8/27/2015

これ何?

先日、ある田舎の村を歩いていたら郵便局件何でも屋さんの前にこんなものを見つけました。私は初めて見るものですが、主人はしきりに「すごい、すごい!」と感心。







実はこれは defibrillator というもので、帰って日本語を調べたら‘除細動器’となっていました。さっぱりわからなくて更にウィキペディアで調べたら下記の情報が載っていました。


除細動器(じょさいどうき、:Defibrillator)は、心室細動(VF)や心室頻拍(VT)などの不整脈に対し、電気的な刺激を与えることで「除細動(Defibrillation)」や「同期性通電(Cardioversion)」を行う医療機器のこと。

日本では、以前は医師看護師救急救命士のみに電気的除細動器を用いた「除細動」「指同期性通電」の実施が認められていたが、2002年11月に発生した高円宮憲仁親王の急逝が心室細動によるものであったことなどを受け、2004年7月、厚生労働省から「緊急性があり医師がいないなどの条件を満たした場合は、一般市民が除細動を実施しても医師法違反とはならない」旨の見解を示す通知が発出された。これは、心室細動では心停止から除細動を行うまでの時間が生命予後を決定するという研究結果を踏まえたものであり、事実上、一般市民へ除細動の実施が解禁されたこととなる。

この郵便局兼何でも屋は、全て村のボランティアで運営されているところ。中にはテーブルがひとつあってコーヒーとクロワッサンが食べられるようになっています。近くで挽かれた小麦粉やホームメードならずホルムズメード(ローカルの会社の名前のようです)のジャムなども売られています。





ボランティアだからか皆さん楽しそうに仕事をしています。それにしても営業時間を聞いてびっくり。週7日、朝は7時半から開店する日も。日本でさえ、日曜日に開いている郵便局なんてそうないでしょう。ましてや「働くのは最小限に」という雰囲気のイギリスで、こんなお店は初めて見ました。
 
 
 




明日、日本に帰ります。ブログはしばらくお休みしますが、10月5日に戻りますから日本からのお土産話に乞うご期待!イギリスは寒く、雨ばかりの日が続いていてコート無しでは歩けません。今年は実に変な夏です。

8/24/2015

南東イングランドを巡る旅。

土曜に帰国します。今回は健康管理のためのチェックです。別に悪いところはないのですが、この年になったらそろそろ人間ドックみたいなことも経験したほうがいいかな?と思って。そしてもう一つの理由はヴィーガン食のお披露目です。ヴィーガン料理に関しては、「ヴィーガンとは?」という疑問を持つ方にその意味を理解していただき、「ヴィーガン食もおいしい」ということを知っていただくことが目的です。

ヴィーガン宗教(そんな宗教があるのではないのですが)の伝道のつもりは全くありません。ただ、動物を傷つけず、環境、健康に良い食生活を考えると辿り着くのはヴィーガン食となりますので、皆さんにも毎日の食の一部に取り上げていただけたらという願いがあります。函館を拠点としますので、ヴィーガン食に興味のある方はご連絡ください。期日は決まっていませんが、「ヴィーガンの夕べ」も企画しています。(Long Walk  Tel;0138-87-0706)

今回はちょっと長い帰国になります。ロンドンに戻るのは10月5日。10月8日からワールドブリッジ社の‘南東イングランドを巡る旅7日間’が始まります。すでに催行人数に達していますので、ツアーは行われますが、まだ少し人数に余裕があるそうですので興味のある方は是非ご参加ください。

http://www.world-bridge.co.jp/unitedkingdom/2015_Southeast_England.pdf

ガーデンあり、ウォーキングあり、ウィリアム.モリスあり、名所観光あり....と、盛りだくさんのツアーですがワールドブリッジ社は無理な日程は作成されないので皆さんと時間を有効に使って、それでも‘急ぎ過ぎず’の私のいつものパターンでご案内するつもりです。毎年この時期はすでにワールドブリッジ社の他のツアーに参加された方々のために「ちょっとユニークな内容」のツアーが企画されます。昨年はアガサ.クリスティ縁の地を周るツアーでした。今回もホテルは担当の方々が入念に調査して決めてくださったホテルです。

