12/31/2014

2014年を振り返って。

 
 
大晦日の朝です。今日は一日中「おせち料理まがい」のものを作る日で、一年のうち一番日本食のレシピーブックが役に立つ日です。もう30年も同じレシピーを使っているのに、まだ毎年毎年同じ本を使ってのおせち料理作りです。その本はいつからか表紙もなくなってしまって、ご丁寧にお醤油のシミまで残っていますが、私にはなくてはならないものです。
 
2014年を振り返れば、色々ありました。毎年の事ですが今年もご案内させていただいた方々との出会から色々なことをおしえていただきました。そのひとつひとつを大切に、来年は今年よりもっと良い年、もっと人間として成長した年にしたいと思います。
 
神戸の地震や、東日本大震災で被害に遭われた方から、「やっと来ることができました。」という言葉を聴くたびに人の強さを学び、エネルギーをいただきます。「人生は前向きに」と、励まされています。
 
今年も大きな災害が日本を襲いました。被害に遭われた方がどうやって年を越されるかを思うと、心が痛みます。一日も早く心の傷がいやされ、そして一日も早く元の生活に戻ることができるようお祈りします。
 
そして一年間、ブログでお付き合いしてくださった方々に感謝します。来年の私の願いは、ありきたりですけど‘世界平和’です。2014年よりは、一本の木でも、一匹の動物でも、そしてひとりの人間でも多く、平和に暮らす年になることを祈っています。
 
来年もどうぞよろしくお願いいたします。

12/29/2014

クリスマスとお正月の間

クリスマスが終わり、お正月までの期間はいつも複雑な気持ちで迎えます。一年のうちで一番日本を思う時です。「○○は今頃おせち料理つくりの毎日だろうな」とか、デパートの地下のあの活気、お正月の匂い.....イギリスではクリスマスは家族、親せき、友人達ととても楽しいひと時を過ごし、27日ともなるとそれが一気に終わるので、余計日本の年末の賑わいが懐かしくなるのかもしれません。

イギリスでは25日、26日がクリスマスの山場です。26日は息子夫婦と愛犬を伴って友人宅に行きました。彼らも夫婦二人の生活です。そこにひとり知らない人がいました。近くに住むひとり住まいの70歳くらいの男性です。初めて会う人でした。クリスマス近くになればラジオでよく聴かれるのがあるチャリティの宣伝です。「クリスマスをひとりで過ごさなければいけない人が楽しいクリスマスを迎えられるように募金をお願いします」というもの。

イギリスでは、「クリスマスをひとりで過ごす」ことがとても淋しいことに思われています。一年のうちで一番家族が集まる日ですものね。新聞にも、ある未亡人がそういう人たちをパブのクリスマスディナーに招待するために1000ポンド匿名で寄付をしたとありました。(結局は名前が知れてしまいましたが、今度は他の人たちが同じ目的で募金活動を始め、全国規模になったようです。)

友人は犬2匹、カメ4匹飼っています。クリスマスディナーを食べた後、クイズゲームなどをして一日を過ごしましたが、その合間に私はカメに見とれていました。一匹は私と同じくらいの年、もう3匹は30才くらいでしょうか。



言うまでもなく、動きは本当にのろいです。ただ一匹の子亀は行動派。他の亀の甲羅に登ろうと必死です。親ガメは眼だけ動かして、まるで子ガメの行動を見張っているようにだまって同じ場所に座っています。




じっと見ていて考えました。この親ガメは私と同じくらい長く生きていて、今まで動いた範囲を線にするとどのくらいの距離になるのかな?って。でも、目を見ると周りで何が起こっているかを全て知っているように思えます。ついつい自分と比較してしまいました。いつも走って生きているような私です。考える前に行動してしまうこともしょっちゅうです。一体、自分の周りの事をどのくらい見て生きているかなー?

