12/31/2015

今年もお世話になりました。

先日、友人のところに行く時に道端に水仙の群れを見つけました。いつもより1か月は早い水仙です。「今年のブログの締めはこれにしよう!」と帰りに写真を撮ろうと思っていました。でもイギリスの冬の夜は4時に始まることを忘れていました。最近、写真と撮り損ねが多いなー。

それで、代わりにこの写真です。
 
 
 
 
昨日が私の仕事納め。ご家族4名をコッツウォルズ、チルタンにご案内しました。家族旅行はいいものですねー。中の良いご家族に出会うと私の心もポッと温かくなります。
 
ところがこの日は風の強い日で、細い道を運転していると真ん中に気が倒れていて先に行けません。向こう側に停まっている赤い車は一体何を待っているのでしょう?私たちは、「時間がもったいない!」とすぐに引き換えして違う道で次の場所に向かいました。
 
さて、イギリスでは洪水の被害が続出です。スコットランド、湖水地方など北に住んでいる方たちはクリスマスなのに洪水で水浸しになった部屋の中で呆然としていました。その上、雨はこれからも続くということで、本当にお気の毒です。
 
どうか一日も早く復興作業を終えて、新年を迎えていただきたいものです。
 
2015年も残すところあと9時間半となりました。日本では30分ですね。もうすぐ日本では除夜の鐘がなるのかと思うと、いつものごとく日本のお正月がとても懐かしくなります。今日はロンドンのビッグベンの近く、テムズ川沿いで花火が上がります。でも私にはやはり大晦日は除夜の鐘に限ります。
 
 

12/28/2015

本当は12日間続くクリスマスのお祝い。

みなさんはクリスマスをどう過ごされましたか?日本の伝統ではお正月が大切ですから、そのために心身ともに準備期間といった方が多いかもしれませんね。

イギリスでは25、26日が仕事、お店、博物館などが休みの日ですが28日ともなりますとほとんど正常に戻っています。我が家では息子家族に加え、初めて日本から妹が参加して賑やかなクリスマスになりました。そして昨日、息子家族も妹も帰ってしまって急に静かになり、なんだか別の家にいるようです。


 
 
でも本当はクリスマスから12日間はお祭り期間。つまりそれは1月5日まで続くということ。最後の日にはクリスマスツリーなどの飾りを全て取り払います。シェイクスピアの「十二夜」はクリスマス最後の日の娯楽として書かれたと言われていますし、The Twelve Days of Christmasは18世紀の詩に20世紀初め、曲をつけたもので今ではクリスマスには欠かせない歌になっています。(https://www.youtube.com/watch?v=oyEyMjdD2uk で聴いてみてください。) 12日間毎日贈られるプレゼントを歌ったものです。

でも今では12日間もお祭りが続いたら、世界が止まってしまうかもしれませんね。益々忙しい時代になっていますから。

我が家のクリスマスは去年までは七面鳥などの鳥をローストしたものと、ヴィーガン用のナッツローフを両方作っていましたが、今年からは完全ヴィーガンクリスマスディナーにしました。スターターからメイン(お肉なしのビーフウェリントン)、デザートまで全てヴィーガンです。(食べるのに忙しく、写真を撮り損ねてしまいました)

その準備をしていたクリスマスイブの日、カナダにいる娘からヴィーガン/ロー(vegan/raw)のケーキが届きました。完全菜食に加え、加熱することなしに作られたケーキです。

今はインターネットの時代。世界中どこにいても生のプレゼントが送れる時代になりました。(と言っても、パソコン自体が苦手な私には大変な苦労ですが)娘はカナダからイギリスの業者に注文して届けてもらったようです。


 
チョコレート、ライム、パッションフルーツ、ココナッツなどの色々なケーキが並びます。
 
 



ここ数年は主人も80%はヴィーガン食を食べています。昨日は友人にヴィーガンのランチによばれ、今日はヴェジタリアンディナーによばれています。そうしたら私のクリスマスもほぼ終わりです。日本の方には及びませんが、明日からおせち料理の準備にかかろうと思います。




12/23/2015

メリークリスマス !!!


メリークリスマス !