日本は残暑でしょうか?どうか、どうか30度なんていう私には酷な気温に出会いませんように。出来たら25度までにとどめて欲しい.....寒いのは大丈夫ですから。

写真は今、コッツウォルズに咲くアジサイとジャパニーズ.アネモネ(シュウメイギク)です。そう、イギリスは秋を感じさせる気候です。


8/23/2015

パブリック.フットパスとナローボート

ウォーキングホリデーでBBに泊まった時のこと。朝食の場所で観光で来ていたアメリカ人夫妻と一緒になりました。「今日の予定は?」と聞かれ、「パブリック.フットパスを歩きます。」と応えました。当然、「パブリックフットパスって?」という質問です。

「パブリック.フットパスとは例えそこが私有地であっても、一般の人が自由に歩けるという道です。」

「私有地であっても?そんなことあり得ないじゃないですか?不法侵入で訴えられないの?」

「イギリスではあり得るのです。パブリック.フットパスに指定されているところなら歩いてもいいんですよ。」

何度説明しても彼らには信じてもらえませんでした。アメリカでそんなことをしたら不法侵入でピストルでズドン!とやられるかも?

最後に彼らの言ったことは、「一旦お金を出して土地を買った人の権利の方が、関係のない人たちの権利より守らなければいけないものでしょう。」

イギリスの土地はとてつもなく広い土地を貴族や王室など特定の少数の人が持っている場合が多いのです。そこを通らなければ回り道をして随分時間がかかります。イギリス人は歩く権利は、人間に許された最低限の権利であると信じていますから、土地所有者との間に妥協策としてできたのがパブリック.フットパスというわけです。

これと似たようなものに運河があります。歩くこととはちょっと違いますが移動の権利、レジャーのための特権と言えば共通点があるかも?産業革命の時に、工場で使う燃料や、生産された商品を運ぶのに馬を使っていたのでは大量に運べませんし、運搬時に壊れることもあります。ウェッジウッドの陶器などは、運河を使ってナローボートで運ぶことにより、破損が随分防げたために商品の値段も安くなりました。また、マンチェスターの石炭の価格も同じ理由で75%も安くなりました。







そのうちに列車が通るようになり、商品の運搬用としての運河はすたれていきます。ところが今度はレジャー用にナローボートを使いだし、ボランティアの人たちが運河の修理をしてナローボートを保存しました。そのうちに、公的機関も「うん?これはいいぞ。レジャーにナローボートを使えば地方の観光産業、飲食産業が栄える。」と、運河の保存に乗り出したというわけです。

そして今、ナローボートホリデーはイギリスにはなくてはならない産業のひとつになっています。

 
 
水門を利用して段差のある運河を進みます。







イギリス内を運河、川を利用して進める距離は何と3500キロ。パブリックフットパスに至っては地球を何周もする長さと言われています。国は小さくてもイギリス人が移動できる範囲は広いっ!







今までにナローボートを利用したお客様に何度かお会いしました。半分くらいの方が「退屈でどうしようもなかった。」とおっしゃいます。でも残りの半分の方はとても感動していらっしゃいました。ナローボートの最高時速は4マイル、6,4キロです。でもたいがいは5キロ以内で動いている気がします。ロンドンからバーミンガムまでは車で2時間。それがナローボートですと12日間で行けたと言えば、「随分スピードを出しましたね。」ということになります。

昔友人にMという、‘ナローボートマニアック’と呼ばれるほどの人がいました。運河に沈んでいるナローボートを引き上げて自分で修理して、リージェント公園の運河に置いて、時々友人を乗せてテムズ川上流の遊覧に誘っていました。時には、私たちのためにケータリングを入れてくれてナローボートの上でパーティもしてくれました。私にとっては初めてのテムズ川遊覧と言うこともあり、最高に贅沢な時を過ごしたことを覚えています。その時、初めてMの指導のもとでナローボートの舵をとる経験をしました。

いつも変わる景色、自分の家のようなくつろぎ、宿泊費がかからないという合理性をもったナローボートの旅はイギリスでしか味わえない経験です。そんな旅をする時にこそ、イギリス人が大切にしているものが何か、またその価値というものが理解できるのでしょう。