でもこの年になったら、走る速度を下げて、もっと周りを見ながら生きて行こうと、カメを見ながら思いました。私たちはあと2年くらいしたらロンドンを離れて田舎暮らしをする予定です。完全に退職する気はありませんが、少しだけ方向を変えてもいいかなー?と思い始めています。

これからお正月までの期間、日本のことを懐かしむことだけではなくあの亀のようにじっくり物事を考える期間にあてようと思います。

12/24/2014

メリークリスマス!!!





 
メリークリスマス !!!
 
どうぞ楽しいクリスマスをお迎えください。
 


12/23/2014

ダブル故障で散々な一日?

日本は寒波に見舞われているそうですが、皆さんが住んでいらっしゃるところはいかがでしょう?どうぞ風邪をひかないようにお気をつけください。

昨日、クリスマス間際と言うのに我が家の電子レンジが壊れてしまいました。20年くらい故障もなく頑張ってくれたので、修理はあきらめて新しいレンジを買ってきました。20年のお付き合いに感謝。よく頑張ってくれました。でも、せめてクリスマス、お正月が終わるまでもうちょっと頑張ってほしかった。そうすればセールで安く買えるかもしれないし。クリスマス直前に壊れてほしくなかった.....

さて、我が家も夫婦二人だけの生活になったので二人分の料理に大きなオヴンを使うのももったいない話です。そこで今回はオヴンも兼ね備えたレンジを買うつもりで電気屋さんに出かけました。昨日はロンドンに出なければいけないことがあったので、その前の短い時間で電子レンジを探さなければいけません。でも、ラッキーなことにちょうど手ごろなものが見つかりました。前のと同じパナソニックです。ところが電気のコードが短すぎてコンセントに届きません。エクステンションを探しましたがコードが長すぎるものばかり。その後他の電気屋さんを転々としてやっと短めのエクステンションを買いました。ずいぶん時間がかかりました。全くモー。「これからロンドンに行ってすることが沢山あるのに。プンプン、イライラ。」

クリスマスが近づくにつれて、頭の中だけでハーハー言いながら忙しくしています。昨日はレンジを買ってすぐに地下鉄でロンドンに出ようと家を出ました。ところが我が家の近くの駅は「信号故障」とかでクローズになっっています(良くあることなのですが)。近所のおじさんが「バスで隣駅まで行くしかないなー」とおしえてくれましたので、バス停でバスを待つこと20分。「全く!クリスマスだというのに。」 バスに乗ったはいいのですが、随分遠回りして歩いても15分くらいなのにバスでも同じくらいかかってしまいました。「こんなのだったら歩く方が良かった」とまたまたプンプン。

ああ、昨日は電子レンジと地下鉄の信号が壊れて散々な一日....と思っていましたが。でもその後はとても良い時間を過ごしました。

結局帰宅したのは夜中の12時に近い時間でした。「ああ、良い一日だった。」と心の底から思っていました。「電子レンジの故障?」「信号の故障?」そんなこと何でもないわっ!という気持ちになっていたのです。つまり人間、気持ち次第でストレスもだいぶ軽くなるものです.....と、今日はそのことが言いたくてブログを書いています。

写真は昨日ロンドンで見たロンドン交通局の白いダブルデッカーのバスです。何かの宣伝と思いますが珍しいでしょう?


12/18/2014

リスのように食べ物を蓄えて......

冬眠に入る動物のように、私もクリスマス前に食べ物を貯蓄する癖があります。昔は日曜はお店はお休みでしたし、クリスマスも25,26日は開いているところが全くなく、たった数日間なのに「必要なものは蓄えておかなくては!」という気分になっていました。

今は日曜でさえ時間は短くではありますがスーパーマーケットさえ営業していますし、クリスマスの日だってインドの人(キリスト教ではないひとたちなど)が経営するコンビニなどはオープンしているところがあります。

それでも私は、昔の「クリスマスホリデー前に食料品を蓄えなくっちゃ」という気持ちが抜けません。毎年23日には大きなスーパーに行って山のように買い物をします。全く、スーパーの「思う壺」そのまま。情けなくなります。でもおいしそうなものがいっぱい棚に並んでいるとついつい手が伸びてしまって。

今日もヴィーガンの冷蔵食料品が届きました。ソーセージ、ミートローフ、ハム、フランクフルト、チーズ......