 
 
今までにない暖かなクリスマスを迎えようとしています。この時期になると、25日はホワイトクリスマスになるかどうかが人々の興味のあるところなのですが、今年は誰も雪が降るかもしれないなんて思ってもいません。そんなわけで、ちょっといつもと雰囲気が違うかも?人間は勝手なもので、凍えそうに寒いクリスマスだと「寒すぎる!」と文句を言い、暖かいと「クリスマスの感じがしない。」とまたまたぼやきます。

 
教会ではイエスの生まれた厩のデコレーションが。




人々は庭で摘んだホーリーやアイヴィーの葉を階段や暖炉の上、窓などに飾ります。
 




毎年我が家では、今日は(23日)25日のクリスマスディナーのための買い出しをします。今年は日本から妹が初参加。

私のガイドの仕事も残念ながら残すところ年末に一日ご案内するだけですっかり冬眠期に入ってしまいました。ただこのところ雑誌RSVPの来年のクリスマス号のための取材であちこち歩いています。今まで紹介されたロンドンのクリスマスとは一風違った内容ですから楽しみにしていてください。初めてお仕事をご一緒させていただくロンドン在住のカメラマンYさんとロンドンや田舎を周っています。

友人が住む村でのキャロルコンサート(クリスマスに因んだ歌を歌ったり、詩を読んだりしてクリスマスを祝う)や、パブのクリスマス光景など.....

メアリーのところではお手製のクリスマスプディングやミンスパイに使うミンスミート(ミートとは言ってもお肉は含まずにドライフルーツなどで作るもの)、クリスマスツリーに飾るビスケットなどもとっくに出来上がり、25日の到来を待つばかりです。




どうぞ皆さんも楽しいクリスマスをお迎えください。




12/16/2015

クリスマスの本当の意味とは?

クリスマスが近づき、商店街も活気に満ちています。皆、楽しい気分で毎年過ごすこの時期、パリで起こったテロ事件や難民問題などが影を落としています。‘なんだかシンから楽しい気分になれない’、‘どうしても心の底にある重たいものを取り除けない’と沈んでいた矢先、家族から下記のリンクが送られてきました。

http://travel.aol.co.uk/2015/12/09/bus-driver-5-pound-homeless-man-gets-christmas-surprise/?ncid=aolshare_email=

リバプールの町での出来事です。あるバスの運転手が乗客のひとり(ファリスさん)に「道路を渡ったところにお年寄りのホームレスがいるからこれを渡してきてください。」と5ポンド預けました。ファリスさんはホームレスに5ポンドを手渡して家に帰りましたが、帰ってからもこの運転手の行動が忘れられません。そこで友人たちに声をかけ、町のお店やレストランをまわってこの運転手にクリスマスプレゼントを贈ることにしました。

声をかけたお店や企業は全て迷わずに何かを寄付したそうです。酒屋さんからはラム酒のボトル、メンバー制のクラブからは2名分の飲み物と共にクラブ会員証、チーズ専門店からはバスケットに詰められたチーズ等々。そして日本食店の「みやぎ」からは、ワイン付食事券2名分。日本人も参加してくれて益々嬉しい気分です。変なところに日本人としての誇りが芽生えました。

さて、話はここで終わりません。ファリスさんはスティーヴンと言う名の運転手に、「サンキューカードを手渡したいから」と、会う約束をしました。もちろんプレゼントのことは何も言いません。待ち合わせの場所に現れたスティーヴンさんは、「これから町に行くのなら、これを必要としている人に渡してほしい」と自分が兵隊であった時に使っていた寝袋を渡したそうです。

スティーヴンさんは元兵隊。彼の話では、「戦場で戦ったことのある兵隊で退役した人の中には精神的に傷ついた人が多く、ホームレスになっている人が多い。今はひとりの子の父である自分には、そういう元軍人のことが気にかかるのです。」

クリスマスの本当の意味とは、教会に行ってお祈りすることだけが大事なのではなく、また日頃仕事に疲れた自分を労うために美味しいものを食べてパーティをハシゴすることでもなく、自分の周りに目を向けて、自分で何ができるかを考えることではないでしょうか?そうすればクリスマスディナーももっとおいしくいただけるし、パーティももっと楽しくなるような気がします。

このスティーヴンとファリスさんの話を読んで、今年の私のクリスマスも「色々あるけど世の中、決して捨てたもんじゃない。」とちょっとイイ気分で迎えられそうです。


12/13/2015

カルチャーツーリズムUKが雑誌RSVPに掲載されました。

日本で唯一の英国専門雑誌RSVPの2015年秋号にカルチャーツーリズムに関する記事が掲載されました。





この号では、「イギリスでのアンティーク探しのたび」や、ドラマ‘ダウントンアビー’で有名になったハイクレア城に関した特集「ハイクレア城に暮らして」と題してそこに住む第8代目カーナヴォン伯爵夫人のインタビューなどが特集されています。





そして「イギリスの旅の新しい形」として‘学びの旅への招待状’というタイトルでカルチャーツーリズムUKが紹介されました。




 
 
 
 
 
 
さて、クリスマスまで残すところあと10日とちょっと。毎年この時期になると焦り始めます。クリスマスの準備が終わっていない~~~。そこで、先日友人とウィンザーに買い物に出かけました。もう何年もロンドンでクリスマスショッピングはしていません。なにせ人が多すぎて、ウェストエンドは極力この時期を避けています。
 