日本の方が案内されているナローボートの経験は下記のサイトをご覧ください。

http://www.narrowboatguide.co.uk/

8/21/2015

ありがとう。

仕事でマンチェスターに行く直前に主人からのメール。先日のブログでご紹介した You Tubeの画面を見て感動の気持ちを抱えながら仕事に行きました。それで一刻も早く一人でも多くの方に見ていただきたいと思い、ウェブアドレスのみ書いて家を出ました。

今までYou Tubeで色々感動をいただきました。今回のYou Tubeはダウン症の子供と犬のビデオです。「人生はいつも戦い。でも神は決して間違いをしない。」

この犬と子供さんは、私たちに実に多くの事をおしえてくれました。

最初に子供さんが犬に近づいていきます。
それを受け止めた犬が今度は子供さんに愛情を表した行動に出ます。
その行動にちょっと戸惑った子供さんが犬を押しのけて自分は後ずさりします。
でも犬はあきらめません。「きっと仲良しになれるから。」と言わんばかりに更に子供さんに迫っていきます。

そして最後には、子供さんが犬の愛情を受け入れて二人の間の壁は取り除かれます。

ビデオを撮影しているのはご両親ですが最後にちょっとだけ流れる笑いがとても微笑ましく、それと同時に深い愛情を感じます。

小さな時に動物からの、そして動物への愛情を知った人はラッキーだと思います。それからの人生に大きく影響するからです。

辛い時、悲しい時、生きていることがしんどくなる時、このビデオを思い出そうと思います。そうすればつらいことがあっても「生きること」って悪くないなーと思える気がします。


またまた3歳の子に教えられました。


8/18/2015

ふたつの美しい愛



https://www.youtube.com/watch?v=JA8VJh0UJtg&feature=share

8/12/2015

ブラックベリー泥棒?

ウィリアム.モリスのデザインに「いちご泥棒」というのがあります。モリスの住んだケルムスコット.マナーで、鳥がイチゴをつついているの見て考たデザインだそうです。モリスはイチゴを盗まれたからといって鳥を責めることなくじっと眺めていたのでしょうね、きっと。

一週間ほど前、主人が毎日犬の散歩で行く公園でブラックベリーをどっさり摘んで帰ってきました。ブラックベリーは、イギリスではよく道端の生垣に見られるもので、多くの公園にも沢山あります。この時期にウォーキングをすればブラックベリーをつまみながら歩くことも多く、帰る頃には舌が黒くなってしまうことも。






さあ、こんなにたくさんのブラックベリーをどうしたかと言いますと....


プロセッコに入れて。徐々にプロセッコがピンク色に変わってきます。

 
 
 
 
ジャムは時間がかかるので一応冷凍して後で作りましょう。残りはヴィーガンのケーキに入れました。ピーカンナッツを入れたクランブルを上にかぶせたケーキです。珍しいことに最初から大成功。ナッツとブラックベリーの組み合わせが絶妙です。



 

 
こうしているうちに昨日、また主人が腕にひっかき傷をたくさん作って(ブラックベリーにはとげがいっぱい)帰ってきました。

 
今度は「嬉しいっ!」という気持ちよりも、「こんなに摘んで大丈夫かな?」という気持ちの方が強くなり、「もしかしたら法に触れることをしているのでは?」なんて思ってしまいました。
 
 
今から20年近く前の事ですが、ウェールズのウェディングに出かけるお客様に同行するという仕事がありました。新郎新婦とその友人15名くらいのツアーです。正確にはおふたりはすでに入籍されていたので、ウェディングの代わりにBlessingという式が行われたということになります。すでに結婚したカップルに「神のお恵みがあるように」と牧師さんが祝福してくださいました(Blessing)。
 
式場に向かう途中の道端にヤナギランが綺麗に咲いていました。どこにでもあるお花です。友人のおひとりが「そうだっ!ブーケを作ろう!」と提案してくださって、バスを停めて皆でヤナギランを摘みました。
 
その後で、「イギリスでは野生の花を摘んではいけない。」と聞きました。それ以来、ずっと後ろめたい気持ちを持っていたのです。
 
ヤナギランを摘んではいけないということはブラックベリーも摘んではいけないのでは?
 
