黒スグリ)、レッドカラント、グーズベリー・・・・・先日、娘の畑に行って、ベリー狩りをしてきました。


ブラックカラント



レッドカラント




ラズベリー




グーズベリー









8月後半になれば、ロンドンでも中心から少し離れた公園や生け垣に沢山のブラックベリーが実を付けます。

私の住む町も、裏道や野原にそれはそれは沢山のブラックベリーが生ります。鳥も全部食べられないほどの量です。去年はお客様と一緒にブラックベリー狩りをしました。今年も9月にいらっしゃる方々にブラックベリーを摘んでいただき、ケーキを作るつもりです。










7/25/2019

新首相の約束

今日は記録破りの暑い日になりそうです。2003年の8月が38,5度とイギリスでは記録上の最高気温でしたが、今日は39度が予想されています。

そこで、毎日の犬の散歩も朝早いうちにすることにしました。それでもルビーは時々立ち止まってストライキを起こし、いつもの野原に行くのにも倍の時間がかかりました。

さて、私たち夫婦は家にいる時は、それぞれやってることに集中しているので大切な事柄以外はあまり会話らしい会話はしません。ですから散歩のときが一日一回の会話のチャンスです。

で、今日の散歩ですが会話の内容は当然昨日の首相交代、新内閣成立の話になりました。


Boris Johnson


昨日、テレーザ・メイが首相官邸であるダウニング街10番地を後にしてバッキンガム宮殿で女王に退任を報告した直後、ボリス・ジョンソンが女王に会見、正式に新首相の任命を受けました。そしてダウンニング街10番地の前で首相としての初めての会見。

ブログでは、あまり書きませんでしたがここ半年くらい私の心は揺れに揺れています。これからのイギリスという国に対する不安、世界的に表れている温暖化や環境問題・・・

その上、新首相としてのボリスの会見を聞いて、希望どころか余計心配になってきました。「イギリスのトランプ」と言われるボリス・ジョンソンは今までにも正確ではない情報を流して問題になったこともある人物です。今回の首相としての初めてのスピーチでは「約束事」があまりに多かったように思います。それで私の気持ちは鎮まるどころか、益々不安になってきました。あまりに約束事が多すぎる!

彼の一番のプライオリティはもちろんブレグジット。10月31日には必ず離脱すると言い張っています。「合意なき離脱」になったらその後はどうなるのか?不安はつのるばかり。

そして、「国民保険サービス予算に200憶ポンド追加は最優先」「教育、交通への投資」「動物福祉改善」「高齢者が家を売らなくても介護が受けられるように」「犯罪対策として2万人の見廻り警官を増やす」「20の病院のアップグレード」「国民の給料増額」・・・・・この他にも「約束事」が沢山あります。

これが全部その通りになったら、素晴らしい国ではありませんか!そんなに素晴らしいことが可能であれば今までの首相だってやってきたはず。


Boris Johnson


そして今最も大切なことのひとつであるイギリス国民をまとめることを約束していました。EU離脱が決まってから、国民はバラバラになってしまいました。スコットランドは「イギリスにいるよりEUとくっついていたい。」と言っているし、独立は一旦は抑えられたもののまたまた独立国民投票が行われたら、今度こそ離れてしまう可能性が大です。

アイルランドの国境はどうなるのか?

そんなことで犬の散歩をしながら、今日は主人と暑い中、熱い話をして益々ぐったりです。

すみません、今日はこの不安定な私の気持ちを皆さんにぶつけてしまいました。

7/23/2019

映画 イエスタデー

‛Yesterday’という映画を見てきました。ビートルズが存在しないという世界に生きるミュージシャンの話です。




「ダウントンアビー」で一躍有名になったリリー・ジェイムズが出演、良い演技を見せてくれています。



ストーリーとしてはとても面白く、終わりに近づくにつれてサプライズもあり楽しめる映画でした。



ひとつだけ残念だったのは必要でないジョークやジョークっぽい場面が多すぎたこと。「ビートルズが存在しない世界」というそれ自体可笑しな内容なのですから、その上に安っぽいジョークが入ったために、私の独断の映画評価はがた落ち。残念でした。