日本では‘モドキ’というそうですが、大豆などで作られたお肉が沢山あります。人によっては「お肉の触感がいやだからヴィーガンになった」という人もいます。そういう人は肉に似せたヴィーガンフードは食べません。

私は昔はお肉もお魚も食べていました。あの触感は嫌いではありません。ですから「モドキ類大歓迎」。ただ、大豆でできたお肉でも乾燥したものはあまり好きではありません。ですから買ってくるのは冷凍食品。イギリスではヴェジタリアン用のQuorn というメーカーが有名ですが、これはヴェジタリアンではありますが、卵が入っているのでヴィーガンではありません。

我が家でよく使っているのはスーパーのセインズブリーのブランド品の挽肉です。大豆の香りもしませんのでラザニアやコテージパイに入れれば、お肉の挽肉とあまり変わりません。どちらかと言えばヒレ肉を挽肉にした感触です。大豆でできていることさえ気が付かない人も沢山います。



この他、お勧めはリンダ.マッカートニーのソーセージなど(普通のものも美味しいのですが、特にローズマリーの香りのついたものは我が家では人気ものです)。ポール.マッカートニーの前の奥様で亡くなられたリンダさんが作ったメーカーです。ポール.マッカートニーも長い間ヴェジタリアンで、今でもヴェジタリアニズムを奨励する活動を活発に行っています。

クリスマスに近づき、ショッピングに出かけて一番先に目がいくのがやhあり食べ物です。先日ウィンザーにある女王のファームショップに行った時に買ってしまったもの。





左からMiddle Aged Spread(中世スパイスのきいたマスタードのピクルス)、Christmas Mustard, (クリスマスのためのものでマスタードにスグリ、レーズン、オレンジピールなどが入っている)Pickled Walnut(19世紀からクリスマスの食べ物になっているもの。ディケンズ他文学にも顔を出す伝統的なクルミのピクルス) です。

日本のお正月のように、クリスマスを含むお祭りは皆食べ物が中心ですね。一年のうちで一番ウェイストの長さが気になる時期ですが、それは年が明けてから悩むことにしましょう。





12/17/2014

クリスマスの準備

クリスマスは、もうすぐそこです。商店街に行けば、クリスマスの音楽が流れ、ウィンドウのディスプレイに目を向ければマネキンたちが赤いサンタの帽子をかぶったり、ソリを引くトナカイの人形が忙しそうにしていたり、デパートのグロットー(サンタの居る部屋)では子供たちがサンタとお話ししています。ますます「ああ、またクリスマスが来てしまった。」と思わざるを得ません。日本では大晦日がそうですね。「また一年が終わってしまった。」と.....それは年を重ねるたびに身に沁みて感じるようになりました。若い頃はとにかく12月25日や元旦が待ち遠しくて「一年が終わってしまった」なんていう気持ちはありませんでしたものね。

でも、そういうふうに「ネガティヴな気持ちを持つことはいけません」と、自分に言い聞かせ毎日CDでクリスマスの曲をかけながら楽しむことにしています。

さて、息子夫婦も引っ越しして、クリスマスの飾りつけもこれからは主人と二人だけですることになるために、今年とうとう人工のクリスマスツリーを買いました。毎年本物のツリーを買っていましたが、クリスマスホリデーが終わるころになると葉がポロポロ落ちてしまいますし、横に広いので場所も取ります。また片付ける時も、捨てなければいけないためになんとなく悪いことをしているような気がしてしまうのです。

そこで主人が見つけたのが縦長のツリーです。
 


 

 
 
一番上には、通常は星がのるのですが、我が家では子供たちが小さな時に犬の指人形を飾ってから、ずっとこのお人形がクリスマスツリーのトップを陣取っています。
 
バイオリンとハープの飾りは、これも大昔にV&A Museumで買ったもの。
 
 
 
 
 