そう思ったら主人が泥棒に思えてきて、ついでに私も罪の意識を大きく感じるようになりました。プロセッコ、ケーキどころではありません。それで、色々調べてみました。だって、公園で栗拾いやブラックベリーを摘んでいる人は沢山います。その人たちは皆泥棒?
 
いくら調べてもはっきり「ブラックベリーを摘んではいけない。」という法律が見つかりません。最終的には以下のことがわかりました。
 
*公の土地では個人が使う分の野生の花や果物、きのこ類は取ってもかまわない。
 ただし、公園など都道府県や公的機関が管理している場所に植えられているもの(栽培されたもの)は取ってはいけない。(植えられたものか野生の物かは自分で判断しなければいけません。)

*いずれの場合も土から根こそぎ取ってはいけない。
 
*野生でもadder's tongue や、lady's slipper orchidのように絶滅の危機があり、保護しなければいけないものは取ってはいけない。
 
*公的な土地で野生の花を摘む場合は商業用に使ってはいけない。(ジャムを売ったりするために摘むのは違反ということ)
 
*個人の土地では取ってはいけない。ただし、土地所有者はブラックベリー一個くらい取られただけで告訴できない。
 
こういうのも見つかりました。「個人用でも他の人、野生の動物が楽しめなくなるほど沢山取ってはいけない。」
 
結局ほとんどの情報の最後の答えはこの国のいつものクセで、「常識をもって個人が判断する。」ということみたいです。これが日本人の私には困ったことで、「常識はそろぞれ違う」と思ってしまうのです。ボールに2個分も摘んできた主人は、他の人や野鳥が食べられるほど十分公園に残してきたかしら?それともやっぱり主人はブラックベリー泥棒でしょうか?
 
 

 
 

8/10/2015

猫の写真集

友人でカメラマンの安彦幸枝さんが9月に猫の写真集を出版されることになりました。彼女とはJALの機内誌‘SKYWARD’の取材で過去2回ほど私が特集のためにコーディネートさせていただご縁で、お付き合い続けています。彼女は仕事で訪れた世界中の国の犬猫を撮影していますが、今回はご実家の庭にやってくる「庭猫」の写真集です。

動物という共通の興味があって話が弾んだのですが、彼女のお人柄にすっかり魅了されてしまいました。

もうひとつ不思議なご縁を感じることがあります。彼女の親友が函館在住で、なんと私の高校時代のクラスメートの御嬢さんでした。そのために函館にも時々いらっしゃるそうです。今月半ばにまた函館を訪れるそうですが、私と入れ違いです。残念。

彼女の動物の写真は、それぞれの性格、特徴を捉えた素晴らしい写真です。出版に先駆け、写真日記を始められましたので是非ご覧ください。

http://www.pie.co.jp/citi60/niwaneko/niwaneko_c.html



 下は、今年初めに「王室御用達特集」でご一緒した際に私が写したもの。右はライターの田代いたるさんです。
 
 
 
 
9月の出版が待ち遠しいです。

8/06/2015

Forgiving, but not forgetting.

今年は第二次世界大戦が終了してから70周年の年に当たり、新聞やテレビで戦争のことが多く取り上げられています。ドイツ軍の空襲で焼け野原になったロンドンの様子、疎開に行く小学生になるかならないかの小さな子供たち、戦場で負傷した兵士.....それらの画像は私たちに戦争は繰り返してはいけないことをおしえてくれます。

でも、広島、長崎の原爆投下ほど戦争の悲惨さをおしえてくれるものはありません。そして今日8月6日が広島で原爆が落とされた日でした。イギリスのテレビや新聞でも取り上げています。

下の写真はテレグラフ紙のものです。一面に原爆直後の写真と記事が載っていました。「まるで幽霊の群を見ているようだった.....」




マイクで話している女性はユキコ ナカブシさんと言う方です。幼稚園に着いた直後に原爆が投下され、お母様はおお火傷をしたにも拘わらず家に戻り、娘さんが無事だったことがわかると気を失ってしまったそうです。その他、記事の内容は被ばくされた方々の様子が書かれています。


