3/28/2017

桜は桜。

イギリスでは3月に入ると、桜のような花があちこちで咲き始めます。でも樹皮を見ればあきらかに桜とは違います。その中にはプラムやアーモンドの木も含まれます。アーモンドは気候のせいで実はなりませんが、プラムはオーナメント用の物と実をつけるものとがあります。











3月初め、お客様をご案内していますと「あれは桜ですか?」とよく聞かれます。「違います」と答えると当然、「では何の木ですか?」という質問が続きます。毎年、毎年同じ質問を受けるのに、胸をはって言える答えはありません。何故なら桜に似た木が実に沢山あって、全て覚えることはできないからです。でも桜ではないことは樹皮を見ればわかります。そこでいつもの私の答えは「桜ではありませんが、プルーナスに属する木です。」。?????別にこう言って逃げるわけではないのですが、他に正確な答えが出てきません。

このプルーナス(またはプルヌス)は400種類以上あると言われ、桜もプルーナス、プラムもアーモンドもプルーナスに属します。ですから桜はプルーナスであっても、プルーナスは桜ではないということになります。

まあ、そんなことはどっちでもいいのですが、桜と言えば日本の桜は世界中で有名ですね。ロンドンは、今その桜が満開です。






イギリスでもキューガーデンやアニックガーデンなど日本の桜が見られるガーデンが沢山あります。でも日本のように桜の木の下で宴会というものはありません。

今朝、日本の妹から「東京にお花見に行って来ます。」と知らせがありました。東京にお花見?そうですね、実は私が東京で感動したのは夜中に行った青山墓地でのお花見でした。見かける人もいないし、素晴らしく綺麗でした。でもでも函館の五稜郭公園や函館公園の桜も見事ですよ!

この時期、またまたホームシックです。

3/26/2017

イギリス人魂

EUの基盤となったローマ条約調印からちょうど60周年にあたる昨日、ロンドン他イギリス各地でブレグジットに関しての集会、デモが行われました。イラク戦争反対デモ以来最大規模と言われる今回のデモは、秒読み開始となったイギリスのEU離脱通告に際して、最後に離脱反対派の声を強調したいという趣旨のもとに行われたものでした。

EU離脱と決まってから「はい、そうですか。ではこれからはEUとは関係ありません。」という単純なものではなく、お互いに(EUとイギリス)に有利な条件で関係を続けるための交渉というやっかいな仕事が残っているのです。テレサ.メイ首相にしてみれば、これからが腕の見せどころ。これからのイギリスの将来が大きく彼女の肩にのしかかっています。

集会は国会議事堂前の広場で行われました。まず3日前に、そこから100メートルほど離れたところで起きたテロj事件で犠牲になった方々への黙とうから始まりました。

私が驚いたのは、そんな事件があったにも関わらず大勢の人がこのデモに参加していたことです。この場所で、こんなに多くの人を見たのは私にとっては初めての経験でした。









ここから2,3分くらい歩いて事件現場に行ってみました。そこは集会とは反対に厳粛な空気が流れていました。
 
 
 
 
 
 
正にテロ行為に屈しないイギリス人魂を見せつけられた思いでした。
 
 
 
 
 

3/24/2017

デイルメインのマーマレード祭り

今年12周年を迎えたデイルメインのマーマレード祭りに行って来ました。今年はふたつのグループのご案内です。

まず最初は5名のグループです。マーマレード祭りに行く前にデンマンカレッジに泊まり込み、料理教室でケーキ、タルト、ビスケットやパンを学びました。














デンマンカレッジの後はちょっとだけコッツウォルズの観光をしながら次の宿泊所に向かいます。田舎のパブでもお食事したかったのですが、それから3日分の食料の買い出しもしなければならず...残念ながらパス。






先を急ぎます。

この後の3泊の宿泊先はコッツウォルズのセルフケータリングです。キッチン付ですので、皆さんで朝晩にマーマレードやヴィーガン料理を作りました。ツアー終了後にいただいたメールの中に「まるで合宿みたいでした。」と。正にその通りで、学生に戻って楽しい毎日でした。