この友人は、12月になるとすぐにクリスマスの準備にかかります。大きなクリスマスツリーは一日がかりで飾りつけを。プレゼントともなれば11月頃から買いはじめます。いつもこの時期になっても何もしていない私に彼女は言いました。「12月11日の金曜日はウィンザーに買い物に行く日だから空けといて。今年こそあなたを連れ出す。」 そんなわけで行ってきました。
 
 
 
 
ウィンザーは小さな町ですが人もあまり多くなく、ゆっくり買い物ができてショッピングの苦手な私でもで楽しい時間を過ごすことができました。疲れたらお茶を飲みながら3時間はあっと言う間に過ぎていきます。
 
クリスマスライトや飾りもやっぱりウィンザーの町らしく、王冠やオーブ(十字架付の宝珠で王権の
象徴)が目につきます。特にウィンザー城を背後にロイヤル.タウンとして相応しいディスプレイです。
 
 
 
 
 
今年は「不思議の国のアリス」が出版されてからちょうど150年目の年に当たります。デパートのウィンドウのディスプレイもそれに因んだものがところどころに見られます。
 
 
 
 
 
 
緯度の高いイギリスの冬はこの時期、4時ともなると暗くなります。でも悪いことばかりではありません。商売っ気のないイギリスのお店は6時閉店のところが多いのですが、その前にクリスマスライトが点灯され、ショッピングも楽しい気分に。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
この時期にロンドンにいらっしゃる方は、クリスマスの雰囲気はオックスフォード.ストリートなどのウェストエンドだけとは限りませんので、是非、テムズ川のビッグベンの近くで開かれるクリスマス.マーケットや、旧市街、イーストエンドでのヴィクトリアン.クリスマスの雰囲気を味わってみてください。
 


12/10/2015

コピー? それともフェイク?

イギリスではアートに関するテレビドキュメンタリー番組がけっこう多いように思います。中でも、‘ Fake or Fortune ’は名画と思われる絵を所有している人がその真偽の追及を依頼するというもので、BBCは可能な限りの技術やエキスパートの意見を通して最終的にそれなりの機関が本物か偽物かを発表するというもの。先日はドガの絵が「正真正銘のドガによる作品」と認められ、そんなに大金持ちでもない持ち主は大喜び。私も関係ない人とは言え、思わず歓喜の声をあげてしまいました。

もしこの絵が偽(fake フェイク)であった場合はその価値はゼロに近いものです。反対にもしそれが本物となればひと財産(fortune)になるわけです。

昨日は、‘モナリザ’に関する番組でした。世界で一番有名で、一番高価な絵と言われるレオナルド.ダ.ヴィンチのこの作品に関しては今までにさまざまな憶測がされてきました。中でもモデルは誰?と言った内容が多く、中には「ダヴィンチ自身である」という説まで出たくらいです。

この番組の中ではシンガポールにあるモナリザ、ロシアにあるものなどが出ていました。いつかはそれがダ.ヴィンチの手によるものかどうかが解明されると思います。今回の番組でも、描かれている人物のことが取り上げられていました。

一般説としては、この絵に描かれているモデルは裕福な商人フランチェスコ.デル.ジョコンドの妻で、フィレンツェで生まれたリザ.ゲラルディー二であるとされています。デル.ジョコンドがダ.ヴィンチに依頼して描かせたものが‘モナリザ’というわけです。

ところが、モナリザを10年も研究している人が技術分析でキャンバスを調べた結果、現在のモナリザの下に他の女性の絵が描かれていることを発見しました。これにより、モデルの女性が本当にデル.ジョコントの妻だったかどうかの可能性にも疑惑がかけられています。

さて、先日の新聞にコンスタブルの絵のコピーが推定800万ポンド(16億円)でオークションにかけられるというのが載っていました。






コンスタブルはターナーと同時代の画家ですが、ターナーと違う点は自然を自然のまま描いたことだと思います。そこには人間が勝手に想像したドラマはありません。自然が語る色、構成、そういうものが200年もの間、人々の心を捉えています。私が一年ごとにご案内させていただいているワールドブリッジ社の東イングランドのコンスタブルカントリーも徐々に人気を集め、来年は今年に引き続き2年連続で企画されることになりました。そこは200年以上前にコンスタブルが描いた自然がそのまま残っている場所。ですから今ではコンスタブルカントリーとして、特に、野生動植物、ウォーキングの好きな人に好まれています。


さて、この新聞で表されている‘コピー’という言葉です。これは‘フェイク’とは違います。フェイクは正に、故意に本物として描かれた絵のことです。コピーは同じ画家によって描かれたもの、または他の人があくまでコピーとして描いている絵のこと。この新聞の記事によると、「オリジナルとされている絵よりも優れている」と評価している専門家もいるようです。