でも映画全体的に見れば可笑しな世界から学ぶこともあって、見た価値は十分ある映画でした。

7/22/2019

コニストン湖のゴンドラ

先日ご案内したのは4名の家族旅行の方々でした。伝説のモンスター、ネッシーでお馴染みのネス湖の遊覧は、思っていた船より大きくてあまりお気に召さなかったよう。そうですよね、ネッシーは静かな幻想の世界に出没するのをイメージするのが通常。10名くらいしか乗れない小さなボートでゆっくり探すと、ネッシーが首を出すかもしれません。もっと欲を言えば、本当は他の観光客が全部いなくなった状態でボートも動かさずにネッシーを待ちたいものです。






そこで湖水地方でのウィンダミア湖での遊覧は急きょ予定を変更して、コニストン湖に行くことにしました。アーサー・ランサムの「アマゾンとツバメ号」の舞台になったこの湖はウィンダミア湖の隣にありながらウィンダミア湖よりずっと静かで、ウォーキングに便利なせいか、イギリス人にも人気です。そこで、今回はこの湖で遊覧することにしました。乗ったのはナショナルトラストが運行しているゴンドラです。








このゴンドラが作られたのは1859年。コニストン湖を渡る普通の乗客を乗せるために出来ましたがその後嵐で壊れ、放置されていたものを募金運動の結果ナショナルトラストが購入、修復をし1980年に復帰して今度は観光客用の乗り物になりました。






今回はちょっと特別なことがありました。お客様が甲板で写真を撮っていらっしゃった時に、船を動かすエンジニアが「窯を見たいか?」と話しかけてきたそうで、私もお相伴に預かり、見せていただきました。何回も乗っていますが、こんな経験は初めて。



この方はエンジニアだったそうで、今はボランティアでゴンドラを操縦しているとか。




そして動力源になっているのは石炭ではなく、おがくずを圧縮して作られたこれ!環境にも悪くない!




ナショナルトラストでは、彼と一緒に船を操縦する「特別体験」も企画しています。イギリス人は、よく誕生日のプレゼントに、このような特別な体験を贈ります。私の友人もテムズ川で船を動かす特別体験をサプライズプレゼントに贈られて、皆で船の上でランチをしたことがありました。ゴンドラを動かすのもまた忘れられない思い出になるでしょう。


7/21/2019

親子3代で築き上げたスーパーマーケット

前回のブログで、ライのスーパーマーケットのことにちょっと触れました。ライからロンドンに戻る列車の時間まで少しあったので立ち寄ったスーパーが、ジェンプソンズでした。入った途端に、「ウン?何かこのスーパーは違うぞ!」と期待が一気に膨らみました。
何が違のか、はっきりは言えないのですが確かに何かが違う。並べ方?商品?スペース?


スパイスのコーナー




ゆっくり見ている時間はないので、サーっと。そこで見つけたのがコープ(Co-op)のチョコレートスプレッドでした。何故他のスーパーの商品がここに?普段だとその場でスタッフに聞いてみるのが私。でも時間がなかったのでそっと写真を撮るだけにしました。(許可を得る時間もなかったので盗み撮り! すみません。)




ゆっくり買い物をしたかったのですが、結局サクランボだけを買って駅に向かいました。そして帰ってからこのスーパーのことを調べてみたら、やっぱり他のスーパーとは違いました。

1935年にジョージ・トマス・ジェンプソンがピーズマーシュという小さな村のパン工場(配達の車付で)をで250ポンドで買いました。それまではパンなど焼いたことがないジョージさんでしたが、デリバリーのひと2人を雇って籠の中に入れて配達されたパンは村の人たちに人気だったようで、今でもジェンプソンズではパンに力を入れています。人気ナンバーワンは、伝統的cottage loaf  と crusty farmhouse loafだそうで機会があったら是非食べてみたいと思います。

