7/26/2020

人間の親友

「犬は人間の一番の友」とはよく聞く言葉ですが、犬に限らずどんな動物でもそれは言えることだと思います。

私たち夫婦がイギリスで一番長くお付き合いをしているあるご夫妻は私たちが覚えている限り動物がいない生活はしたことがありません。家には必ず猫や犬、時にはウサギ、ギニーピッグ、亀まで飼っていました。そしてそれら全ては飼い主を探しているところを引き取った動物たちでした。

その友人夫妻はここ数年悲しいことが重なりました。まず何十年も飼っていた亀が亡くなり、ロックダウンの直前に2匹いた犬のうちの一匹が亡くなりました。それはご主人が退職前の最後の仕事でアメリカにいた最中のことでした。そしてロックダウンの最中に最後に残った高齢の犬が亡くなりました。動物のいない生活は経験したことがなく、しかも退職直後の犬たちとの生活を楽しみにしていた矢先のことでした。

そしてロックダウンが徐々に解除され、新しいレスキュー犬を探し始めました。まずレスキューセンターからスタッフがやってきて家のチェック。イギリスではレスキューセンターから動物を引き取る場合は、面接、その後家のチェックが(犬種に合う庭があるかどうか?庭の囲いは完ぺきかどうか?犬がひとりになる時間はどのくらいか?など)あります。

そしてやっとディズィーがやってきました。我が家のルビー、ジャスパーと同じラーチャー犬です。ラーチャー犬はグレイハウンドなど色々な犬種が混じった雑種ですが、何故かラーチャーという名前がついています。ディズィーはサルーキー犬の血も引いているのでルビーやジャスパーと少し違います。




もうひとりの友人もロックダウンの直前に愛犬をなくしました。田舎に住んでいる彼女はどこに行くにも愛犬を連れて行き、ほとんど24時間行動を共にしていました。しかもその犬は不思議なくらい友人の心が読める犬で、彼女にとっては正に体の一部だったのです。

その彼女のところにも新しい犬がやってきました。前の犬もラーチャー犬でしたが、今度の犬もラーチャー犬。名前はビーブです。




たまたま今回ご紹介した友人たちは、ラーチャー犬が好きな人たちですが、レスキュー犬は雑種を含めそれはそれは色々な犬種の犬がリホームされるのを待っています。統計によるとイギリスで飼われている犬たちの4分の1がレスキューされた犬だそうです。

ところでロックダウン直前に娘たちのところに疎開したジャスパーは、すっかり田舎に慣れて、完全にカントリーボーイになったようです。娘たちの2匹の愛犬ともうまくやっているようですし、まずは一安心です。今は、ジャスパーに再開する日を楽しみにする毎日です。







人間に接することが少ない今、特に動物たちに感謝です。

7/21/2020

ロックダウンで改めて知った自然と自分の関係

ロックダウンが始まったのはもう4か月前になります。それが徐々に解除され、もうすぐプールやジムがオープンされます。レスター市など感染者がいまだに多い町はロックダウンに逆戻りしたところもある中、コロナウィールスの予防接種開発を目指すオックスフォード大学が臨床実験をした結果、抗体が上昇することが確認されたというニュースも。まだ初期段階ではありますが、通常薬やワクチンはその安全性、効果が全て確認されてから生産にかかりますが、今回初めてすでに生産も開始されたそうです。

私たちの生活は4か月前とほとんど変わっていません。こんなに長い間、毎日同じことを繰り返す生活をしたのは初めてです。今まで、外出しない日が\続く生活は経験したことがありません。買い物にも4か月間で2度行ったきりです。でも外出はしなくても毎日の散歩が暮らしの楽しみになっています。今まで、全く時間を気にせずに散歩を毎日続けたことはありませんでした。あっという間の一時間。これを日に2回繰り返します。

ロックダウンが始まってすぐに満開になった桜は、サクランボになりました。ほとんどは鳥が食べてしまいましたが、少しだけ残っています。「ご馳走様!」とお裾分けをいただきます。





自然の中に身を置くことが今の私にとっては正に食糧です。同じ苗から育つのでも花によって、そして時間によって大きく姿を変えます。それぞれの花たちが正に息をしながら生きていることを感じています。何十年も満開のカウパセリの美しさに見とれていた私ですが、花が私たち人間と同じように息をしながら一刻一刻を生きているのがよくわかります。

























今はアザミも綿帽子に変わりつつあります。




そして、仕事にもいかず、町に出ることもせず、友人たちにも会わない生活など考えられないと思っていた自分の心境の変化に驚いています。「ほら、大丈夫じゃない!」といつも自分と会話しています。ロックダウンが完全に解除されて、予防接種も受けられるようになったら、やりたいことは沢山あります。でも、今のこの「じっと我慢」の暮らしは私に多くのことを教えてくれました。そして自由になっても自然からのエネルギーはもらい続けて暮らそうと思っています。

7/15/2020

ヴィクトリア朝時代の首相ベンジャミン・ディズラエリ

ユダヤ人社会を描いたドラマに夢中になっているとき、偶然にヴィクトリア時代の首相であったベンジャミン・ディズラエリに関する記事に出会いました。

彼はイタリアの裕福なユダヤ人家系の出身ですがイギリスで生まれ、家族全員でユダヤ教会に通っていました。ところがある時父がそのユダヤ教会と対立し、イングランド教会に行くようになります。それは大変珍しいことで、ディズラエリは12歳の時にキリスト教の洗礼を受けます。