この他、友人の娘さんが小さい時に作ってくれたサンタクロースのお人形など、ほとんど想い出になるものばかりです。今年仲間入りしたのはこれまた友人の娘さんがプレゼントしてくれた犬が描かれたキーホルダーです。
 
日本からいらっしゃった方はこちらでクリスマスツリーの飾りを買う方がいらっしゃいます。とても素敵なおみやげだと思います。クリスマスツリー用として売られていないものでも、ツリーに付けることは出来るものが多いので。窓にかけるぶらさがるステンドグラスも素敵ですし。
 
本当は自分で作りたいクリスマス.リース。今年は買ってしまいました。
 
 
 
 
 
そして我が家では、クリスマスツリーと同じくらいに大切なものがあります。それはサンタの人形です。この人形はスイッチを押すと歌いながら踊り出します。その踊り方が独特で、私はその真似をしながら一緒に踊ります。(これがけっこう運動になります)
ずーっと前に買ったのに一年に一時期しか出さないためか、今でも太いお腹をひねりながらちゃんと踊ってくれます。
 
 
 
 
これから部屋の中に色々飾りをつけをし、とにかく賑やかなムードを作りながらクリスマスを待ちます。今年は息子夫婦、仲の良い友人家族と一緒にクリスマスを迎えます。


12/12/2014

半冬眠の時期に入りました。

観光ガイドの仕事は季節労働ですから、私の場合は一年のうち6か月くらいは忙しい毎日を
過ごしますが、残りの6か月はほとんど半冬眠です。半冬眠と言うのは、忙しいときに出来なかった調べものをしたり録音していたテレビドラマをまとめて見たりと、目と手だけ動かして過ごす毎日が続くからです。

歩くこともあまりなく「これではだめ!」と機会を見てはロンドンに出て博物館めぐりやコンサートに行くように努めています。昨日はナショナル.ギャラリーの‘レンブラント展’に行ってきました(1月18日まで公開)。私は人気のある展示会などは始まってから少し時間を置いて出かけることにしています。そのほうが人も少なくゆっくり見ることができるからです。

ところがこのレンブラント展、始まってから2か月も経っているというのに、そして週末でもないのに相当混んでいて全て真ん前で見ていたら半日かかります。オーディオの説明を聞きながら、興味のある絵はじっくり見てその他は遠目で見ながら約2時間かけて見学してきました。




17世紀を代表するオランダの画家レンブラントは、その63歳の生涯の中で歴史画、肖像画、エッチングなど光と影を巧みに使った独特の作品を多く残しました。

今回の特別展示は、レンブラントの晩年の作品が集められたものです。画家として大成功をおさめたレンブラントは経済的にも、社会的にも絶頂期にあった青年時代を送りましたが最愛の妻を亡くし、晩年は一人息子、パートナーにも先立たれます。またオランダを襲った不景気と自らの浪費癖の他、愛人に慰謝料を払ったりして自己破産を余儀なくされます。でもその不幸、不運から生まれたエネルギーをキャンバスに叩き付け、素晴らしい作品を沢山生み出しました。

若い頃はモデルを良く使っていたようですが、晩年はモデルを雇うお金もなかったのか、自画像を描きまくります。こうしてレンブラントは生涯で80枚もの自画像を描きましたが、その晩年のものは見る人に彼の人生そのものを見せつけてくれているように思います。

苦しいことも、悲しいことも全てひっくるめて作るのが人間の一生です。ひとつひとつの経験から生まれるものは計り知れない大きなエネルギーに他なりません。





ナショナルギャラリーへはよく行きます。仕事の時もあれば、時間がある時に‘ちょっと立ち寄って’と数枚の絵を見てくることもあります。大英博物館同様、国で持っている博物館、美術館はこのように‘ちょっと立ち寄る’ができるから助かります(特別展示は有料)。そしてここはお食事もおいしいので、絵を見なくてもたまに友人たちとThe National Dining Roomで食事したりします。

最近は写真撮影OKの美術館も増えました。このナショナルギャラリーもフラッシュさえたかなければ大丈夫。以前はカメラを取り上げられたりしたものですが。


 
 