‘NHKワールド(NHK海外向けチャンネル)’に出演されたケイコ オオバヤシさんのインタビューにも心を打たれました。彼女もやはり被ばくされ、ご家族や友人を亡くされました。ですから原爆を落とした兵士ロバート.ルイス氏を憎み続けてきたそうです。ところがアメリカでルイス氏に会った時、涙ながらに「我々はなんということをしてしまったのか」と言われ、彼も被害者であったことを知った瞬間に憎しみは消えたと語っています。彼女は英語が堪能で、今外国人に向けて原爆の悲惨さを訴えています。

彼女のインタビューの際にForgiving, but not forgettingというタイトルが出ました。憎むということがいかに大きな力になるか.....でもそれはネガティヴな力であり、そこからは解決は見出せません。

慰霊式に臨んだ阿部首相のスピーチもまた世界中の人が注目していたことでしょう。「日本は唯一の戦争被爆国です。現実的で実践的な取り組みを通して核兵器のない世界を実現するように大事な使命をもっています。核兵器の非人道さを世界に広めていく義務があります。」

福島の原発事故の経験も合わせて、日本がこれから世界に向けて発信していかなければいけないことが何かを改めて考えさせられます。



8/05/2015

観光の途中でちょっと足を延ばして....

それは大昔の事。JALの機内誌にもなっていた雑誌‘英国’で私は「イギリスの小さな村」の連載を執筆していました。この国に住み始めた途端に田舎の小さな村の虜になってしまった私は、その連載のネタ探しのためにイングランドの村をあちこち回りました。そして初めてわかったことは、「私にとっての美しい村とはそこに単に古い建物が多く残っているとか、建物の調整が取れているとかだけでは意味が無く、そこに暮らす人たちの強いコミュニティ精神があってこそ、その村の魅力が理解できる。」ということでした。そして連載の内容も必然的に、単に場所だけではなくそこに暮らす人々に焦点を当てたものになってきました。

その連載で初めて取材した村はシアーという村で、村の婦人会のことを書きました。ご高齢にもかかわらず、しっかりした団結精神を持って村の存在のために活動しているご婦人たちの様子です。魅力的でした。皆さんが本当に輝いて見えました。私には初めての取材でもあり、その時のことはよく覚えています。そしてもうひとつ印象深かった村が、今回ご紹介するビデンデン(Biddenden)です。

先日、お客様をシシングハースト.カースルの庭、ライの町などにご案内した際に立ち寄ってとても懐かしく思いました。そしてあの時からちっとも変っていない町の雰囲気に小さな感動をおぼえました。ご一緒したお客様は母娘さんで、とても素敵なおふたりであったこともこの村にご案内した理由かもしれません。彼女たちだったらきっとこの村の美しさを感じていただけると思ったからです。








連載の取材で初めてビデンデンでお会いしたのが上の写真の奥にあるオールセインツ教会の(ほとんどの部分は1200年代に建てられた)牧師さんでした。たしかロジャーさんというお名前だったと記憶しています。ちょうど村祭りの準備をしているところでお忙しいにも拘わらずゆっくり時間をかけて取材に応じてくださったのを覚えています。お話から村祭りとは、教会を保存していくためには欠かせない行事であること、村祭りの他モーニングコーヒーなどを住民の家で行なって募金を募ることなどを知りました。

その頃ビデンデンでは村祭りの一環として「10ポンド基金」なるものを行っていました。まず村人に教会から10ポンドが手渡されます。あるご婦人はそれでフルーツと砂糖を買い、ジャムを作りました。それを村祭りで売れば10ポンドが15ポンドくらいになります。では牧師さんは何をしたかと言いますと、「私はジャム作りなどできませんから10ポンドでガソリンを買いました。ご承知のようにこの村には駅がありません。バスもたまにしか来ません。ですから村祭りに来て下さる方を隣町の駅までお迎えして村までお連れするのです。」えっ? タクシーの運転手さん? ちょっと待って。ライセンスは? 営業用の保険は? そこで考えました。牧師さんがライセンスを持っていないことはお客さんは当然承知のはず。お金を請求しないでドネーションとすれば法に触れないのかもしれません。