オリジナルの価値はこのコピーの推定価格の3倍です。同じ作品でも最初に描かれたものがより価値が高いということは、「何でも最初が好き」というコレクターの心理かも? どちらにしても私には遠い存在の金額で自分で所有することはあり得ないのですが、コンスタブルカントリーに行けば画家の存在と素晴らしい自然を思いっきり感じることができますから、それでよしとしましょう。

12/05/2015

ケンウッド.ハウス ~ フェルメール ~ ダイドの肖像画

初めてこの絵に出会ったのはいつのことだったでしょう? それは代々マンズフィールド伯爵の住居であるスコットランドのスクーン.パレスででした。18世紀の絵画には珍しく、その絵にはターバンを被り、果物を持つ黒人女性とピンクのドレスを着て花の髪飾りをつけ、本を手にした白人女性が描かれていますが違う人種の人が一緒に描かれた珍しい肖像画でしたので、それだけに私の記憶にもはっきり残っていました。

18世紀と言えばイギリスは奴隷貿易が盛んだった時代。イギリスから船で武器や綿製品などをアフリカの西海岸に運び、それらと引き換えに奴隷を船に乗せて西インド諸島に連れていき、そこでサトウキビの農園などで働かせるという商売が行われていました。それによって巨額の財を築いたひとも多く、今残る大きな貴族の館などもこのような経路で建てられたものもあります。

そんな時代に、このふたりの女性は何故一緒に描かれたのでしょう?

しかもこの絵は、召使いと雇い主という関係には見えません。白人女性の右手は優しく黒人女性に触れています。
 
 
 



実はこの絵は、マンズフィールド伯爵によって育てられた二人の姪の肖像画です。ロンドンの北部、ハムステッドヒースの丘の端っこにケンウッド.ハウスという貴族の館があります。現在でもスクーン.パレスに掛けられているこの絵のコピーがここに飾られています。でも何故、ケンウッドハウスにコピーが?

それは、ケンウッドハウスは当時、マンズフィールド伯爵のロンドンの住居で肖像画に描かれたエリザベスとダイドが育った家だからです。




ダイドの父は政治家であり海軍の軍人でもありました。彼と女性奴隷のベルとの間に西インド諸島で生まれたのがダイドでした。父は、ダイドをイングランドに送り、叔父であり、子供のいなかったマンズフィールド伯爵に預けます。そこには伯爵のもう一人の姪であったエリザベスがいましたが、二人は伯爵夫妻によって深い教養と躾を教えられ、姉妹のように育ちます。でも時代が時代だけにダイドは、エリザベスと全く同じように暮らすことはできませんでした。家族のみの食事は一緒に取っていましたが招待客がいる食卓には同席することを許されず、食後のコーヒーの時のみ許されるといった差別を受けます。でもマンズフィールド夫妻のダイドに対する愛情は深く、伯爵はその遺言によってダイドが生涯困らないだけの金額を残すばかりではなく、ダイドを奴隷ではなく公的に自由の身にすることを認めるよう言い残します。

館内は写真撮影は許されているものの、フラッシュは炊いてはいけないので、写真があまり良くありません。悪しからず。





マンズフィールド伯爵は高等法院主席判事という重要なポストに就いていました。奴隷に関係した「サマセット事件」「ゾング号事件」で判事を勤め、それらが後にイギリスでの奴隷禁止法へつながる一本の糸となります。そういうことを考えればダイドの存在は実に重要だったと言わざるを得ません。

ダイドの人生を映画化した「Belle ベル」は是非みなさんに観ていただきたい映画です。もちろん事実と違ってドラマチックに作られた部分もありますが、当時のイギリス社会を知ることのできる良い作品です。

今、アメリカから親戚が来ていて私は彼女と色々な場所を周っています。先日はケンウッドハウスに行きました。ケンウッド.ハウスといえば名画のコレクションでも有名です。






なんと言ってもフェルメールの「ギターを弾く女」は、それを観るためにケンウッドにやってくる人が多いの言うシロモノ。なにせ世界中に残っているフェルメールの絵は40枚にもならないと言われていますので、更に人気を集めています。イギリスには私の知る限りでは5枚あります。(エジンバラの国立美術館に一枚、ロンドンの国立美術館に2枚、王室のコレクションに1枚、ケンウッド.ハウスに1枚)




この他、フランソワ.ブーシェ、フランス.ハルス、レンブラント、ターナー、ヴァン.ダイク、ジョシュア.レイノルズなどのコレクションですが、これらは1920年代にケンウッド.ハウスを買ったエドワード.セシル.ギネス(ギネスビールで有名)が集めたものです。フェルメールもそのうちの一枚ですが、彼は1927年に館と共にこれらのコレクションを国家に寄贈します。


http://www.english-heritage.org.uk/visit/places/kenwood/

入場料は無料ですが、このような場所に行く際には寄付をお忘れなく。