日中は個人宅でケーキやスコーンのレッスンを受けアフタヌーンティで腕前を発揮。






その後グループは専用車で観光しながらマーマレード祭りが行われるペンリスへ。私は一旦皆さんとお別れしてからロンドンに戻り後半の仕事です。


かれこれ10年以上ほとんど毎年ご案内させていただいている林敦子さんは一昨年はマーマレード祭りのコンテストのアマチュアの部門でゴールド賞を獲得されて以来、昨年から‘English Kitchen’の名前で「アーティザンー職人」の部門に移行。今年はゴールド賞を3つ獲得されました。








驚いたのは日本人の出展者、受賞者が多かったことです。一昨年は2名、昨年はたしか5,6名だったのではないでしょうか?ところが今回は授賞式に日本人の名が並んでいました。会場でも日本からいらっしゃった受賞者にお会いして話もはずみました。これから日本でもマーマレードが注目されてくると思うと楽しい気分になります。日本にもいろいろな柑橘類がありますものね。いつか「イギリスのマーマレード」に並んで「日本のマーマレード」と言われるようになることを期待します。試食もしましたがその可能性は十分あると思うくらい美味しかったです。

 
敦子さんがイギリスにいらっしゃってまず訪問するのはいつもメアリーの家。彼女に今回の受賞の報告をした後、早速味見をしていただきます。実は敦子さんのマーマレードも私のマーマレードも基本はメアリーのレシピなのです。
 
 
 
 
 
 
 
メアリーのところには前半のツアーでも訪れて、仙台ハムステッドティールームを経営されているHさんは自家製のマーマレードをメアリーに評価していただきました。メアリーの感想は「これだったらマーマレードコンテストにも十分出展できますね。おいしい!」。
 
 
 
 
3月17日の夜はデイルメインの館で職人部門の授賞式です。
 
 
 
 
翌土曜の朝はアマチュアの部門の授賞式。近くの小学校の子供たちが歌う「マーマレードの歌」は毎年人気があります。

 
 
 
女の子の髪にはマーマレードに合わせた色のリボンが。
 
 
 
 
そう言えばここでも、そしてデイルメインの館に近いペンリスの町のお祭りにもマーマレードの姿の人を沢山見かけました。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
お店も。
 
 
 
 
 
 
 
 
職人が出展したマーマレードの中には無料で試食できるものがあり訪問者にとっては楽しみにしいるもののひとつです。「ウン?これマーマレード」というものから、あまりにおいしくて数回戻って味見?したものもあります。沢山あって、もちろん全て試すのは無理。
 
 
 
 
毎年審査官としてWomen's Institute (デンマン.カレッジを運営するWI)から派遣されるドリーンさんに試食をしていただき意見をうかがう敦子さん。「ほとんどパーフェクト!」と言われ感動!やっぱりゴールドを取っただけあります。
 
 
 
 
ところで今年職人部門のBest in Showに輝いたのはオーストラリアからいらっしゃったドクター.シャクルトンでした。今年の出展したマーマレードは3000を超えたという話もありますから、彼のマーマレードは特別の特別です。
 
 
 
 
実は彼のマーマレードはデイルメインに数十個寄付され、それをひとびん20ポンドで販売していました。20ポンドのマーマレードなんて食べたことはなく、敦子さんが買われたものをその日泊まった宿で試食しました。ウーン、なるほどー.....と思う味。さすがでした。この20ポンドは全てカンブリアにあるホスピスに寄付されますので納得。20ポンドの価値があると思う人が買うのですから。マーマレード作りに日々をかける敦子さんには十分価値のあるものだったようです。(因みに、このマーマレード祭りの収益は全てチャリティに寄付されます。)
 
 
 
 
アマチュアの部門で優勝した方のマーマレードはフォートナム&メイソンから販売されています。ロンドンでも入手可能。このマーマレードは、私も買いました。トリークル入りのマーマレードです.....ですが、帰宅途中で失くしてしまったようです。写真をお見せできず残念。

 
 