 
 
 
 
ゴッホの‘ひまわり’の前はいつも人がいっぱいです。
 
 
 
イギリスではお店で写真を撮影することも禁じられていました.....最近までは。ところがハロッズでさえたしか去年行った時は撮影OKだったと思います。でも、まだまだ禁じているお店も多いので、一応許可を得てから撮影するようにしましょう。
 
ナショナル.ギャラリーのあるトラファルガー広場は例年のごとく、ノルウェイから送られたクリスマスツリーが立っています。
 
 
 
 
 
レンブラントを見た後は友人とのランチが待っています。前から気になっていたOrchardオーチャードというレストラン、やっぱり行って良かった。ナチュラルな感じでくつろげます。ホルボーン駅から歩いて数分のところに1910年にできたおしゃれなアーケードがあります。Orchardはその中にあるヴェジタリアンのお店です。旧市街にあるヴァニラ.ブラックという高級ヴェジタリアンのお店の姉妹店です。
 
 
 
 
 
 
英国の伝統料理であるサンデー.ロースト(日曜に食べるローストディナー....ローストビーフ、ローストポークなど)の残りもの、つまりじゃがいもとキャベツで作ったお料理である‘バブル&スクイーク(これも今では立派な英国名物料理)’など、イギリス料理を基礎にしたメニューです。
 
 
 
レンブラントとバブル&スクィーク。なんだか変な組み合わせの一日でしたが、「ああ、良い一日を過ごすことができた。」とハッピーな気持ちで帰宅しました。



12/10/2014

550年前の建物に泊まるということ。

先日、ウッドストックで一泊したことを書きましたが、そこで泊まった宿はマールボロー.アームズでした。アームズといえばインやパブに多いのですが(‘腕’という意味ではなく‘紋章’のこと)、ここはゲストハウスといったところ。つまり朝食は出ますが、夕食は出していません。本当のことを言いますと、私はゲストハウスはめったに泊まりません。何故ならB&Bは夕食はなくても家族的でそれなりの良さがあるのですがゲストハウスはB&Bよりは大きく、個人的なサービスが受けられないところが多いからです。それなら夕食が食べられるホテルがいいかなーと思ってしまうのです。

ところが今回は、個人的なサービスが必要だったわけでもなく、ホテルで夕食をとらなくてもレストランが周りに沢山ありましたので問題はありませんでした。

一番気に入ったのは客室です。550年前に建てられたこの家の屋根裏部屋が私たちの泊まる部屋でした。‘屋根裏部屋’は天井の形が正に屋根の形で、日本の方から「以前こんなお部屋に入れられてしまいました」というお話を良く聞きますが、私はそれが大好きです。個性的な部屋が多く、窓からの眺めも好きです。

その部屋はセカンド.フロア(つまり日本で言う3階)にありました。こういう古い建物は、保存をしなければいけない建物に登録されていて床をぶちあけてエレベーターを作ることは許されていない場合が多いのです。

ハアーハー言いながら登り着いた3階の部屋は不思議な部屋で、まずは専用の玄関口のようなドアがありました。その理由はドアの下が5センチ以上も隙間があるからだと思います。この写真は中から撮ったもの。左のドアがバスルームにつながっています。きっとドアの下をこんなにも切らなければ、開け閉めができなかったのでしょう。







そこから5メートルくらい行きますと部屋があります。入った途端に思わず「ワーッ」と声をあげてしまいました。何せ「古そう!」。


 
 
 
屋根裏ですから、当然窓は高い位置にあります。外を眺める時は、椅子に上がって。
 
 
 


むき出しになっている梁は白く塗られています。こういうハーフ.ティンバーの建物は、現在は木の部分は黒や茶に塗られていますが(ヴィクトリア朝の人たちの発明です。なんでも自分の美意識を押し通したのがヴィクトリアンです!)、中世のころは虫が入らないように石灰を塗っていたのです。この部屋は今はペンキかもしれませんが、それにしても外観以外の梁が白く塗られている部屋に泊まったのは初めてです。