12歳の子供にとって、この出来事に相当な戸惑いを感じたに違いありません。そしてその後の彼の一生を大きく変えました。作家としても有名だったディズラエリですが、法律家を目指したこともありました。そして結局は政治界に入ります。19世紀はイギリスでもユダヤ人差別があって、中ごろまではユダヤ人は議会で席を持つことさえ許されていなかったのです。人々のユダヤ人に対する反感も強く選挙では5回落選した後、ついに庶民院での席を獲得し、最後には首相にまで上り詰めました。




ヴィクトリア女王は最初はディズラエリには全く興味を示さず、初対面の印象については「変わったファッションの男」としか記録されていません。ところが、政治家としての手腕もさることながら話術にもたけていましたので、特に女性のファンが多かったようです。「もし女性に参政権があったら、もっと早く当選していただろう。」とある評論家が言っているくらいです。



その後、ヴィクトリア女王からの寵愛を受けるようになります。ディズラエリが住んだ家ヒューエンデン・マナーは現在はナショナルトラストが管理していて、私も過去2,3度行きました。







ディズラエリの最後が近づいたとき、ヴィクトリア女王に知らせるかどうかを聞かれたとき、彼は「いや、女王陛下は単にアルバート公へのメッセージを私に依頼されるだけだから。」(アルバート公はヴィクトリア女王最愛の夫で若くして亡くなった。)と言ったことは有名です。

ディズラエリのお葬式にはヴィクトリア女王はプリムローズのリースを送りました。(イギリスの君主は例外を除いてはお葬式には列席しないことになっています。)プリムローズは生前ディズラエリが最も好んだ花で、女王がウィンザー城やオズボーンハウスに滞在しているときに敷地内で摘んだプリムローズは時々ディズラエリに届けられていました。

ディズラエリの命日である4月19日はプリムローズデイとして知られています。

ヒューエンデン・マナーの敷地内にある教会のお墓には、妻ともうひとりの女性の名があって不思議に思っていましたが最近、その答えが解りました。友人であったセラ・ブリッジズ・ウィリアムズは夫を亡くした後ディズラエリと親しくなり、亡くなったあとは財産をディズラエリに残します。その条件が、ディズラエリ夫妻の近くに葬られることでした。こうしてほとんど生涯借金を抱えていたデイズラエリは晩年になってやっと借金から解放されました。




7/11/2020

ドラマに見るユダヤ人の世界

ここ3か月、ネットフリックスのチャンネルでドラマを見る機会がずいぶん増えました。それも今までほとんど出会うことがなかったキューバ、ブラジル、イスラエルなどの作品を多く見ていますが、知らなかった社会を見ることができて夢中になっています。

最初に出会ったのがユダヤ人社会を表した3本の連続ドラマです。一つは「アンオーソドックス(半伝統派)」というドラマで、お見合い結婚の相手との不幸せな結婚生活から逃れるためにニューヨークからベルリンに逃げた女性が、今までと全く違う人たちに出会うという内容です。





もうひとつは「シュティセル」というタイトルのドラマ。これはエルサレムに暮らすユダヤ人家族関係を描いたドラマで、伝統的な家族の絆を描いたドラマです。







もうひとつは「AD    A Kingdom and Empire (み国と帝国)」という連続ドラマです。

話はキリストの磔刑から始まり、その後使徒たちが身の危険をおかしながらキリスト教を伝道する様子を表したもので、実によくできていたと思うのですが、使徒のひとりピーターが危険な状態に面したところで突然ドラマは終わってしまいました。理由は、視聴者からの評判が悪かったからという理由ですが、どんな理由であれ、ああいう状態でずっと見ていたドラマが突然終了したことは許せない行為です! 『制作会社、配給会社は責任をもってある程度完結するまで番組を提供しなければならない。』という法律を作るべきです!






この3つのドラマによって、今まで知らなかったユダヤ教、ユダヤ人の人生、暮らし、考え方を少しだけ垣間見た気がします。

そんなとき、偶然にヴィクトリア時代の首相であったユダヤ人のベンジャミン・ディズラエリに関する記事に出会いました。このことに関しては次回のブログでお話しします。


7/04/2020

心はグラストンベリー

今週の月曜にロックダウン後初めて買い物に出ました。どうしても郵送しなければいけないものがあり、コンヴィニの中にある郵便局に行ったのですが、ついでに食糧の買い出しもしてきました。

お店に入る人数は限られているので、外で待つこと5分。写真はお店の前の看板です。こんなに長く買い物に行っていないと、お店の中にいる事自体が不思議な感覚でした。







ロックダウンも解除に向かい、今日からパブがオープンです。なんと朝6時から開いているそうですが、6時からお酒を飲む人はいないでしょうね。

さて、私も徐々に行動範囲を広げようと思っています。感染したら危険な人と一緒に住んでいるので、私は大丈夫でも万が一主人に感染したら・・・・・と思って大事をとっていました。これからも多く人が集まる場所にはしばらくは行かないようにしようと思います。

この3か月ほど規則正しく生活したこともなかったと思います。朝、夕方の散歩、ちょこっとだけの家事、料理やお菓子作り。その他大いに時間を使うのが映画、ドラマ、昔のラグビーマッチを見る事、そして今までお客様をご案内した場所に行くことです。行くと言ってももちろん写真でですが懐かしい場所がたくさんあって、その時にご一緒したお客様のことなどを思い出しながら費やす時間はとても楽しいものです。古いガイドブックを引っ張り出して読めば、自分が勘違いして解釈していたこともあり、また今の説と違うことが書かれていたり、発見が多いのも確か。

ここ一週間はグラストンベリーの町に凝っています。パワースポットとしても知られるこの町は歴史と伝説が同じように感じるから不思議です。聖書を引っ張り出したり、キリストの映画を見たり・・・・・近い将来再び訪れたい町のひとつです。