村の入り口に立つ看板には‘ビデンデンの乙女’と呼ばれるメアリー&エライザ.チャルクハーストが見えます。






彼女たちは1100年に生まれたとされていますが肩と腰がつながっていました。裕福であった彼女たちが34歳で亡くなった時には遺書によりビデンデン付近の5つの土地が教会に寄付されました。そして更に遺書により土地からの収益金はその後毎年イースター時に村の貧しい人にビール、チーズ、パンを支給することに使われ、この土地はその後「パンとチーズの土地」と呼ばれるようになりました。

このチャリテは長年の間に他のチャリティと合併しましたが伝統は守られていて、今でも毎年イースターにはお年寄り、未亡人に紅茶、チーズ、パンが贈られるとか。今では一般のひとも買えるそうです。


村を歩いているとステンドグラスや民家のブラインドにメアリーとエライザが....
 
 
 
 
 
ビデンデンといえば近くにあるビデンデンワイナリー(ワインの他には特にりんご酒が有名)は知られていますがワイナリーを訪れる際は是非村にも足を延ばしてください。パブ、ティーショップも人気です。そして歩道を歩く時は立ち止まって下の石を見てください。近くで採れた石を使っていますが貝の化石が沢山見られます。
 
ウィリアム.モリスの言葉にもあります。「....もし仮に人々が5分も歩けば田舎に行けるような、そして庭や緑に囲まれた小さなコミュニティで暮らし.....本当に自分にとって大切なものが何であるかを悟った時、その時にこそ、真の文明と言うものが始まったと言えるのではないだろうか。」

同じ気持ちを持った人たちとコミュニティ精神で自分たちの住んでいるところを守っていくこと......そんな田舎暮らしができたらどんなに素敵でしょう!

8/03/2015

ハムステッド.ティールーム


最近よく言われること。
「単に観光だけではなく、イギリスの文化、生活、最近の話題.....何でもおしえてください。」

個人のお客様をご案内する際にはまず、興味のあること、経験してみたいことをおききします。毎日のニュースでは日本で報道されていないことでも、イギリスだから起こる事件や出来事がありますので、そんなことに興味を示してくださる方も多いのです。

「イギリスの事は何でも知りたい。」という熱心なお客様も沢山いらっしゃいます。または「とにかくいっぱい自然に触れたいです。」とか、「‘ダウントンアビー’のような暮らしを覗いてみたい。」とか、「昔の民家に興味がある。」とか。

先日までご案内した方は仙台のハムステッド.ティールームHampstead Tea Roomを経営されているHさんご一家でした。奥様は本当に研究熱心で、お客様においしいものを提供したいという一心で、今までもツアーで数回ご案内させていただきましたが今回は、陰で彼女を支えるご主人と御嬢さんの3人と5日間ご一緒させていただきました。

まず食べものなら是非メアリーに会っていただきたいと初日にご案内。

ウーン、やっぱりメアリーのケーキはおいしい!16世紀のレシピーを使って作ってくれたチーズ.タートレット(奥にあるもの)他、メアリーなりに考えた‘グラスミアのジンジャーブレッド(グラスミアで売られているものは秘密のレシピで作り方は誰にもわかりません)’など。


 





メアリーはHさんのために庭のラベンダーを摘んで束にしてくれました。ご一緒した4日間はHさんはバッグの端につけて大事に。まるでお守りみたいでした。
 
 
 
 
スコーンの試食も何度したでしょう!そのたびにそれぞれがどのようにして作られたかを真剣に分析します。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
レイコックにある‘キングジョンのハンティングロッジ’でいただいたウェルッシュ.レアビットは(ここではウィルトシャーレアビットになっていましたが)食パンの代わりにミニティーケーキのようなものが使われていて変わっていました。
 
 
 
 
 
 
食べることばかりではありません。ご主人と御嬢さんがお買い物を楽しんでいらっしゃる間にじっくりスーパーで調査です。最近テスコが特に力を入れているのがFree Fromブランドです。グル―テンを使わない商品や動物性原料を使っていない商品、乳製品を使っていない商品、ナッツを含まない商品......
 