現在は3代目が兄弟で運営していますが日曜は開業当初から休業日。私がイギリスに来た時は日曜営業は法律で禁止されていたので、日曜はとっても静かな日だったのです。一週間に一日くらいは静かな日があってもいい気がします。日曜に買い物できなければ土曜に買えばいいだけのことで、別に不便さも感じませんでした。現在は大きなお店は日曜は6時間だけ営業出来ることになったので、この6時間はレジのところに長蛇の列です。町には車がいつもと同じように走っていて日曜は、静かな日ではなくなりました。

ジェンプソンズのホームページを見ると、ジェンプソン一族は初代から敬虔なクリスチャンのようで、「日曜は家族や友人との時間に当てたり、祈りの時間として過ごす」とありました。

今や、日曜日はスーパーにとっては稼ぎ時。それを80年前のポリシーをいまだに守り通して日曜は休業で通している・・・・・素晴らしいではありませんか。




80年前に始まった小さなパン屋さんが今では2個のスーパー、3個のコンビニ、6個のカフェ、一個のレストラン、5個の郵便局、一個のガソリンスタンド、1個の薬局を持つ大きなビジネスに発展しました。

キリスト教の核であるチャリティにも力を入れ、ローカルコミュニティの存在を大切にしているジェンプソンです。何より、近年は特にスーパーは売上だけがビジネスの基本になっている場合が多いのですが、ジェンプソンのように、ちゃんとしたポリシーを持って営業しているところに出会うとほっとします。今度は是非ピーズマーシュの本店に出かけてみたいと思います。

ライのお店は駅の真向かいですから、ライに出向いたら是非立ち寄ってみてください。




7/19/2019

ライの町

「イギリスという国は2つの国からできているような感じ」とは、私がガイドをする際にお伝えしていることです。(本当は5つと言いたいところですが。・・・・イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランド、そしてロンドン。)「それはロンドンとロンドン以外の国」です。特にロンドンを離れてみると、それが良くわかります。ロンドンはロンドンで素晴らしい多様性をもった文化が出来上がっています。でもイギリスらしさと言えば、ロンドンの外にそれを求めるのがいいと思います。

観光で限られた時間しかない場合は、ロンドンを一日削ってでも郊外に足を延ばすことをお勧めします。そこで便利な場所のひとつがライの町です。ロンドンから列車で1時間。緑の田園を見ながらあっという間にライに到着です。(St. Pancrasの駅からはAshford Internationalで一回乗り換え。)




ライと言えばこの通りが有名。15、16世紀の建物が多く残る石畳のMermaid Streetです。






町の中は古すぎて真っすぐ立っている建物よりゆがんだ建物が多い感じ。




教会近くの建物の煙突は、高く積みすぎて今にも倒れそうな積み木の家みたいな煙突が。




ここまで来たら是非、聖メアリー教会のタワーに登ってください。オレンジ色の屋根が一望に見下ろせる素晴らしい眺めです。塔は7,80段の階段を上りますが、ところどころとても狭くなっているので気を付けてください。お尻が邪魔をして横に歩いてやっと・・・・







日本では「アフタヌーンティと言えば3段重ねのお皿で出てくるもの」が常識になっているようです。でも、こちらではそれは高級ホテルや、ちょっと高級なティーショップでのこと。今回のお客様は、「普通の人が普通にとるアフタヌーンティを」とのご希望でしたので、ランチ代わりにThe Cobbles Tea Room でいただくことにしました。人気のティールームで、とってもカジュアル。今までにも何度もお客様をご案内しましたが、皆さん「イギリス的で素敵」と人気です。





3段重ねではなく、お皿一枚にサンドイッチ、スコーン、ケーキ。サンドイッチ、紅茶、ケーキの種類は選ぶことができます。



一人前58ポンドのロンドンのリッツホテルでのアフタヌーンティと内容はかなり違いますが、おなかを十分満たすことができますし、「さあ、行くぞー」と構えないで、リラックスして立ち寄れるのがいいですね。そして値段も11ポンドとかなりリーズナブル。