窓の外は隣の、これまた古い建物の屋根。古いタイルには何年も生き続けている苔が。ずっと昔は板ガラスはビンを伸ばして作っていたので、瓶の底の部分はどうしても厚く、丸い部分が残ってしまいました。そんなガラスにお目にかかると身震いがしそうなくらい嬉しくなります。ここのガラスは新しいものでした。でも瓶の底の厚い部分もちゃんと模様として作られています。





肝心なベッドルームの写真は何故か撮らなかったようですが、バスルームの写真が残っています。
大きなバスルームにはバスタブの他、シャワー室もありました。時々スーツケースも開けられない程狭い部屋に泊まることもありますが、ここのバスルームはスーツケースどころか、ベッドまで持ち込めるような広さです。


 


パブリックスペースも大きく、バーがありますから大きな肘掛け椅子やソファーに座って夜遅くまでおしゃべりしているお客もいます。




私は、宿泊場所を決めるときは「今回は何が一番大切か?」ということを考えて予約します。仕事の時は、24時間出入りができるビジネスホテル、愛犬と一緒の場合はなにはさておき「ペットOK」であること。今回はホリデーの途中で、‘地理的に行き先のルート上であること’、‘個性的な場所’を第一条件に探しました。
こういう方法で予約しますと、あまりはずれはないような気がします。もっともサービスに関しては行ってみないとわからないことが多いのですが。

イギリスのホテルは、高めだと思います。特にロンドンは「こんなホテルでその値段?」というところが多いようです。今回のマールボロー.アームズは一泊朝食付きで日本円にして2万円くらいでした。これがもしロンドンだったら.....と思うと、この料金は納得。

何せ、シェイクスピアが15歳の時に建てられた家です。昔はこの村に大邸宅をもつモルバラ公爵に仕えた人の家だったのかもしれません。またシェイクスピアがロンドンに行く際にこの村を通った可能性は十分あります。そんなところに泊まると、今という時をしばしの間忘れてしまいそうです。




12/07/2014

クリスマスプレゼント

11月ごろから商店街は一気に賑やかになってきます。クリスマスショッピングの開始です。ロンドンではリージェント.ストリートやオックスフォード.ストリート、ボンド.ストリート、最近は範囲がぐんと広がってメリルボーン.ハイストリートや変わったところではスピタルフィールド、そうそうウェストフィールドのショッピングセンターも忘れてはいけません。




そういえば子供たちが小さかった頃は、何日もかかってクリスマスプレゼントを買いにおもちゃ屋さんを歩きました。今ではインターネットで買い物をする人も多くなり、ショッピングの方法も随分変わってきました。

そういう我が家のクリスマスプレゼントはどうかと言いますと「物が溢れている世の中だから」と、ここ10年以上は‘紙一枚のプレゼント’がほとんどです。

因みに息子には自分では買えないちょっと高めのコンサートや劇のチケット、お嫁さんにはRoyal Geographical Societyから出版されている同名の雑誌の一年購読、そうそう、今年は引っ越ししましたのでシャワーの頭の部分も特別につけました!

カナダにいる娘には、毎年Hillsideという動物レスキューセンターへのドネーションです。今年は馬のための干し草20束と、ピクシーというレスキューされた犬の手術費の一部です。1995年に設立されたのこの動物レスキューセンターには現在1000エーカーの土地で2000匹の動物たちが飼われています。(犬、猫、馬、豚、ロバ、鶏、あひる、ウサギ、羊.....)