 
 
 
 
 
最近の傾向は、特に原材料に凝った品が出回るようになったと感じています。単に安いだけでは売れなくなってきたのでしょう。体に良いものに消費者の目がいくようになった証拠?それぞれのスーパーでは来そって最近の需要に合わせた食品を新発売しています。ポテトチップもだいぶ変わってきて高級品が出回っていますし、オヴンにただ入れるだけでOKというもの(料理がすでに出来上がっている)なども添加物、防腐剤他、人工的な着色剤や味付けを使わないものが多くなっています。
 
 
もちろん観光もしっかりしました。御嬢さんのKさんがイングリッシュガーデンに興味を持っていらっしゃっるので、風景ガーデンの最たるものが見られ、世界遺産にもなっているブレナム宮殿にもご案内しました。
 
 
 

 
 
 
ここでは昔の同僚であるMr.Teruiにばったりお会いしました。今ではブレナム宮殿の社員として活躍される彼から、ガイドブックには載っていないおもしろいお話をお聞きしました。ブレナム宮殿に特に興味のある方は、是非彼を予約してみてはいかがでしょう。ガイドとしても抜群のおもしろさです。
 
ストラットフォード.アポン.エイヴォンと言えばシェイクスピアですが、その他に私がご案内したいところがもうひとつあります。それは「蝶々の家」。
 
 
 
 
 
 
「てっきり蝶々の標本と思っていました。」とおっしゃるご主人。いいえ、蝶々が飛んでいる家です。見えますか?
 
 
 
 
 
 
 



透き通った羽をもつこの美しい蝶々はたしかグラス.バタフライっていう名だったという記憶が。
 





Kさんも写真撮影に熱心です。




 
 
もちろんカントリーサイドのウォーキングも欠かせません。バイブリー、ブロードウェイ附近のパブリック.フットパスを使って思いっきり自然を満喫しました。
 
 
 
 




 
 
 
 


 
 
 
5日間ご一緒していると、個人的なこともお話ししてしまいます。私の夢は日本の方々にもっともっとヴィーガンの食事を知っていただきたいこと。今回のお客様もヴィーガンに興味を持っていらっしゃったので、食事もヴェジタリアン、ヴィーガンなど色々試されました。下の写真はパブで前菜に食べた‘ヴェジタリアン.デリ’で、手前にあるのがナスで作ったキャビアです。そういえばブツブツがキャビアに似ていました。でもキャビアより美味しい!
 
 
 
 
 
帰国されてすぐにメールをいただきました。「イギリスに行く前よりもっと仕事が楽しくなりました。」私にとってはこれほどうれしい言葉はありません。とにかくお客様においしいものを提供したいという一心で頑張って来られたHさんですが、一生懸命だけではなく‘楽しむ’ということの大切さを見つけていただけたようです。
 
これからイギリスで味わったヴィーガン食をハムステッド.ティールームでも提供してくださるそうで、大いに楽しみです。いつか必ず寄せていただきます。今回の成果は近いうちにティールームでご披露されることでしょう。お近くにいらっしゃったら是非皆さんも。私もまた楽しみがひとつ増えました。
 
 
 



8/02/2015

林敦子さんがシャングリラのイベントに出演。

マーマレードに興味のある方にお知らせです。今年の3月のブログ(9日と19日)でもご紹介し、デイルメインのマーマレードコンテストに入賞した林敦子さんが東京のシャングリラホテルのアフタヌーンティのイベントに出演されることになりました。


http://www.shangri-la.com/jp/tokyo/shangrila/dining/offers/details/shangri-la-ballroom-afternoon-teatime-concert/


彼女が何年かかって今回入賞したマーマレードを完成したかを知っていますので、その努力が認められて私も感激しています。早速メアリーにも報告したいと思います。



 
 
敦子さんのこれからの将来が益々楽しみになってきました。
 
 
 
*7月23日のブログのクイズの答えは‘ラヴィオリを作る時に使う棒’でした。遅くなってごめんなさい。