この後、町でお買い物をしながら最後に素晴らしいスーパーに立ち寄り(このスーパーのことは後程ご紹介したいと思います)ライでの4時間はあっと言う間に過ぎていきましたが、皆さんにご満足していただけたようで私も楽しいひと時を過ごしました。

ライの町も7,8月は観光客が多いので、ゆっくり周りたい方はシーズンオフに行くのも一つの手段。人通りの少なくなったライの町もまた風情があって素敵です。



7/18/2019

イギリス空軍博物館

とても長い間ご無沙汰してしまいました。ツアーや、他の仕事が重なってしばらくロンドン暮らしをしています。特に観光客が多いこの時期、ロンドンの人の多さに酔ってしまいました。

そんな中で一日お休みがあったので、ロンドンのヘンドン地域にあるイギリス空軍博物館に行ってきました。今までお客様をお連れする機会もなく、私にとっては去年まで未踏の地でしたが初めて行った時、そのあまりの大きさに驚きました。名前からは想像するのは難しいのですが、小さな子供から100歳以上の大人まで、十分一日中楽しめる場所であることが、今回改めて訪れてみてわかりました。そこで、これは皆さんにも是非お勧めしたいと思ったのです。






5個の建物ではイギリス空軍、航空に関する歴史から、子供の遊び場、大きな売店やカフェまでとにかくすごい!しかも無料です。

小さな子供でもコンピューターを使って、飛行機のデザインをしていました。




もう少し高度なデザインも可能。ここでは大人も真面目顔。







グループで見学する場合は、詳しく説明してくれるガイドがいました。




本物の飛行機の下にはカフェが。





博物館のある場所は以前はイギリスで初めて航空運転免許を取得したクロード・グラハムーホワイトが1911年に設立した民間の空港のあったところですから場所自体も長い間航空関連の場所。

お子さんと一緒にロンドンに滞在する方は地下鉄でも行けるイギリス空軍博物館もお勧めのひとつ。小さなお子さんには屋外の遊園地もあります。無料で、しかも家族全員が一日はたっぷり楽しめる博物館です。

7/01/2019

大英博物館の特別展示。

土曜の気温はロンドンで34度でした。今回はBBCの予想はばっちり当たっていました。

私の住む町はそれよりも低く 、早めに犬の散歩に行きましたがやっぱりルビーもジャスパーも早く家に帰りたい様子。ルビーはそれでなくてもゆっくり寄り道が好きな子なので前に進まないのですが、この日はまるでストライキを起こしているように突っ立ってしまい、30分足らずで家路につきました。

さて、今日は大英博物館の特別展示を2つ見てきました。


 

 ひとつはノルウェイの画家エドヴァルド・ムンクの作品を集めたもの。





彼の作品のうちの83点が展示されています。代表作である「叫び」は油彩画やパステル画など5点ありますが、今回はその中のリトグラフによる「叫び」が来ていました。




5歳の時に母を亡くし、13歳の時に最愛の姉を亡くしました。それがムンクン作品に大きな影響を与えています。「病める子」は、発表された当時はその粗い筆遣いに不評だったようですが、題材が注目を引いたことには違いありません。彼は「私のように絵の中の人物に対して深い悲しみを感じた画家は少ない。」と言っています。

この絵は、姉の死の直前を描き、横で悲嘆にくれている女性は母亡き後ムンク兄弟姉妹の世話をしてきた叔母です。



2番目の特別展示は「漫画」です。日本に始まった漫画は今や日本の文化だけではなく多くの国の文化に入り込みました。その始まりが19世紀の日本にあったとは驚きでした。








手塚治さんのビデオも。 




漫画を読むコーナーも設置されていました。




このような特別展示は、事前予約をお勧めします。何故なら、切符を持っている場合は一般のセキュリティチェックの長蛇の列とは別のチェックの場所に行きます。こちらはほとんど並んでいません。

大英博物館はロンドンでの観光名所のトップ人気のひとつ。夏場はかなり混みあいますが、ミイラの展示場所などの混雑に疲れたら、少し離れて他の展示物をゆっくり見るのもいいものです。思いがけない発見があるかも。