 
 
手の手術が必要なピクシーです。
 
 
 
 
 
先日訪れたバッチセンターのバッチ先生のコンサルティングルームに置かれていたヒルサイドの募金箱です。
 
 
 
 
 
クリスマス、誕生日、結婚記念日などプレゼントを贈る日が年に何度もあります。物は増えるばかりです。いただいてうれしいものももちろん沢山ありますが時には品物の代わりに、お金を必要としているチャリティにドネーションすることは物が溢れすぎてしまうことも防げます。でもなんと言っても気持ちがいいこと。「○○さんへのプレゼント」としてドネーションすれば、贈られた人宛てにチャリティからお礼のカードが送られることもあります。
 
 
ひとりの人が馬一匹の一生をひとりでめんどうをみるのは大変です。そのために里親のシステムがあります。
つまり、一匹の動物のために自分でできる範囲のドネーションするというのが里親のシステム。そういう人が何人も集まれば、その馬はずっと幸せに生きることができます。これもまた楽しいもので、我が家では今まで豚や猿など色々な動物の里親になりました。そうすると時々その動物の成長過程を知らせてくれることもあります。
 
家庭の事情で動物を飼えない子供へのプレゼントに最適と思います。そういう里親はいつでもヒルサイドに行って里親になった動物に会えるのですから。私は、小さいときから子供に動物への愛をおしえることは、その子の人生にとってとても幸せなことで、その子のこれからの人間性そのものに影響していくと信じています。動物を「汚いもの」「危ないもの」とおしえている親を見ると、その子供がとても可哀そうに思えます。
 
クリスマスは、家族、友人だけで楽しむのではなく周りの人たち、動物と歓びをシェアーする時と思います。そうすれば不思議、不思議、その歓びが倍になって戻ってくるのですから。
 
 

12/05/2014

エドワード.バッチセンター

友人と一緒にフラワーレメディのパイオニアであるエドワード.バッチが住んだ家で現在は教育センターになっているバッチセンターに行ってきました。ここは花の時期は訪問客が多いのですが、こんなに静かな時に行ったのは初めて。お客は私たちだけでした。庭仕事をしていた女性が笑顔で迎えてくれました。


 
 
 
 
 
 
ここはエドワード.バッチがその短い生涯の晩年を過ごした家です。玄関は閉まっていますが、閉館ではありません。玄関の呼び鈴を押して中に入れていただくシステムです。
 
「エドワード.バッチ博士は医学士、理学士、外科医、内科医、公衆衛生医、ホメオパスとして生涯を癒しの探求に捧げました。.... 博士(1886~1936)は、時代に先駆けた考えをもった医師でした。....若いころから、バッチ博士は人々の性格や心のあり方が健康状態に影響を与えていることに気づいていました。医学生としても、博士は患者の症状よりも患者個人に関心を向けており、早い時期から、病気においては人格(パーソナリティ)つまりどういう人であるかが症状より重要で、医学的な治療もその点が考慮されるべきと考えました。....1928年のある夕食会で、バッチ博士にはある考えがひらめきました。集まった人を眺めていて、そのゲストたちはいくつかのタイプに分けられるということに気付いたのです。このことから、タイプや性格によってそれぞれある特定な病気に対する反応の仕方をするという結論に達しました。.....1930年の春に、バッチ博士は43歳で自分の研究所や診療所を閉じ、自然の中にレメディを求めて、ウェールズを訪れました。早朝、露のおりた野原を歩いていた博士は、朝露は太陽の光で熱せられて植物の癒しの成分をとりこんでいるのだと思いつきました。このことからインスピレーションを得て、博士は清らかな水を使ってレメディを作る方法を開発しました。.....」
 
 
バッチ博士がコンサルタントルームとして使っていた部屋は、当時のまま残されています。彼の使ったタイプライター、自らの手で作ったひじか肘掛け椅子には相当使われた跡が残っています。
 

 
 
 
 
 
見学していると先ほど庭仕事をしていた女性が「お茶はいかがですか?」とラズベリーのお茶をお盆に載せてきてくださいました。
 
 
 
 
小さな家なので、見学できるお部屋は2部屋だけですが、バッチ博士の存在はそれだけでも十分伝わります。
 
 
 
 
 
 
 
 
「博士は、研究と講演を続け、研究を進めるために助手たちの訓練も行いました。38種類のレメディとレスキューレメディを開発した時点で、それ以上のレメディは必要ないということがわかりました。38種類のレメディは人間のあらゆる側面をカバーし、従って病気のもととなるネガティブな精神状態すべてに対応します。....」
 