今回は荷物も多かったので、行き帰り関連関係の場所に宿泊しながら敦子さん、そして彼女のお母様と車でペンリスまで行きましたが、宿泊先でも車の中でもどうしてもおしゃべりの内容はマーマレードです。妥協を許さず、自分だけのマーマレードを必死になって作ろうと頑張る敦子さんを見てBest in Showの夢も遠くないと感じました。彼女のマーマレードは在庫がある限りネットで買えます。 englishkitchen.blog.fc2.com/
 
*一昨日ロンドンで車両暴走、警官刺殺のテロ行為がありました。犠牲になられた方々のご冥福をお祈りします。ロンドン市民の多くは首相の言葉通り、「いつもと変わらない生活」を誓っています。
 
Be alert, but continue life as normal. テロ行為に対する唯一の防衛手段かもしれません。テロリストによって人々の生活が変わってしまうことは正に彼らのおもうツボです。
 


3/09/2017

マーマレードの仕事

明後日からマーマレード関係の仕事に出かけます。湖水地方のペンリス町近辺で開催されるマーマレード祭りに参加される方々とご一緒して20日に戻ります。前半の5名の方々はデンマン.カレッジや個人宅でベーキングレッスンに参加されたり、実際にマーマレード作りを経験したりします。後半の仕事は一昨年、昨年とマーマレードコンテストでゴールド賞を取得された林敦子さんとご一緒します。もちろん今年も彼女は新しい種類のマーマレードでコンテストに挑戦です。果たして今年の成果は?

 
去年、アマチュア、職人の部門の両方でゴールド賞を受賞した林敦子さん。
 
 
 
 
 
実はこの日、NHKのテレビの取材班がデイルメイン邸のドキュメンタリー番組の撮影を行なっていました。敦子さんと私が受賞式の前にデイルメイン邸のオーナーであり、マーマレードコンテストの主催者であるジェイン.ハセル.マッコッシュ夫人と話をしていたところを撮影されたようです。そしてその番組が放映された直後に数人のお客様からメールをいただきました。
 
「見ましたよ。後ろ姿だけだったけど、すぐに由美子さんとわかりました。」と.....後ろ姿で私だってわかる? よほど目立つ後ろ姿だったのかしら? 喜んでいいのかな? でもメールをいただいて嬉しかったです。
 
マーマレード祭りは今年で確か12年目だったと思います。毎年規模が大きくなってきます。考えてみれば「オレンジマーマレードと言えばイギリス!」なのに、そのお祭りが12年前までなかったことが不思議です。では行って来ます!


3/05/2017

20万人のデモ

イギリスの誇りのひとつはNHS(国民保険サービス National Health Service)、つまり日本でも知られた「ゆりかごから墓場まで」という医療制度です。1948年に発足、基本的には治療、リハビリ、出産などほとんどの医療費は無料という保険制度です。(歯科、眼下、薬の処方は有料)

ロンドンオリンピックのオープニングのセレモニーの際にもイギリスを紹介する出しものがNHSで締めくくられたことはまだ記憶に新しいことです。この国に住んでいて一番安心なのは全ての人が(そう、日本からの訪問者も緊急事態の場合は無料で治療が受けられます。ただし、治療が長引く場合は有料)、NHSを利用できることです。なんと素晴らしいことでしょう!

ところが最近、NHSに危機が訪れています。医療に関してもBrexitの影響がこれからだんだん表面化されてくることでしょう。そこで昨日、経費の節減から始まる病院の閉鎖、人員不足、民営化に抗議するデモがロンドンで行われました。率いたのは労働党主のジェレミー.コービン。現保守党政府に物申すというわけです。国中から参加した人の数はなんと20万人を超えたとか。中には地域の病院閉鎖に抗議するために90人の人を動員して遠くデヴォン州から参加した人もいました。
 


 
 
 
 
 

犬も一緒に。

 
 
「ぼくもNHSで生まれました」という赤ちゃんも疲れ切って、ティーショップで一休み。
 

 



イギリスの誇りであるNHSをイギリスからなくすことは何としても避けなければいけません。