この国ではエドワード.バッチが開発した38種類のレメディから作られたもののいくつかは、ほとんどの薬局、またほとんどの大きなスーパーマーケットで売られています。
 
私は、眠られない時や、翌日大事なことがある夜はレスキューナイトを常用しています。
 
 
 
 

日本でもエドワード.バッチ博士のレメディを研究している人、コンサルタントをしている人がいらっしゃるそうです。

「レメディは医学的な治療にとって代わるものではないということを、しっかり覚えておくことが大事です。.......レメディは単独で使うことも、医学的な治療やその他の療法と併用することもでき、薬との併用もその効果を妨げません。レメディは完全に安全で、副作用もありません。穏やかな作用をもち、年齢を問わず新生児からお年寄りまで安心して使うことができます。動物や植物も、レメディの恩恵を得られます....」

これを読んだ時、私は虐待されて人間への信頼を完全に失っていた犬のアンバーを飼っていました。すぐにアンバーのパーソナリティを知らせてレメディを処方してもらいましたが、それを試す前に亡くなってしまいました。

こうして友人と訪れたバッチセンターで再び大きなエネルギーをいただいたようにいい気分で帰路につきました。

上の括弧内の分は全てセンターでいただいた日本語の小さな本「38種のフラワーレメディ」から抜粋したものです。



12/04/2014

12月にイギリスに来る理由。

またまたアッという間に12月です。イギリスあちこちでクリスマスマーケットが開かれています。クリスマスマーケットと言えば何と言ってもドイツでしょう。では何故、この時期にイギリスに来る理由があるのか?という質問をよく受けます。私の答えは「それを話したら1時間かかりますが、いいですか?」つまり、私には、何故皆さんにこの時期が特別かを話せば1時間もかかるほど理由が沢山あるということです。

まず、クリスマスマーケットはリンカーンやバースが有名です。でも私はやはりロンドンのクリスマスマーケットが好きです。規模は小さいにしても年々出店の数は増えていますし、テムズ川沿いの景色は、夜はまた特別です。ロンドンアイの観覧車に乗るにしても、この辺りの夜が一番好きです。ビッグベンを見上げれば、正にピーターパンが塔の周りを飛び回っているかのように思えます。


 
 
焼き栗やホットドッグからクラフト(民芸品)に至るまで、川沿いのお店を全部一通り覗いてみます。
 
 
 
 
電気のカサもクリスマスの時だけはちょっと変えてみて、こんなのはどうでしょう?紙でできた星のカサは模様が凝っていてとても素敵です。
 
 
 
 
メリーゴーラウンドは、いつの世でも、どんなお祭りでも人気者。子供より大人が喜んでいるみたい。
 
 
 
 
ロイヤル.フェスティヴァルホールの外は紙のクリスマスツリーがとても素敵でした。
 
 
 
 
イギリスのクリスマスマーケットは、周りの雰囲気、景色がとても素敵です。バースではローマン浴場やバースアビーの教会を、リンカーンはリンカーン大聖堂を背景にクリスマスの雰囲気が溢れていて。
そして歩き疲れたら暖炉のあるパブでビールやワインを飲みながら暖かい食事をしたり。そして田舎であればホテルのラウンジでお茶を飲みながら歩き疲れた足を休ませます。
 
クリスマスマーケットは無いけれど....という小さな町や村でも夜はクリスマスムードがあちこちで漂っています。
 
 
 
 
 
 
上の写真はオックスフォードシャーにあるウッドストックの村です。世界遺産になっているモルバラ公爵のお屋敷ブレナム宮殿のあるところ。ここに泊まる日本人は少ないのですが、私はこういう村でこそ、一泊していただきたいと思っています。ロンドンの賑やかさとは打って変わって静かな夜の散歩を楽しみます。
 
12月、イギリスに来る理由のまとめは、「100年前の人と同じ気持ちでクリスマスムードを味わえる」ということになりますか。